はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 435 [花嫁の秘密]

話すべきことは話した。すべてではないが。

エリックは尻に根の生えた二人を残して地階へ行き、グラントにひとつ用事を頼んだ。まずはサミーのためにブラックを呼び戻すことが先決だ。それと、自分のため――突き詰めればサミーのためだが――にカインを呼ぶ。プラットはいい顔をしないだろうが、どうせしばらく屋敷は空いた状態でやることもないなら、こっちで仕事をさせるまでだ。サミーの許可はあるとか何とか言っておけば問題はないだろう。

二人とも早ければ明日、遅くとも明後日にはフェルリッジに到着する。

気になったのはサミーがどこか上の空だったこと。この事件をさっさと片付けてしまいたいという気持ちは理解できるし、できるならそうしたいところだが、事件自体を表沙汰にできない以上慎重にならざるを得ない。あれはあくまで事故だった、その後起こった出来事を隠すためにはそうしておくしかない。

次の動きをサミーと詰めておく必要がある。勝手なことをされて、また計画をぶち壊されるのは避けたい。

エリックは上に戻り書斎を覗いた。居間にはセシルしかいなかったからだが、サミーはここ数日クリスが置いて行った雑務を片付けているようで、これに関してはさすがに口を出すわけにはいかない。
それにいまは、気を紛らわせる何かが必要だ。

「用事は済んだの?」書斎机に着くサミーが顔を上げた。気配を消していたが気づかれてしまった。

「まあな。そっちは?」特に隠す様子もないので覗き込んだ。手元の紙の束はかなり分厚い。数字からして会計報告のようにも見えるが、文字に癖があって読み取れない。

「ん?ああ、これね。叔父から届いた報告書。本邸は任せているから」サミーは片肘をついてひと息吐くと、書類を指先でトントンと叩いた。「叔父の字はすごく読みにくくてね」

エリックは同意の印に肩をすくめた。机を離れて前のソファに座ると、思い切って尋ねた。「向こうに移ろうとは思わないのか?」この場所はサミーにとっていい場所とは言い難い。生まれたその日からどこにいたとしても変えようのない運命だったのかもしれないが、父親と離れるだけでもいまとは違った人生があったはずだ。

「思わないね。僕もクリスもあそこは嫌いなんだ。ただ、ここが好きかというとそれも違うけど……昔よりはマシかな」

マシになったのは父親が死んだからか、それとも新しい家族が増えたからか。

あの城館はそのうち従兄弟かその息子が継ぐことになるだろう。サミーが誰かと結婚して跡継ぎをもうけるならそうはならないだろうが、きっとそんなことにはならない。

「お前は時々行っているだろう?」

「時々って言っても、年に一度くらいなものだよ。本当は様子を見に行く必要もないけど、クリスが行かないから仕方なくね。それに叔父にはよくしてもらっているから。で、何の用?」サミーは机を両手でポンと叩いて立ち上がると、前に回って机を背に寄りかかった。

「こっちに来て座れ」エリックは向かいの椅子に座るように軽く首を振った。「これからの事を話し合おう」

つづく


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あとがき
こんばんは、やぴです。
PCが壊れてしまい、しばらく更新滞ります。
それもあってという訳ではないですが、あと数話でこの部が終わり、次へ移ります。


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