はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

薄紅の心 ブログトップ
前の10件 | -

薄紅の心 1 [薄紅の心]

新連載始まります。(※fc2よりの移行)

【おもな登場人物】

瑞希16歳、慶(けい)17歳  父・孝雄、母・友美




その夜見た光景は、あまりにも信じられず夢を見ているのだと思った。
戸の隙間からかすかに漏れ聞こえるその声に興奮し、欲情した。
そして、今までなんとか抑えていた想いが一気に壁を突き破り、外へ押し出されていくのを感じた。

「瑞希、どうして欲しいか言ってごらん」
ベッドに腰掛け下半身を露にし、俯く瑞希の傍に跪く男が訊ねる。
「――ぼ、ぼくの舐めてください……」
「しょうがない子だね瑞希は――」
ぶるぶると小刻みに震える瑞希をよそに、男は瑞希の股間に顔を埋めぴちゃぴちゃと音を立て、瑞希のペニスを貪る。
「んーー……っ――」
ひとしきりその行為が続いた後、瑞希は小さくうめくような声をあげ男が股間から顔をあげた。
「瑞希、美味しかったよ。そろそろ次に進むころだね」
そう言って男は瑞希の頭をぽんぽんと撫でると、部屋から出て行った。

男は瑞希の義父だ。

一年前瑞希の母、友美は再婚した。
相手は新堂孝雄という男で息子が一人いる。
瑞希よりも一つ年上の十七歳、優しくて逞しくて、頼りになる義兄――慶(けい)
瑞希は慶を実の兄のように慕い尊敬していた。

再婚して幸せそうな母、優しい兄、瑞希は幸せだった。
幼いころに亡くなった父親の記憶はない。
だから、新しい父親に自然とその影を求め家族は円満にいくはずだった。

新しい父――孝雄は仕事柄家にいないことが多かった。
最近になって手掛けていたプロジェクトがひと段落したらしく、家で過ごすことが多くなった。
そしてそのころから、孝雄の実像が見えるようになった。
仮面の下に隠れたその顔は、少年に対する異様なまでの執着だった。
もう外で買わなくても、家に帰れば、美しい顔をした瑞希がいるのだ。

そして孝雄は行動に移した。
なかば脅すような形で、瑞希に逆らうことを許さず、その手の中に堕とした。

幸せそうな母を悲しませたくなかった瑞希は黙って孝雄のすることを受け入れた。

初めは、瑞希の身体をじっくりと舐め回すように見ていた。
そしてその身体に触れるようになり、今では瑞希のペニスをしゃぶりそこから出るものを美味しそうに飲んでいる。
次はどうなるのだろうか――

そのことを考えると、身体が震え涙が溢れ、それでも誰にも言うことも出来ず、ただその日が来るのを待つことしかできない。

翌日から、孝雄は長期の海外出張へ出掛けた。
瑞希は安堵した。
当分は次へ進むことも無い――それでもいつかはやってくる『次』のことを考えると、瑞希の表情は暗く、笑うことも出来なくなるほどだった。

つづく


>>次へ


よろしければこちらをぽちっとお願いします。
  ↓
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村

nice!(0)  トラックバック(0) 

薄紅の心 2 [薄紅の心]

「瑞希、いるのか?」
学校から帰宅した慶が二階の瑞希の部屋を覗いた。

「どうした、瑞希……寝てるのか?」
ベッドに無造作に横になる瑞希を見て心配そうに声を掛けた。

「兄さん、なんだかだるくて休んでたんだ。兄さんこそ部活は?」
「ああ、今日はさぼり……」
「珍しいね、兄さんがサボりなんて」
瑞希は蒼い顔で少しだけ笑った。
慶は瑞希に背を向けベッドの端に座った。

「瑞希……ここで父さんと何してるの?」
なんて自分は残酷なんだと、慶は思った。
蒼い顔をして体がだるいと横になっている瑞希に、容赦なく自分が見た光景について尋ねている。
何をしていたかは分かってる。瑞希が父に凌辱されていた。瑞希はただ震えていただけだった。
どうしてこんなことを口にしたのかは分かっている。
自分が瑞希を欲しいからだ。
慶は瑞希の答えを待った。
なんて言うのだろうか?
知らないとしらを切るのだろうか?

瑞希は怯えて声も出せないでいた。

背を向けていた慶が、振り向き瑞希の顔を覗き込んだ。
瑞希の怯えた目がかわいい。
今にも溢れだしそうなほどに潤んだ瞳を舐めてやりたい。
長い前髪が横に流れ現れたおでこにキスしたい。
そして、白く乾燥した唇を潤ませてやりたい。
怯えてカチカチと鳴る綺麗に並んだ歯を一本一本舌でなぞりたい。

「瑞希、母さんには黙ってるから俺には言って」
瑞希を追い込むように、返事を促す。

「な…なんのこと?」
震えながら発した言葉は明らかに動揺を隠せないでいた。
「言うなって父さんに言われてるんだろ。瑞希がちゃんと言ってくれないと、俺が見たことを母さんに言うけど……」
瑞希が目を見開き、慶を見た。
その目の端からは涙が零れ、やめてと訴えているようだった。

それでも慶はさらに瑞希を追い込んでいく。
瑞希の耳元に顔を寄せひどい言葉を浴びせる。
「それとも、瑞希があんなこと父さんにさせたの?瑞希が誘ったの?」

瑞希は息を呑み、もはや何も考える事などできなくなっている。
それでもなんとか言葉を発する。

「ち……がう――違う…ぼくじゃない、ぼくじゃ……」

分かっている。瑞希がそんなことさせるはずない。あのいやらしい父が、瑞希を穢した。

慶が瑞希のおでこに触れ、優しく髪を梳く。
瑞希は慶に触れられびくりと怯え、顔を背けた。

「瑞希、どこまでされた?」
慶は悔しかった。
父親に先を越された事に、胸の中は嫉妬という感情が暴れまわっていた。

慶は怯える瑞希の顔を両手で掴み、自分に目を向けさせた。
「キスはされたの?」
瑞希の顔が小さく左右に振れた。
「じゃあ、身体を触られた?」
今度は動きがなかったが、慶の手には瑞希の震えが伝わっていた。
「触られて、それで舐められたの?それ以上は?」

それ以上――それは今、最も瑞希が恐れていることだ。
孝雄が出張から戻れば、『次』へ進む。
『次』が瑞希の想像通りなら、それはとても恐ろしくて耐え難いものだ。

「兄さん、ごめんなさい……」
それだけ言葉を発すると瑞希はついに泣き出してしまった。
その嗚咽する姿は、孝雄にされていることがどんなに苦しく厭な事かが分かった。
そしてそれを慶に見られてしまったことも瑞希を苦しめていた。

慶は瑞希の泣く姿にさえ欲情していた。

本当は今すぐにでも、孝雄にされた行為をすべて消し去ってやりたい。
自分の手と口と、身体すべてで――

つづく


前へ<< >>次へ

nice!(0)  トラックバック(0) 

薄紅の心 3 [薄紅の心]

『瑞希ー?帰ってるの?』
出掛けていた母が帰宅した。
玄関の扉を開け、靴を脱ぎながら二階にいる瑞希に声を掛ける。

瑞希が怯え切った表情で慶を見た。
慶は『言わないから大丈夫だ』と頭を撫で、瑞希の部屋から出た。

慶は階下に降り、母に瑞希は疲れて寝ているようだと伝えた。
今、母と顔を合わせれば、すべてが明るみに出る可能性があったからだ。
そうなれば、離婚と言うことにもなりかねない。
それは、慶にとっても困る。
瑞希が自分の傍から離れてしまうからだ。

慶は孝雄の性癖をなんとなくだが知っていた。
瑞希がいたから結婚を決めたとは思わないが、もしかしたらそうなのかもしれないとも思う。
孝雄は特にゲイと言うわけではなさそうだ。
ただ、綺麗なものが好きなのだ。
特に綺麗な少年が。

瑞希は母、友美に似てとても綺麗だった。
細い黒髪が顔の輪郭に沿ってさらりと流れる。
目尻にかけて長く伸びる睫毛が、綺麗な顔立ちに優しさと艶っぽさをプラスしている。
薄く整った唇が儚さを醸し出し、白く透ける肌は誰かに染めてもらうのを待っているようだった。

慶はその肌を自分によって淫らに朱に染めたい、ずっとそう思っていた。
そして父が戻ってくる前に、瑞希を手に入れなければ、そう思った。

慶はその夜早くも行動に出た。
夜が更け、家中がしんと静まり返る時間――母は割と早く床に就くと、朝まで目が覚めることはないが、その代り朝とてつもなく早起きだった。
慶と瑞希だけの時間がやって来たのだ。

慶は気になっていた。いつから父は瑞希にあのような事をしていたのだろうか?
最近であることは確かだった。
なんとなくだが、ここひと月ほどの出来事だと思った。
もっと早く気づいていれば……いや、もっと早く自分のものにしているべきだったのだと慶は後悔した。
疲れたように、そして安心したように眠る瑞希に、自分はこれから何をしようとしているのだろうか?

瑞希の部屋へそっと入り、ベッドの上で眠る瑞希を確認する。
部屋のドアに背を向け、うつ伏せで眠る瑞希の傍に近寄り、顔を覗き込んだ。
すーすーと寝息を立てて眠る瑞希を目にし、気持ちが揺らいだ。
本当はゆっくりと信頼関係を築き、兄として慕うその心を愛しい人へ向けられるそれへと変えていき、それからすべてを手にしようと思っていた。
だからこそ、瑞希が兄と慕い心を寄せてくれたのに、それが今この瞬間終わる。
それでも、父にみすみす瑞希を奪われるわけにはいかない。だからここまでやって来たのだ。

つづく


前へ<< >>次へ


nice!(0)  トラックバック(0) 

薄紅の心 4 [薄紅の心]

慶はそっとベッドに乗り、瑞希の背を包み込むように身体を寄せた。

瑞希はぐっすりと眠っているようだった。
やはり孝雄がいないことで安心しきっているのだ。

慶は瑞希の首筋に口づけをし、身体を密着させた。

「う…ん……?」

瑞希が目を覚ました。
そしてその背に人の感覚を感じ、身体を強張らせた。
慶が耳元で優しく囁く。
「瑞希、俺だ。こっち向いて」

瑞希は父ではなかったことに安堵したが、それでもこの状況がよく分からず、振り向くことなどできなかった。
慶が瑞希の肩を掴みゆっくりと自分の方へ向かせた。
「瑞希、まだ知りたいことがあるんだ」
瑞希は暗闇で慶の方を見ていた。
慶は瑞希の顔をしっかりと捉え、顔を近づけて唇を重ねた。
強張り、身を引こうとする瑞希を慶は逃がさなかった。

瑞希は声は出さなかった。
下手に声を出せば下で眠る母に聞こえるかもしれない。
それに、父にそう教え込まれているのだと慶は思った。
唇を離すと、瑞希は慶を震える手で尽き離し、ベッドから這い出ようとした。
慶はそれでも逃がさなかった。
その鍛えた体で瑞希を捉え、押し倒した。
「瑞希、静かにしないと、母さんに聞こえるよ」
それは紛れもなく脅しだった。

「兄さん、どうして?なに?」
瑞希は混乱し、囁く声は震えていた。

「瑞希が父さんに何をされたか確認しに来たんだ」
「それは、さっき……」
「どこをどういう風に、どうされたのか知りたい。瑞希はそれで、気持ちよくなったのか?父さんにここをしゃぶらせ、中のものを飲ませたのか?」
瑞希を抑え込み上に乗った慶は、瑞希の股間に手を触れその肉を確認した。
「どうして、そんなこと……」
「どうして?――知りたいからだ」
慶はそう言うと、股間の手をゆっくりと動かし寝間着の下に隠れる瑞希のペニスに刺激を与えた。
「にっ兄さん……やめて……」
「瑞希、静かに…と言ったはずだよ」
そう言うと瑞希の唇を塞ぎ、その内部に舌を入れ歯列をなぞった。
瑞希の身体がくねるように動き、口の中の吐息が慶に伝わった。
瑞希は舌を絡められ吸われて、慶の手の中の性器は少しずつ反応している。
慶が唇を離しても、唾液が二人を繋げていた。

「瑞希、感じてるの?ここ大きくなってる」
瑞希の表情が見えない。
慶のキスと、下半身への刺激で瑞希はどんな顔をしているのだろうか?
慶は壁際に手を伸ばし、カーテンを開けた。
月明かりが瑞希の顔を照らした。

瑞希の濡れた瞳は慶を見ていた。
蒼白い顔で戸惑いの表情を浮かべ、震える口元が艶っぽく光っていた。

慶の胸は高鳴った。
しかし、その高鳴りは瑞希の言葉に遮られた。

「どうして、こんなことするの?」

つづく


前へ<< >>次へ


nice!(0)  トラックバック(0) 

薄紅の心 5 [薄紅の心]

瑞希は慶の事を孝雄と同じように見ている。
慶はそう思うと頭に血がのぼり、目の前の愛しい瑞希にさえも怒りが湧き上がった。
「父さんにもそんなこと言うのか?舐めてってお願いしてたくせにっ!」

目の前の瑞希の表情が歪んでいくのが分かった。
悲しさと恐怖の入り混じった表情に変わり、慶から目を逸らした。

「本当は瑞希が誘ったんじゃないのか?こんなに大きくして」
慶は瑞希の寝間着のズボンに手を突っ込み、直接瑞希のペニスに触れた。
それから下着ごとグイと下げると、瑞希の身体からそれらすべて剥ぎ取った。

「ほら、もう濡れてる。嫌ならこんなにならないはずだろ。こうやって触られて、舐められて、瑞希は悦ぶんだろ。いやらしいのは瑞希なのに、そんな顔して――」

瑞希はペニスを擦られ、ののしられても、唇を噛んでそれに耐えていた。
声を出せない、逆らえないのが分かっていたからだ。

「あっ……ん……ん…っ――」
「我慢してるの?声出せないからな……どう?こうやって扱かれて、やっぱりしゃぶられる方が好き?」
「ん……ぁ……っ……」
「いつも、そんな顔父さんに見せてたんだ……いやらしいその顔を――」
そう言うと、慶は瑞希のペニスを扱く速度を速めた。
「んっ……んん……やぁ……――っ」
「瑞希、イったんだ?俺の手濡れちゃったよ、瑞希ので……」
瑞希は慶が思っていた以上に早く達してしまった。
慶はそのまま瑞希の精液の絡む指で、瑞希のアナルに触れた。
「にっ、にいさん……」
「瑞希一人気持ち良くなって不公平だよね?俺も気持ちよくなっていいでしょ」
瑞希が言葉を発する間もなく、慶の指先は瑞希の中へと挿入された。
「ひっ……」

「瑞希、力抜いて。そんなんじゃ俺の入らないでしょ」
「やっ、やめて……やだ…お願い、兄さん」
瑞希は泣きながら慶に懇願した。
「今俺がやめても、父さんが帰ってきたら同じことされるんだよ。父さんと俺とどっちにやられたい?やっぱり父さん?いつも気持ち良くしてもらえるから?」

瑞希がそんなこと思ってない事くらいは分かっている。
父の行為をどれだけ嫌悪しているかも。
でも、きっとそのうち瑞希は父に穢されてしまうだろう。
そこに瑞希の意思は関係ない。
それなら自分が瑞希を先に手に入れなければ――そう思う一方で、怯え苦しむ瑞希をこれ以上は痛めつけたくはなかった。お互いが同じ気持ちでなければ、したくないと思っていた事だったからだ。

「瑞希、逃げられないんだ。俺のものになるんだ」
瑞希が全身の力を抜いた。
もはやすべてを諦め、これから自分の身に起こることを受け入れようとしている。
こうやって父の行為を受け入れていたのだろうか?
慶は少し冷静になり、考え込み言葉を発した。
「瑞希――……今日はここまでだ」
そう言って、瑞希の部屋を静かに出て行った。

次は必ず瑞希のすべてを手に入れる――

つづく


前へ<< >>次へ


nice!(0)  トラックバック(0) 

薄紅の心 6 [薄紅の心]

翌朝、洗面所で二人は顔を合わせた。
瑞希は何事もなかったかのように振る舞おうとしていたが、慶に一度も目を合わせようとはしなかった。
友美に異変を悟られてはいけないと、瑞希は朝食も取らず逃げるように家を出た。

慶は考えていた。
瑞希を手に入れる為には、友美が邪魔だった。
孝雄の会社のコネと自分のつてを使い、まずは友美を追い払う準備をした。

友美が行きたがっていた美術展のチケットを手に入れた。
瀬戸内の小さな島の美術館は、友美の実家にも近かった。
「ね、母さん。父さんもいないしゆっくりしてきなよ」
慶はいつものように爽やかな笑顔で友美にチケットを渡した。
そして、念には念を入れチケットは数枚用意し、友人と行くように勧め、近くの宿も押さえた。
実家には寄らず、日帰りで帰ってこられては困るからだった。
社交的な友美は慶の思惑通りに、週末友人と共に出掛けることになった。

「ねえ、瑞希。見て見てー、これ慶から貰ったのよ。お母さん、週末お友達と泊りで出掛けるから、慶と留守番よろしくね」
友美はチケットと宿のパンフレットを、はしゃぎながらピラピラとさせ瑞希に見せた。
「母さん、俺からっていうよりかは、父さんの会社のおかげだよ。ちょうど母さんが行きたがってた美術展のスポンサーみたいだし」
慶はにっこりと微笑みながら瑞希の方を見た。

瑞希の顔からは血の気が引いていた。
これでこの週末に、瑞希が慶のものになることが決まったのだ。
いつかも分からず毎日ビクビクするよりかは、分かっている方がマシだろうと、慶は自分の都合のいいように思う事にした。

「瑞希どうした?具合でも悪いのか?」
「――えっ、あ、大丈夫だよ、兄さん。じゃあ、僕、上で勉強するから……」
そう言って、椅子から立ち上がり、足の震えを堪えるように、手をぎゅっと握り二階へ上がって行った。

そして、あっという間に週末が訪れた。

「いってらっしゃい、母さん。向こうに着いたら連絡して」
「あら、慶心配してくれるの?着いたらちゃんと連絡するわ。それじゃあ、行ってくるわね」
「いってらっしゃい」

友美は一泊の割には大きな荷物を持ち、タクシーに乗り込むと嬉しそうに後ろを振り返り、手を振りながら慶と瑞希から遠ざかって行った。
タクシーが見えなくなると、慶が瑞希の肩を抱き「入るよ」と家の中へと促した。

つづく


前へ<< >>次へ


nice!(0)  トラックバック(0) 

薄紅の心 7 [薄紅の心]

ガチャリと家の鍵を閉める音が、瑞希の心臓をえぐるようだった。
慶は小さく震える瑞希をそのまま玄関扉に押し付け、素早くキスをした。
人目がないとはいえ、あからさまなこの行為に瑞希は慶を力の限り押しのけた。
意外にも慶はすんなりと瑞希から離れた。

焦ることはないのだ、少なくとも明日の夕方までは二人きりで過ごせるのだから。

靴を脱いで家へ上がると、瑞希はそのまま自分の部屋へと逃げようとした。
階段を駆け上がる瑞希の背に向かい慶が声を掛けた。
「瑞希!もう、逃げられないのは分かってるだろ?」
瑞希は一瞬足を止めただけで、振り返らず自分の部屋へ入って行った。

慶は遅めの朝食をとり、これからの為に準備を始めた。
シャワーを浴び、Tシャツに短パン、濡れた髪のまま、部屋にいる瑞希に声を掛けた。

「瑞希、出てきなさい」
少し間があり部屋のドアが僅かに開き、瑞希が顔を覗かせた。
慶はその隙間に手を入れ、ドアを大きく開け広げた。
「瑞希、シャワー浴びておいで」
瑞希が無言で慶に目を向けた。
「それとも、一緒にいくか?」
固唾を呑み、首を横に振り、瑞希は黙ってシャワーを浴びに行った。

慶は自分の部屋に戻りシャワーを浴びる瑞希をベッドに腰掛け待ちながら、すでに身体中が興奮で熱くなっていた。
今この時以外の事は何も考えられなかった。
ただ、瑞希を自分のものにすることしか――

瑞希がシャワーを浴び、慶の部屋へ入ってきた。
この一年何度も見た、瑞希の風呂上がりの艶っぽい姿。
濡れた髪がぺたりと顔にまとわりつき、顔の小ささがはっきりとわかる。
Tシャツに、薄いコットンのさらりとした肌触りの長ズボン。
瑞希が家着の中で一番好んで穿くズボンだ。

慶の部屋はカーテンが引かれ薄暗かった。
瑞希はその薄暗さに怯えた表情をしながら、慶の傍に寄った。

「嫌なら、カーテン開けても、俺は構わないけど――」
怯えた顔の瑞希につい、意地悪を言いたくなる。
「いやだ。カーテンは開けないで……」
「わかった」
そう言って、腕を伸ばし瑞希を掴むと自分の足の間に引き寄せた。
瑞希の腹に顔を埋めるようにして抱きつき、瑞希を見上げた。

――瑞希が今俺の部屋で、俺の腕の中にいる。

つづく


前へ<< >>次へ


nice!(0)  トラックバック(0) 

薄紅の心 8 [薄紅の心]

慶の鋭い目つきの奥にはふわりと優しい光が宿っている。
しかし、怯えた瑞希にはその光は見えていない。それでも、男らしく優しい兄の影をその中に見つけようと視線を交差させる。
瑞希はすでに、慶の逞しい腕に掴まれた瞬間、この腕から逃れようなどとは少しも思っていなかった。

すべてを預けたような瑞希の視線に、慶はもはや気持ちの昂りを抑える事が出来ず、瑞希のズボンの両端を掴むと下着と共に一気にずり下げた。
まだ湿り気の残る繁み、その下に緊張して小さくなっている瑞希の性器が見えた。

瑞希の腰を掴みひねる様にしてベッドへ座らせ、口づけをしながら押し倒していった。
Tシャツの裾から手を入れ、瑞希の胸の尖りを指先で優しくなぞり刺激を加える。
瑞希は抵抗せず慶にちゃんと舌を絡め、要求に応えている。

慶は瑞希から唇を離すと、瑞希の目元に光る雫を舌先で舐めた。

「泣くのか?」

瑞希は目を開け慶を見た。

「泣かないよ、兄さん」

――本当は兄さんなんて呼ばれたくない。
「慶って呼べよ」

「け…い…?」
瑞希は戸惑いながらも慶の名を口にした。

「あっ…いたっ……や…っ」
慶が瑞希の乳首を指で挟み、ぐりぐりと弄りながら、瑞希の首筋に噛みついた。
少し赤くなった場所を今度はちゅうっと吸い上げ印をつけた。

Tシャツの裾をたくし上げ、弄られ尖った乳首を舐めあげた。
「ひゃぁ……」
瑞希の驚いたようなかわいらしい声に、慶は自分の性器をどんどん硬くしていった。
「胸、感じる?」
慶は乳首を口に含み、舌を使って優しく愛撫した。
時々吸ってやると、瑞希から発せられる声に変化が出て来た。
「あぁ……ん……ぁ……」
慶は瑞希の腰を撫でながら、己の性器を瑞希に擦り付けていた。
瑞希のペニスもすでに大きくなって、その刺激から先からは澄んだ蜜が顔を覗かせていた。

「ん……、あぁ…にい――慶……」
慶は思わず名を呼ばれ、胸がきゅんと弾んだ。
瑞希のペニスに触れ、先から漏れる液をくちゅくちゅと手に絡め扱き始めた。
「あぁぁっ…だめ……ん……っ」
「気持ちいいか?もっと声を聴かせて、瑞希。瑞希の声がもっと聴きたい……ああ、瑞希、瑞希――」
慶は手をしきりに動かしながら、自分のペニスも擦り付け腰を振っていた。
ハァハァと息を弾ませぬちゃぬちゃと擦り合わせながら、瞬く間に二人は同時に達した。
いつもは我慢し押し殺していた瑞希の絶頂の声に、慶がつられる格好になったのだ。

瑞希は自分の発した声に驚き、困惑していた。
慶に顔を覗きこまれ羞恥に顔を染めた。
「瑞希、いい声だった。俺のズボンも下着もぐちゃぐちゃになったよ」
慶は瑞希の耳元でそういうと、着ていたものを全部脱ぎ捨てた。
「瑞希も上脱げ。全部見せて」
瑞希は身体を起こし、言われた通りにTシャツを脱いだ。

「兄さん、本当に母さんには言わない?」
不安そうに尋ねる瑞希に慶は腹が立った。
「慶って呼ぶはずだろ。それに、せっかくいい気分だったのに、ぶち壊しにするなよ。母さんに言ってほしくないのはどのことだ?父さんとの事?それとも、今俺とこうしてる事?」
「慶……両方…こんなこと母さんに知られたくない……」
「こんなことか……瑞希は母さんの為なら、嫌なことも我慢して、こうやって俺に何されても文句言わないんだな!」
「だって!だって……そうしないと、嫌でも我慢しないと、せっかく幸せそうなのに……」
「幸せね……あんな父親と母さんが一緒にいて幸せとはね……瑞希はどうしようもなく馬鹿で、腹の立つ奴だなっ――」

腹が立つのは、瑞希が嫌でも我慢していると言った言葉。
当たり前だと思っても、無性に腹が立つ。

つづく


前へ<< >>次へ


nice!(0)  トラックバック(0) 

薄紅の心 9 [薄紅の心]

そう、瑞希はこんな幸せでも、それでいいと思っていた。
瑞希が幼いころに父が亡くなってから、友美がずっと女手一つで育ててくれたのだ。
社交的で明るい母は友人も多く幾人か付き合った人もいたが、それでも再婚はしなかった。それは瑞希の為だった。息子の多感期に自分が再婚することで、親子二人で築いた生活が乱れるのを懸念していたのだ。それでもと結婚したい相手が現れた。そしてようやく母が手に入れた幸せを、瑞希が壊すことなどできるはずがなかった。

しかし、そんな瑞希の気持ちなど慶に分かるはずなかった。
こんなくだらない幸せの為に、自分をわざわざ犠牲にしている瑞希に憤りすら感じていた。

「瑞希が言う通りにすれば、俺は瑞希が望む通りに何でもする。それに父さんからも守ってやる。瑞希はどう思ってる?」

「うん……慶の言うとおりにする、だから母さんには何も言わないで。それに、父さんにもあんなことされたくない」

縋り付くように発せられる瑞希のその言葉に、少しは自分を受け入れたのかと錯覚すらしてしまう。
それでも、これはただの契約みたいなものだ。
それは一方的に瑞希に不利なものだけれど、瑞希はそれすら気付いていない。

「瑞希、俺の上に乗って」
ベッドの上に座る慶の上に、瑞希が向かい合わせで跨るようにして座った。
慶がぐっと抱き寄せ、一度精を放出したお互いのペニスが密着する。
慶が当たり前のように瑞希にキスをし、瑞希もそれに答える。
そして慶の手は瑞希の背に回り、丸みのある柔らかい尻を撫で始めた。それからその割れ目に指を這わせ、瑞希のアナルに触れた。
瑞希がピクンと身体を震わせた。
「怖い?」慶が気遣うように問う。
「大丈夫だよ……」
緊張で身を固くし、涙声で答える瑞希に胸が締め付けられる。
それでも、慶はやめる気にはなれない。
慶は指をちゅっと口に含み唾液を絡ませるとそのぬめりで瑞希のアナルを刺激した。
ゆっくりと優しく擦り、指を差し入れた。
ほんの指先なのに、瑞希のアナルは到底受け入れられないという様に抵抗する。
「瑞希…力抜いて……優しくするから――」
「うん」
消え入りそうなほどか弱く慶の耳のもとで発せられた声が、慶の五感を刺激する。
入口を何とか通り過ぎた指は、瑞希の粘膜に纏わり付かれ引き込まれるようだった。
少し上を向きだした二人のペニスが重なり擦れ合う。
クチュクチュとアナルを刺激し、キスを交わすと、思った以上に瑞希が色っぽく反応する。
慶は指を増やそうと刺激を続けるがなかなか瑞希の孔が緩まない。
慶は上に乗る瑞希を体勢を逆転するように押し倒し、股の間に顔を埋めた。
そして迷わず瑞希の綺麗な蕾に舌を這わせた。
最初は入口を溶かすように、それから内部を拡げるようにぴちゃぴちゃと舐め回した。
「ああぁ……あんっ……慶、変な感じ……あぁぁ……」
舌を奥まで差し入れると、瑞希は大きく喘いだ。
指を突っ込みながら舌を差し入れ舐め回し、やっと指が二本まで入った。
これでは到底慶のモノなどは入るはずもなく、じっくりと時間をかけて解していく。
「やっ……だ……ああん」
そういう瑞希はペニスをヒクつかせ大きく反らせていた。
「瑞希は嫌がっている割には、いやらしい声を出すなぁ」

瑞希は確かにこんなことを慶にされるのは嫌だった。
それは尊敬し敬愛していた兄だったからだ。
義父孝雄にされる行為は嫌悪しかなかった。
同じように無理やりにされているはずなのに、慶にされている行為は嫌だと思っても義父のそれとは違った。
自分でもその感情や感覚がなんなのかは分からなかった。

つづく


前へ<< >>次へ


nice!(0)  トラックバック(0) 

薄紅の心 10 [薄紅の心]

もともと恋愛経験もそんなになく、女の子と付き合ったのも数えるほどで、唇を軽く重ねるようなキスしかしたことがなかった。それなのに、義理とはいえ兄とディープキスをし、更には一番恥ずかしい部分を舐められている。
逆らえないから我慢している気持ちと、慶だから我慢できているのかもしれないという気持ちが、瑞希の心の中に知らないうちに湧き上がっていた。

気付けば、慶が瑞希のアナルにぬるりとしたペニスを挿入しようと力を入れていた。
少なからず慶の舌先での愛撫に心地よさを感じていたはずなのに、その蕩ける様な感覚がいつしか身体の中心から壊れそうなほどの圧迫感に変わっていて、一気に恐怖感がこみ上げてきた。
自分のそこに慶のものが入ってくる。
分かっていたはずなのに、今の今まで実感がなく、瑞希は今更ながら抵抗をしようとした。

「いや……やだ、やめて……」

そんな言葉無意味だと分かっているのに、怖くて堪らず声を出す。
そんな瑞希を宥めるように、慶が優しく諭す。
「瑞希、大丈夫だ。ゆっくりするから」
慶のあまりに優しすぎる言葉に、最初は嫌々従っていたはずの瑞希は、慶の肩に触れ、受け入れるために心の準備をした。
まるで身体全体に圧力を掛けられているかのように、慶が瑞希に力を加えている。
亀頭の部分がその力に押されるように、瑞希の中にめり込んだ。

「ひっ……いたっ……んっ……」
ぎゅっと目を瞑り、慶の肩を掴む手に力が入る。
「瑞希、痛いのか?」
その言葉に瑞希は目を開け、「大丈夫」と答えた。
「ちょっと待て」
慶はそう言うと、先を挿し込んだまま、手元のボトルからとろりとした粘液状のものを、瑞希と慶のつながる部分にたっぷりと垂らした。

それから、ゆっくりと挿入していくが半分もいかないうちに、瑞希が無理だと声をあげた。
慶はなんとか宥め奥までいこうとするが、瑞希は涙を零し顔を左右に振り抵抗していた。
慶の肩に瑞希の爪が食い込む。
それでも、ゆっくりと確実にすべてを呑み込ませる。

「瑞希、全部入ったよ」
瑞希も苦しいが、慶も苦しかった。
やはり、気を許してないためか、もしくは緊張の為か締め付けが激しい。

本当はもう、こんなこと言いたくなかったし、言える立場ではなかったが、それでも求めてやまなかった瑞希を手に入れ口にせずにはいられなかった。

「瑞希……好きだよ」

繋がったまま動くことも出来ず、瑞希の唇にキスを落とし、そのまま強く抱きしめた。
「こんな状況でごめん……」

つづく


前へ<< >>次へ


nice!(0)  トラックバック(0) 
前の10件 | - 薄紅の心 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。