はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 323 [花嫁の秘密]

カーテンの隙間から日が漏れている。
サミーは重たい瞼を何とか持ち上げた。どうやら眠っていたようだが、いまは朝なのか昼なのか、部屋は暗いままでよくわからない。

身体を起こす気にもなれず、手を伸ばしてベッドを探るが、そこにエリックはいなかった。もうどこかへ出掛けたのだろうか。

のんびり過ごすとはなんだったのか。昨日あれだけしておいて、よく朝から動けるものだ。僕は何もする気が起きないっていうのに。

喉の渇きと空腹を覚え、サミーは諦めて上掛けから這い出た。

「起きたのか?」

足元の方へ顔を向けると、ソファの向こうでエリックが腰をかがめて何かしていた。

「そこで何してる?」

「火を大きくしている」エリックは火かき棒を手に振り向いた。「朝食は部屋に持ってくるように言っておいたから、もう少し待ってろ」

ということは、まだかろうじて朝ってことか。「まるで既婚女性みたいな扱いだな。ところで、もしかして君もここで朝食を?」枕を背に座り、ガウン一枚で部屋をうろつくエリックを目で追う。カーテンを半分ほど開けて、ベッドに戻って来た。

「俺がひと晩中何をしていたと?もうくたくただし、腹ぺこだ」ベッドに腰掛け片手をついてにやけた顔を向ける。

エリックは僕に何と言い返して欲しいのだろう。満足したと言えばいいのか?「君はここがクリスの屋敷だということを忘れてはいないよね?当然使用人も」この状況を見て使用人が何と思うか。

「お前はくだらないことを気にしすぎだ。ブラックに頼んだから心配するな」

ブラックに?まだいたのか。

短く二度擦るようなノック音がして、エリックが待ってましたとばかりに戸口へ向かう。ドアを少し開けて相手を確認すると、朝食の乗ったトレイを受け取りひと言ふた言言葉を交わして、肘でドアを閉めた。

『ああ、行ってこい』と聞こえたけど、エリックはブラックがどこに行くのか把握しているらしい。それもそうかと納得するしかないけど、きっとエリックは知っているとは言わないのだろう。それは僕のためかブラックのためか。

「食べたかったらさっさと顔を洗ってこっちに来い」エリックは暖炉のそばにあらかじめ動かしておいたテーブルにトレイを置き、早くベッドから出ろと顎をしゃくる。ポットからココアを注ぎ、パンかごをテーブルの中央に据えた。

クロワッサンのいい香りが漂ってくる。アンジェラの好きそうな朝食だなと思ったが、さすがに口には出さなかった。意外にもエリックは僕のアンジェラへの気持ちに不満があるらしく、口に出そうものならしつこく文句を言われる羽目になる。

「ベーコンもあるといいんだけど」そう言ってサミーは、ようやくベッドから出た。

つづく


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