はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
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花嫁の秘密 428 [花嫁の秘密]

「ハニー、そこでいったい何を?」アンジェラを探して庭に出たクリスは、庭師から教えられたとおりの場所でアンジェラを見つけた。日が高く昇っている時間とはいえ、この季節屋外で過ごすのはおすすめできない。

ここへ来て三日、屋敷の者ともすぐに打ち解けあれこれ手を出しているが、できれば目の届く場所にいて欲しいというのはわがままだろうか。

「土を掘っているの」地面にしゃがみ込むアンジェラは、覗き込むクリスにまばゆい笑みを向けた。手にはシャベルが握られている。

「それは見ればわかるが、何か植える気ならもう少し暖かくなってからでないと」おそらく菜園の空いた場所を好きにしていいとでも言われたのだろう。

「土をほぐしておくといいんですって」アンジェラが緑色の葉っぱを横目に言う。サンドイッチの皿によく添えられているハーブだ。

「それもわかるが、ハニーがそこの土をほぐすと、庭師の仕事を取ってしまうことになるけど、それでもいいのかい?」こういう言い方はあまりよくないが、それぞれ役割というものがある。ハニーには女主人としての役割を演じて――いや、果たしてもらわなければならない。

「今日はもうやめておくわ」アンジェラは立ち上がって、膝についた土を払った。機嫌を損ねたふうではないのがクリスにとって救いだった。

「さあ、寒いから中へ入ろう。熱い茶をミセス・ワイアットが用意してくれているはずだ」クリスは土汚れが付くのも気にせず腕を差し出した。土より何よりクリスが気になっているのは、アンジェラが何の躊躇いもなくズボン姿でうろちょろしていることだ。

来週農場へ視察に行くときにズボンで行くと言っていたが、それはどうにか説き伏せることができた。その代わり、ここでは多少目を瞑ることになったのだが、やはり気に入らない。格好ひとつで何が変わるというわけではないが、もはや秘密を抱えているのは自分だけなのではという気にさえなる。

邸内へ戻ると、アンジェラはクリスを残し着替えのため部屋に戻った。おそらく部屋ではメグが待ち構えていることだろう。あのメグがこの格好を許しているのが不思議でならない。

居間のゆったりとしたソファに腰かけ、アンジェラを探しに出るまで目を通していた帳簿を手に取る。少なくともモリソンが土地管理人になってからのものには、すべて目を通すことができた。不正に出金した金は愛人に貢いでいたと思われ、回収は絶望的だとフォークナーが言っていた。

こっちは地代を回収しなければならないのに、問題がすべて解決したとは言い難い状況で小作人たちが黙っているとも思えない。サミーがある程度手を打ってくれていたから大きな反発はないだろうが、これまで任せきりにしてきたツケを払う時が来たようだ。

とはいえ、追い立てられるようにしてフェルリッジを離れ、まるで夜逃げのように自分の領地へ足を踏み入れることになるとは予想外だった。向こうでは引き続き調査が行われているが、村で怪しい男の目撃情報があった以外にいまだ有益な報告はない。それどころか、何の連絡もなしだ。

協力者を別で探すか、なぜかこの騒動を取り仕切っているエリックにすべてを喋らせるか、どちらか早急に決めなくてはならないだろう。きっとアンジェラも同じ考えのはずだ。

二人で犯人を捜すと決めた。もう少し計画は詰める必要があるが、まずは状況確認のためサミーに手紙を書くとしよう。

つづく


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