はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 433 [花嫁の秘密]

何から話すべきか、正直悩むところだ。

これまでにはっきりしたことはふたつ。
マーカス・ウェストの居場所とクリスマスの朝この屋敷の敷地内へ侵入した者。ああ、それとそれを依頼した者も。

ひとまずマーカス・ウェストの次の逗留場所は確認できた。事務所で聞き出した通り、しばらくはブレイクリーハウスにいるようだが、あそこの女主人は少々厄介だ。ブラックには戻ってくるように言って、あとはユースタスに任せるか。もう少し早く追いついていれば、そのまま闇に葬ってやることもできたのに残念だ。

計画は次の段階へと進めるしかない。どうすれば効果的にあの男を苦しめられるかは、ユースタスが考えてくれるだろう。

問題はジュリエットのことだ。当初描いていた計画からは大きくずれてしまい、これに関しては一から策を練り直す必要がある。それも早急に。

エリックは飲みたくもない紅茶に口をつけ、要点だけ掻い摘んで話した。サミーもセシルも話に聞き入っているのか、ケーキを食べるのに夢中になっているのか、途中口をはさむことはなかった。

「結局、ハニーへのあの贈り物はジュリエットからだったってこと?」セシルが結論を口にする。一応、話は聞いていたようだ。

「ハンカチに刺繍をしたのが誰かを突き止めたわけだけど、その依頼をしたのはジュリエットではないんだよね?それでどうして彼女を犯人だと?」ケーキを食べ終えて満足げなサミーは、ソファの端に重なるクッションに寄りかかり、エリックに問いかけた。

「ああ、間に何人か入っているようだが、依頼したのがジュリエットの従者だということがわかった」

ハンカチに刺繍をしたのは、バークリー家の娘のうちの一人。もちろん彼女は自分が刺繍をしたハンカチがこんな使われ方をしているとは思いもしない。いくつか頼まれたうちの一枚にすぎず、花嫁修業の一環だと思っているはずだ。ジュリエットとの直接的なつながりはない。

「従者?そんなのいたかな――彼女はそばに男は置いていなかった。いたら僕が気付かないはずない」サミーは苛立たしげな視線をエリックに向けた。ジュリエットの懐まで入り込んだのは自分なのに、君の方が詳しいなんて不公平だと言わんばかり。張り合っているわけではないが、なぜか気分がいい。

「ナイト邸にいた頃の下僕をそのまま従者にしている。まあ表には顔を出さないから、クレインみたいな存在だと言えばわかりやすいか」クレインほど切れる男だとは思わないが、なかなかうまくやっている。ここまでは。

「クレイン?って誰だっけ」セシルが眉を顰め小首を傾げる。

「お前は知らなくていい」エリックはぴしゃりと言い、サミーの反応を待った。自分の知らないところでその男に見張られていたとなると、いい気はしないだろう。

「そうか、ということは、その従者はジュリエットのしたことすべてを知っていると思っていいんだね。もしかして信奉者の一人だったりするのかな」サミーは思案顔だが、何を考えているのかは読み取れない。

「まだジュリエットを崇めているような男がいるとも思えないが、そいつはそうだろうな。目に見える部分ではたいしたことはしていないが、おそらく汚れ仕事は全部そいつが請け負っている」厄介なのは、こいつがジュリエットを裏切りそうにもないことだ。

「それにしても、彼女はすごく演技が上手だよね。ハニーを襲ったなんてこと微塵も見せないうえ、次の計画も着々と進めているわけだから。サミーはそういうのを感じたことはないんだよね?」セシルがサミーに訊いた。

セシルがジュリエットに会ったのはブライアークリフ卿の慈善パーティーの時だったか、確かにあの時デレクと何か企んでいたにせよ、ただサミーの気を引きたいだけにしか見えなかった。

「そうだね、彼女の言葉が白々しいと感じることはあるけど、悪意のようなものを感じたことはないな。だからすごく戸惑うんだ。彼女がしたことを僕たちは知っていて、そのツケを払わせようとしているけど、正体は現さない。彼女の口からアンジェラにしたことを白状させるには、僕はあと何をすればいい?」

「いや、お前はしばらく何もするな」エリックはサミーの『それは受け入れられない』という視線を真っ向から受け止めた。ずっとは無理だろうが、しばらくは俺の言うことに従ってもらう。これ以上心配事を増やされたらたまったもんじゃない。

つづく


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