はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

薄紅の心 7 [薄紅の心]

ガチャリと家の鍵を閉める音が、瑞希の心臓をえぐるようだった。
慶は小さく震える瑞希をそのまま玄関扉に押し付け、素早くキスをした。
人目がないとはいえ、あからさまなこの行為に瑞希は慶を力の限り押しのけた。
意外にも慶はすんなりと瑞希から離れた。

焦ることはないのだ、少なくとも明日の夕方までは二人きりで過ごせるのだから。

靴を脱いで家へ上がると、瑞希はそのまま自分の部屋へと逃げようとした。
階段を駆け上がる瑞希の背に向かい慶が声を掛けた。
「瑞希!もう、逃げられないのは分かってるだろ?」
瑞希は一瞬足を止めただけで、振り返らず自分の部屋へ入って行った。

慶は遅めの朝食をとり、これからの為に準備を始めた。
シャワーを浴び、Tシャツに短パン、濡れた髪のまま、部屋にいる瑞希に声を掛けた。

「瑞希、出てきなさい」
少し間があり部屋のドアが僅かに開き、瑞希が顔を覗かせた。
慶はその隙間に手を入れ、ドアを大きく開け広げた。
「瑞希、シャワー浴びておいで」
瑞希が無言で慶に目を向けた。
「それとも、一緒にいくか?」
固唾を呑み、首を横に振り、瑞希は黙ってシャワーを浴びに行った。

慶は自分の部屋に戻りシャワーを浴びる瑞希をベッドに腰掛け待ちながら、すでに身体中が興奮で熱くなっていた。
今この時以外の事は何も考えられなかった。
ただ、瑞希を自分のものにすることしか――

瑞希がシャワーを浴び、慶の部屋へ入ってきた。
この一年何度も見た、瑞希の風呂上がりの艶っぽい姿。
濡れた髪がぺたりと顔にまとわりつき、顔の小ささがはっきりとわかる。
Tシャツに、薄いコットンのさらりとした肌触りの長ズボン。
瑞希が家着の中で一番好んで穿くズボンだ。

慶の部屋はカーテンが引かれ薄暗かった。
瑞希はその薄暗さに怯えた表情をしながら、慶の傍に寄った。

「嫌なら、カーテン開けても、俺は構わないけど――」
怯えた顔の瑞希につい、意地悪を言いたくなる。
「いやだ。カーテンは開けないで……」
「わかった」
そう言って、腕を伸ばし瑞希を掴むと自分の足の間に引き寄せた。
瑞希の腹に顔を埋めるようにして抱きつき、瑞希を見上げた。

――瑞希が今俺の部屋で、俺の腕の中にいる。

つづく


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