はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
ヒナおじいちゃんに会いに行く 18 [ヒナおじいちゃんに会いに行く]
ダンが出て行ってから少しの間を空けて、スペンサーは部屋を出た。二人がいた場所は書斎とは反対にある図書室だった。もし今誰かに、こんなところで何をしているのかと訊ねられたら、まともな答えは返せそうにない。
さっさとウォーターズに挨拶を済ませて帰ろう。
「ずいぶん大胆なことをなさるのですね」
急に背後から声を掛けられ、スペンサーは石のように固まった。ぞっとして全身の毛も逆立った。誰もいないことを確認したはずなのに、なぜここにロシターがいる?
スペンサーはロシターを無視することにした。書斎へ行く途中で別の部屋に入ってしまっただけのこと。ぐだぐだ言われる筋合いはない。
目の端で背後を盗み見ると、ロシターはこちらの態度に腹を立てるふうでもなく澄ました顔で後をついてきていた。
「あんな子供を相手にして何が楽しいんです?少し言い寄られたくらいであっちへこっちへとふらふらするような――」
スペンサーは瞬時に詰め寄り、ロシターの胸ぐらを掴んだ。こいつは図書室での一部始終を見ていたのだ。
「お前に何がわかる?」スペンサーは、かろうじて冷静さを保って言い返した。
「ダンが好きなのはブルーノです。あなたではない」
それこそよくわかっている。だが、他人に言葉にされると心底苛つく。ブルーノがこいつを嫌う理由がようやくわかった。
スペンサーはロシターを突き飛ばすようにして離した。「だからなんだ?俺たちが出会ってまだひと月ほどだ。二人の間にどんな感情があったとしても、動かせないほどではない」
「正確には三十八日です」ロシターは襟元を正しながら、抑揚のない声で言った。
「は?」スペンサーは面食らった。どうでもいいことを指摘されたからだ。
「それに日数など関係ない」そう言ったロシターは、なぜか少し腹を立てているように見えた。
スペンサーは落ち着こうと、ひと息吐いた。「ところで、なぜついてくる?お前はヒナの見張り番だろう?」
ロシターは黒い眉毛をぴくりと動かした。「旦那様にお伝えすることがあるからです。そちらこそ、旦那様に何の用で?ダンのことでしたら、口出ししないほうが賢明ですよ。今回の件ではダンを早々に許すことはありませんから」
ウォーターズがダンを許さない?
スペンサーは驚きのあまりよろめいた。「新入りのくせにずいぶん偉そうだな?そもそもウォーターズと直接話を出来るような立場なのか?」
ここにはロシターよりも格上の使用人が何人もいるはず。田舎にいた時と同じ条件で使っているとは考えにくい。それとも、向こうでの功績が認められたとか?
「ひとまず、クロフト卿の従者ですから」ロシターはそれで事足りるとばかりに言う。
「うまく取り入ったんだな」
「欲しいものを得るために必要なことは何でもします」
スペンサーはふんと鼻を鳴らし、いつまでも立ち話をする気はないとばかりに背を向け、今度こそ書斎へ向かった。ロシターの言葉の意味を考えるようなことはしなかった。
つづく
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さっさとウォーターズに挨拶を済ませて帰ろう。
「ずいぶん大胆なことをなさるのですね」
急に背後から声を掛けられ、スペンサーは石のように固まった。ぞっとして全身の毛も逆立った。誰もいないことを確認したはずなのに、なぜここにロシターがいる?
スペンサーはロシターを無視することにした。書斎へ行く途中で別の部屋に入ってしまっただけのこと。ぐだぐだ言われる筋合いはない。
目の端で背後を盗み見ると、ロシターはこちらの態度に腹を立てるふうでもなく澄ました顔で後をついてきていた。
「あんな子供を相手にして何が楽しいんです?少し言い寄られたくらいであっちへこっちへとふらふらするような――」
スペンサーは瞬時に詰め寄り、ロシターの胸ぐらを掴んだ。こいつは図書室での一部始終を見ていたのだ。
「お前に何がわかる?」スペンサーは、かろうじて冷静さを保って言い返した。
「ダンが好きなのはブルーノです。あなたではない」
それこそよくわかっている。だが、他人に言葉にされると心底苛つく。ブルーノがこいつを嫌う理由がようやくわかった。
スペンサーはロシターを突き飛ばすようにして離した。「だからなんだ?俺たちが出会ってまだひと月ほどだ。二人の間にどんな感情があったとしても、動かせないほどではない」
「正確には三十八日です」ロシターは襟元を正しながら、抑揚のない声で言った。
「は?」スペンサーは面食らった。どうでもいいことを指摘されたからだ。
「それに日数など関係ない」そう言ったロシターは、なぜか少し腹を立てているように見えた。
スペンサーは落ち着こうと、ひと息吐いた。「ところで、なぜついてくる?お前はヒナの見張り番だろう?」
ロシターは黒い眉毛をぴくりと動かした。「旦那様にお伝えすることがあるからです。そちらこそ、旦那様に何の用で?ダンのことでしたら、口出ししないほうが賢明ですよ。今回の件ではダンを早々に許すことはありませんから」
ウォーターズがダンを許さない?
スペンサーは驚きのあまりよろめいた。「新入りのくせにずいぶん偉そうだな?そもそもウォーターズと直接話を出来るような立場なのか?」
ここにはロシターよりも格上の使用人が何人もいるはず。田舎にいた時と同じ条件で使っているとは考えにくい。それとも、向こうでの功績が認められたとか?
「ひとまず、クロフト卿の従者ですから」ロシターはそれで事足りるとばかりに言う。
「うまく取り入ったんだな」
「欲しいものを得るために必要なことは何でもします」
スペンサーはふんと鼻を鳴らし、いつまでも立ち話をする気はないとばかりに背を向け、今度こそ書斎へ向かった。ロシターの言葉の意味を考えるようなことはしなかった。
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2017-03-03 00:33
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コメント(2)
こんにちは。ロシター、気になってました。いつアピるのかと。
ロシターが頑張ればブルーノの役にも立つんじゃないかな…と思ってます。
楽しみにしてますね。ご自愛くださいまし。
by Ni (2017-03-03 10:29)
Niさま、こんばんは。
いつもありがとうございます。
ついにロシターが動き出しました。と言っても、まだ謎が多き人。
中途採用?のわりにはなかなか馴染んでますけどね。
そろそろダンもブルーノ一筋でいってもらわないと。でも喧嘩とかさせたいなぁ…
コメントありがとうございました♪
by やぴ (2017-03-04 03:02)