はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

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前の10件 | -

Sの可愛い子犬 1 [Sの可愛い子犬]

登場人物

ジョン・スチュワート(16)
ステファン(16)
アストン ステファンの父 アメリカ帰りの英国人



遠くで教会の鐘の音が聞こえた。
ロンドンを遠く離れ、どんどん馬車は森の奥へと進んでゆく。
御者の腕が悪いのかスプリングのせいなのか、それとも老いた馬だからなのか、馬車は必要以上にがたがたと揺れ、その震動が身体に痛いくらいに響く。
隣の男もそれを感じているのだろう、不機嫌そうに顔を顰め遠くを見つめている。決してこちらを見ようとはしない。

「まったく、今の時代にまだ馬車で移動とはね――」男は吐き捨てるように言葉を発すると、今までの不満が次から次へと口をついて出て来た。
「いくら鉄道が時代の流れに乗って発展したとしても、こんな山奥までは無理だろうな。それにこの国は、馬車がえらくお気に入りだからな。自動車なんてものは、知らないに等しい。時代遅れも甚だしい」

独り言なのか、隣の少年に言っているのか全く分からないが、男は不満を一通り言うとまた顔を顰め、さらに遠くに目をやった。

馬車が大きな門を抜け、緑が生い茂る林を抜けると、屋敷を真正面に臨む橋へと差し掛かった。広大な土地は以前コッパー子爵が所有していた土地だ。馬車に乗る少年、ジョン・スチュワートの父が所有するものだった。

ジョンは今現在、自分の置かれている状況があまり分かってはいなかった。ある日父が亡くなったと知らされた。母はそれ以前にすべてを捨てて出て行った。兄と二人残された。多額の借金があるからとロンドンの邸宅も、各地の屋敷もすべて失った。限嗣相続分はどうなったのかは、次男のジョンには関係のないことだった。それでも残った負債は、ある男――今ジョンの隣に座っている男――が肩代わりして残された子供たちの後継人になった。

男は、アストンという。アメリカ帰りの英国人で鉄道会社を経営している。世間では成り上がりと揶揄され、貴族の間では良く思われていないが、それでも莫大な財を成したアストンに、擦り寄る者も少なくはない。

兄は今までと変わらず学校に残り援助され、弟のジョンだけがアストンに引き取られることになった。

『お前が、ジョンか――。これまでは貴族として上から見下ろす立場だっただろうが、これからはお前が見下ろされる立場だ』

アストンがジョンに最初に言った言葉だ。

悲しむ暇もなく、以前自分が住んでいた屋敷へと辿り着いた。
見知った使用人は一人もいなかった。

「さあ、到着だ、ジョン。これからここでお前は働いて私に借金を返すのだ。兄の分までしっかり働けよ」

屋敷の中には案内されなかった。ジョンが案内されたのは厩舎の傍にある小屋だった。
それまで着ていた服はすべて脱がされ、ぼろぼろのシャツとズボンを与えられた。

「なんで、僕がこんなっ――」

そんなことを口にした途端、馬丁に殴られた。
初めての出来事に驚き、その馬丁を睨むように見たが、気弱なジョンにはそれが精一杯だった。

つづく


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Sの可愛い子犬 2 [Sの可愛い子犬]

今まで、その中にさえ入った事のなかった厩舎の掃除が、ジョンの仕事になった。
しかし思うようには働けず、いつまでたっても仕事は終わらなかった。
泣きたい気持ちを我慢し、それに耐えたのは貴族のプライドがあったからなのか、ただそうするしかなかったのかは分からない。

ある日厩舎の前で馬にブラシをかけていたら、アストンがやって来た。食後なのかでっぷりとしたアストンのお腹のボタンは、いまにもはじけそうになっている。ジョンは空腹の腹を押さえ、今や主人となった男の前で頭を垂れた。挨拶をするべきなのはわかっていたが、喉の奥が張り付き声が出なかった。

アストンは汚いものを見るような目をジョンに向け、侮蔑の言葉を吐いた。

汚い身なりでも、ジョンのその瞳だけは輝きを失っていなかった。アストンを睨みつける勇気はなかったが、ぐっと唇を噛み侮辱の言葉にも耐えた。

それでも、ここにきて一ヶ月を過ぎる頃には、その輝きは失せようとしていた。
自尊心はとことんまで傷つけられ、心も体もまともではいられなくなっている。
それに貴族と言っても所詮は次男だ。爵位を継げる訳でもないし、そもそも教育さえも兄とは違う。
貴族のプライドなんかよりも、それを捨てることで、今の状況が変わるなら喜んで捨てようとさえ思っていた。

ジョンは周りの目を盗んでは、自分だけが知っている秘密の場所に来ていた。
屋敷の裏手の小道を抜けた先に大木があり、その木の幹の根元には大きな穴が開いている。ジョンがすっぽり入れるほどの大きさだ。幼いころから、かくれんぼをする時には必ずここに隠れた。
辛い日々も、ここに来ればその気持ちも少しは和らぐ。

「お前、ここで何してる?」

ジョンは突然声を掛けられ飛び上がりそうな程驚いた。
誰も知らない秘密の場所なのにどうしてと思いながら顔を上げると、同じ年頃の少年がジョンを見下ろしていた。

「きみは?」

「俺が先に訊いたんだけど――」
少年はあからさまに不機嫌になった。両手を腰に当て、ジョンがまともな答えを返すのを待っている。

「僕は……ここは僕だけの秘密の場所なんだ」

「なんでお前の?この土地はうちの土地だよ。だからここも俺のものさ」

ジョンは気付いた。目の前の少年は、アストンの息子なのだ。いるのは知っていたが、目にするのは初めてだった。

「あ、あの……」
その時、少年が少し動きジョンを照らしていた光が遮られ、顔がはっきりと見えた。
金色のくりくりとした髪の毛がきらきら輝いていた。エメラルドの瞳が綺麗だと思った。

「お前、馬丁見習いだろ。こんなとこで仕事をさぼって何してる?」

「どっ、どうして……?」厩舎で働いているってわかったんだろう?

少年はくすりと笑うと「だって、お前くさいもん」と冷たい言葉を浴びせた。

その瞬間、ジョンの中の何かが壊れた。
どうして父は借金を残して死んだのだろう。どうして母は一人逃げて、兄は今までと変わらず学校に行けて、どうして自分だけがこんな目に遭うのだろう――

ずっと我慢していた――どんなに辛くても、泣いたら負けだと我慢してきた涙が頬を伝った。
それからジョンは穴から出てふらりと立ち上がり、そのまま唯一の居場所の厩舎へと向かった。

つづく


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Sの可愛い子犬 3 [Sの可愛い子犬]

「ステファン様、もうお許しください」
そんなことを言ったって無駄だってわかっている。彼は僕のあの瞬間を見るまではやめたりしない。ソファに押し付けられ、男の部分を辱められてもジョンは逆らったりできない。

「ステフと呼べと言っただろっ!何度言えばわかる」

強い言葉と同じように、ステフの手の中でジョンのものが強く握られる。ジョンは苦しげにあえぎ、許しを求める。

「あぁっ……でも……もう――」

「我慢しろ。もう少しお前のその顔を見ていたい」

鼻先が触れてしまいそうなほどの間近で凝視され、ジョンは恍惚せずにはいられない。おかしいのはわかっている。こんなことをされて、嫌だと思うのに、体が熱くなりどうしようもなくなる。

「では……触るのをやめてください、あうっ」

「お前はいつから命令できる立場になった?」

ジョンはその言葉に何も言えず、いま訪れている射精感を押さえるのに必死になった。
ステフはそんなジョンの悶える顔を楽しそうに見ている。

ステフことステファンは現在の屋敷の主、アストンの息子でジョンと同じ十六歳だ。
ジョンの中で何かが壊れたあの日、初めて屋敷内へ入ることを許された。かつて自分がいたその場所は、壁紙も何もかも取り換えられ、まるで知らない場所だった。下品なほどごてごてと飾り付けられ、コッパー子爵所有の調度品はすべて処分されていた。
戸惑うジョンに与えられたのは、以前と同じような身なりに清潔な寝床だった。

その代り、アストンの息子、ステファンの相手をしなければならなかった。
イギリスに戻って日が浅く、友達のいないステフの遊び相手という事だ。どうやらステフが父アストンに頼んだらしい。アストンはとにかく息子に甘い。欲しいものは何でも買い与え、金で手に入らないものでも、やはり金の力でどうにかするほどだ。だからジョンを息子の遊び相手にすることなど造作もない。気に入らなくとも、大切な息子の頼みだ、聞かないわけにいかない。

しかし、ステフがジョンを粗雑に扱っているのを見て、アストンは満足していた。
あくまで遊び相手だ。友達ではない。それにステフは面白い玩具を手に入れたとしか思っていなかった。

「ステフ様……でます……あっ……あぁ――」

ジョンは我慢の限界を超え、ステフの手の中や自分の腹に白濁液を飛ばした。
ハァハァと息を切らせ、椅子に項垂れているジョンを見て、ステフは楽しそうに笑っている。

「ジョン、自分で綺麗にするんだ」

ステフはそう言って、白濁の絡まった手をジョン口元に持っていった。
ジョンはそれをペロペロと舐めて綺麗した。

「ふっ、犬みたいだな。じゃあ、次は俺のを舐めろ」

ステフはズボンを少しだけずり下げ、そこだけを露にする。
ジョンはその傍らに跪き、ステフのものを口に含んだ。
最初から大きかったそれはジョンの口の中でどんどん形を変えていき、喉奥まで到達するほどに膨らんだ。
ステフがジョンの頭を抱え腰を振る。

「うぐっ……んっ……んん」
ジョンは喉奥に硬い棒を突き立てられ、胃の中から何かが上がってくるような感覚に襲われた。涙を滲ませ、ステフが早く自分の口の中に出すのをひたすらに待った。

「ジョン、こっち見ろ――ああ、いい顔だ――もうイキそうだ」

ステフはジョンの苦しそうな顔を見て一層興奮する。見下ろす緑色の瞳は悪魔というより天使のようにきらきらと輝いていた。アストンとは似ても似つかない容姿は母親に似たのだろうか。

「んんっ……――はぁ、はぁ、全部飲むんだ。こぼしたら承知しないからな」

ステフの相手をするようになってから三ヶ月、ひと月も経たないうちに今の関係は築かれた。
ジョンはなぜか抑圧されていても安堵していた。

つづく


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Sの可愛い子犬 4 [Sの可愛い子犬]

ジョンには家庭教師がつけられていた。寄宿学校にいたときのようにはいかなかったが、それでも勉強ができるだけましだった。

ステフがそうさせてくれているのだ。いつだったか、秘密の遊びの褒美だとステフが笑いながら言っていた。
勉強部屋を兼ねた部屋も与えられていたが、食事は使用人と共にしなければならなかった。

他の使用人の目は冷たいものだった。
同じ身分のはずのジョンが、いい服を着て勉強もさせてもらっているからだ。
しかし、ジョンに何か意地悪でもすればステフに告げ口をされるのではと思い、誰も面と向かって文句を言うものはいなかった。ただ無視をして、いなくなれば陰口を叩くだけだ。

ジョンはいつしかひとりで食事をするようになっていた。この日も誰もいなくなった食堂で乾燥したパンとすっかり冷たくなった魚のスープの食事を済ませた。

片付けて部屋へ戻る途中、廊下でステフが待ち伏せていた。壁に寄り掛かり、ジョンを見るとにやりと笑った。

「ジョン、俺の部屋に来い」

行く手を遮るように立ちはだかり、視線を上から下へと動かす。ねっとりとした視線はジョンの唇で止まり、ステフが今から何をする気なのか容易に想像できた。今夜はもうあとは寝るだけなのに、でもそう言ったところで無駄だとわかっている。

「あの……」

ステフは躊躇うジョンの手を引き廊下をどんどん進んでいき、もどかしげに薄暗い図書室へ引き入れた。

「ジョン、俺のを舐めろ」

「でも、今、食事したばかりで……あの」

「そうか……まあ俺とは食事の時間が違うからな。俺はデザートにお前のあの顔が見たくなった」

ステフは容赦ない。
そしてジョンはいつものようにステフの言うとおりにする。
途中、今度こそ胃の中からすべてが出てきそうになったが、なんとか耐えた。
そんなジョンをステフはとろんとした目で見下ろし、ジョンの口内を征服するように精を注ぐ。
それが終わると、ジョンはステフの部屋へ連れて行かれた。

「知ってるか?貴族っていうのは遊ぶときには、いざというときに困らないように相手を選ぶんだ。娼婦もいいけど、特に男がいいんだってさ。俺は貴族じゃないけど、なんとなくその気持ちわかるんだ」

ステフが何について喋っているのか見当もつかなかった。ひとつわかっているのは、ステフはデザートをまだ欲しがっているということだけ。

「ジョン、お前は俺の遊び相手だよな」戸口でぐずぐずとするジョンにステフが言う。

「はい、ステフ様」ジョンは即答し、絨毯を踏みしめながらステフに近づいた。

ステフの部屋は屋敷の他の部屋のようにごてごてと飾られていない。装飾品には興味がないし、部屋が狭く感じるから嫌なのだとか。

不意に手首を掴まれぐいと引き寄せられた。足元がぐらつきよろめきながら一歩二歩と前に進む。ステフは背後のソファにストンと腰を落とし、目の前にジョンを立たせた。

「ジョン、服を全部脱げ」

つづく


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Sの可愛い子犬 5 [Sの可愛い子犬]

また自分のものを擦られるのだろうかと思いながら、ジョンは着ている服をすべて脱いだ。せっかく体を綺麗にしたばかりなのに、また汚れてしまう。

ステフはジョンの身体を引き寄せると腰のあたりに指先を滑らせ、満足そうな笑みを浮かべた。

「ジョン、お前の身体はいつ見ても綺麗だな。それに柔らかいし、すべすべしている」

褒められたのだろうか?新しい石鹸で体を洗っておいてよかったと、先ほどの後悔など忘れてジョンは喜んだ。でも柔らかいというのは、つまりは男らしくないということ。ひと月厩舎で働いていた時はもっと締まっていたように思う。

すらりとした見た目のステフの腹部は筋肉質で、あそこも大きく硬い。全身裸になったらどんな体をしているのだろう。

「ジョン、後ろを向け」

もしかして考えを読まれたのだろうか?ジョンは慌てて背を向けた。ステフの裸がどんなのか考えるなんて愚かだった。

「そう、それで上半身を屈めて――そうだ」

ジョンはステフの言うままに従い、おしりを突き出す形になった。

「ステフ様、あの、こんな恰好……その」恥ずかしさから、きゅっと足を閉じもじもじとしてしまう。

「うるさいな……とりあえずじっとしてろよ」ステフはジョンの羞恥などお構いなしに両方の尻たぶに手を添えると、ぐいと左右に押し拡げた。

「あっ!ス、ステフ様……やめてください。見ないで、見ないでください」ジョンは思わず両手で顔を覆った。全身が一気に火照り熱くなる

「恥ずかしいのか?――ふぅん、ここに入れるのか……お前のココ綺麗だな。――ジョン、もっと尻を突き出せ」

ステフの命令にジョンは嫌でも従う。この数か月ですっかり体に染みついてしまった。言うことを聞いていれば藁がチクチクと刺さるようなベッドで寝ることもない。石鹸を使って体を洗って、清潔な寝間着を着ることもできる。あのひと月で体験したことはジョンにとっては悪夢でしかなかった。

突然、おしりの穴に何かが触れた。それはもちろんステフの指先で、その指は中に押し入ろうとしていた。

「ああっ、何をっ!」ジョンは思わず大きな声を出してしまった。こんなところを触るなんてステフはどうしてしまったのだろう。

「玩具はじっとしてろ。――ちょっ、力入れすぎなんだよ。指がこれ以上入らないだろ」

玩具――わかってはいたけど、実際に言われるとなんだか胸が苦しい。遊び相手だと言ったけど、僕はただ遊ばれる側で、ステフのすることを一方的に受け入れなければならないただの玩具に過ぎない。

ステフとあの木の根元で出会って四ヶ月。ジョンはずっとステフの玩具だった。きっとこれからもそう。何も変わらないし、変えられない。

「でも……痛いです……」ジョンは力なく言った。

「くそっ、ベッドで待ってろ」ステフは苛ついたようにジョンをベッドへ押しやり、部屋から出て行った。

つづく


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Sの可愛い子犬 6 [Sの可愛い子犬]

ステフが部屋に戻ると、ジョンは言われた通りちゃんとベッドの上で待っていた。

これから何をされるのかと不安そうだ。これまでもずっとそうだった。ジョンはいつだっておどおどびくびくして御主人様のご機嫌を伺う犬のようだ。ご褒美をもらうために無理なことでもなんでも言うことを聞く。
ステフはジョンのそういうところが気に入っている。一生懸命に俺のモノを咥えているところや、必死にイクのを我慢しているところもたまらない。もっとジョンのいろんな顔が見たい。

ベッドの端に飛び乗るようにして座ると、ジョンにうつ伏せになり尻を突き出すように命令した。
手にしていた小瓶を傾け中身を指先に数滴垂らすと、薄ピンク色の蕾に今度はそっと優しく触れた。そこは侵入を拒むようにさらにきゅっと窄まった。

こうなると俄然やる気になるのがステフだ。最初こそ抵抗したジョンもなかなか手懐けがいがあったが、いまでは何でも言うことを聞くようになった。だからうまくやればここだって抵抗なんかするものか。

「ジョン、力を抜け」ステフは命じ、窄まりを解すようにぐにぐにと押した。

ここに本当に俺のモノが入るのだろうか?不安に思いつつもやめる気はなかった。明日まで父さんは留守にしている。せっかくの機会を逃すなんて馬鹿げている。

仮に父さんがいたとしても広い屋敷だ。どこで何をしていようが気づかれることもない。まだ見ていない部屋がいくつもある。遊び場所はその数だけあるということだ。

滑りを借りた指は半分ほどまですんなりと入った。

「あぁぁ……ステフ様、そんな……」

「どうだ?今度は痛くないだろう?父さんが持っていたオイルを借りて来たんだ」そう言ってすっぽり指を埋めた。そろりと指を動かすが、ジョンのここはぴったりと吸い付き今度は出るのを拒んでいる。まったくジョンときたら、俺が命令しなきゃなにひとつできやしない。

「ゆっくり動きに合わせて呼吸しろ。――そうだ――どんな感じがする?気持ちいいのか?」

「あの……圧迫されている感じです……」

「そうか、まだ気持ちよくはないって事か……」いったい何が足りないんだろう?いや、足りないのはいつものあの快感。ジョンは嫌だやめてと言いながら、いつもよだれを垂らすほど気持ちよくなっている。

ステフは反対の手でジョンのペニスに触れた。柔らかく縮こまっているそれはゆっくりと揉み始めるとすぐに硬さを帯びてきた。力を入れずゆるゆると扱き、後ろの指を抽挿する。奥まで突っ込み中を探ると、ジョンの体がぶるりと震えた。

「少し触っただけで、もう反応してきてるぞ。それに、後ろもヒクついて俺の指を誘ってるみたいだ」

ジョンはいつだって俺を誘い惑わす。初めて会ったあの日からずっと。

「んっ……んん…ステフ様……はぁ…はぁ…」
ジョンの声の響きが明らかに最初とは違ってきている。よくなってきたってことか?ジョンは今どんな顔をしているのだろう。見たい。俺だけに見せるあの顔を。

「ジョン、このまま仰向けになるんだ」

ステフのその言葉にジョンは身をよじり、のっそりと体を回転させた。気だるげなその仕草とは裏腹にジョンの中の異物は思わぬ場所を突いたようで、大きく喘いだ。

「あぁぁっ……ステフさまぁぁ」

こいつはなんて声を出すんだ。まるでどうすれば俺が興奮し、ジョンをもっと欲しがるのかわかっているみたいだ。まったく腹の立つ。

ステフはイライラとジョンの中を乱雑に掻き乱した。指を増やしてもジョンはもう抵抗はしなかった。柔らかく解されたそこがステフを受け入れるのも時間の問題だ。

「ジョン、顔を上げてこっち見ろ」

ステフに向けられたジョンの顔は紅潮し、瞳は潤み、どこを見ているのか分からなかった。
濡れた口元から発せられる喘ぎに、ステフの身体は火がついたように熱くなり、先ほど熱を冷ましたばかりの股間は大きく膨らんでいた。

三本の指を自身に見立て抜き差しを繰り返す。もうほとんどジョンの中に入っているような気分だった。

ジョンは限界なのかいやいやと頭を振り、懇願するようにステフを見つめた。
体を震わせ背を弓なりに仰け反らせると、待てと言う間もなく達してしまった。白濁を飛ばし、孔内のステフの指強く締め付ける。こんなふうに自分のモノを締め付けられたらどんな感じがするのだろう。

ステフはもう我慢が出来なかった。一刻も早くジョンの中に入りたい、それしか考えられなかった。

つづく


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Sの可愛い子犬 7 [Sの可愛い子犬]

ステフは裸になり、現れた自分のモノに驚愕した。
今までのどんな時より硬く凶器のように反り上がっていた。その先はぬらぬらと濡れており、今もどんどん溢れている。

ステフは誘われるがまま、ジョンの赤く熟れた蕾に挿入し始めた。
足を押さえつけ拡げると、抵抗する間もなくどんどんと呑み込ませてゆく。
窄まっていたひだが綺麗に拡がりまるで喰い付いているようだった。

ジョンが声をあげて何かを言っていたが、ステフにはまるで聞こえていなかった。ただただそこを全部自分のもので塞ぐことしか頭になかった。

奥にもっと奥に。

気づくとジョンは苦しそうにあえぎ涙を零していた。
口をパクパクさせて溺れかけの魚みたいだ。きっといつものように声も出せずにいるのだ。情けない。

それなのに、ステフは初めてジョンのその唇に吸い付きたいと思った。

あまりに唐突な自分の中の感情に困惑した。

なんで俺がジョンなんかの――

ふいにジョンのすべてが俺を誘っているように見えた。違う。ジョンが誘うからじゃない。こいつの思い通りに俺が行動するわけない。あくまで俺がジョンを支配しているんだ。

腰をそろりと動かし始めると、ジョンがこれまで聞いたことのない官能的な声をあげて仰け反った。
堪らずステフはジョンに抱きつき、自分を惑わす声を発するその口を塞いだ。
夢中でその口にしゃぶりつき、夢中で腰を振った。

そのうちジョンは気を失ったのか、糸の切れた操り人形のようにただ横たわっていた。ステフはそんなジョンを揺さぶり続けとうとう絶頂を迎えた。
それでもなお自分を惑わすジョンを、更に突き上げ犯し続けた。

ステフはジョンに対する征服感とは裏腹に、なぜか支配されてしまったように感じていた。あの日、大木の中で自分を見上げた黒い瞳に魅せられてしまった時のように。

ジョンはステフに犯されるように抱かれて以来、数日間動くことができなかった。体の節々はギシギシと音を立て、ステフが侵入した場所は赤く腫れ血が滲んでいた。

そんなジョンにステフの命令で世話係がつけられたが、そいつは食事を運ぶ程度のことしかしなかった。
結局ジョンは自分で洗面器に張られた水でタオルを濡らし、汚れた体を綺麗にするしかなかった。食事はほとんど喉を通らず、傷が癒えるまでただ横になって過ごした。

使用人の間ではジョンに対する感情がさらに悪化していた。アストンはジョンが息子に痛い目に遭わされたのだと思い、実際に何が起こったのか気づくこともなく満足していた。

ステフはジョンを避けていた。
我を失ってしまったことでジョンを傷つけてしまったからではない、我を失うほどジョンに夢中になってしまったことにショックを受けていた。目を瞑ればあの時の快感が思い起こされ、どうしようもなく体が疼く。ジョンに会わない時間が長くなればなるほど、欲求は募るばかりだ。

ジョンがようやく動けるようになった頃、ステフは我慢するのをやめた。あの顔が見たくてたまらない。無理矢理部屋へ引きずり込むと、いつものようにしゃぶらせた。

喉の奥まで突き刺すようにしてやると、ジョンは苦しそうな顔で涙を流す。それでもいじらしいくらい我慢して、ステフがその口の中へ出すのを促す。

潤んだ瞳はブラックオパールのようで、黒い中に無数の色彩が煌めいているようだ。
その瞳で見上げられると、すぐに絶頂感がやってくる。

つづく


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Sの可愛い子犬 8 [Sの可愛い子犬]

春先になり、アストンは住まいをロンドンへ移すことを決めた。滞っていた事務的な手続きが終わり、次の段階へ移る時が来たのだ。
成り上がりのアストンは社交場で顔を広める必要があった。良くも悪くもごく一部の界隈では名前を知られてはいるが、もっと大物と知り合う必要があった。それは息子ステファンのために他ならない。上流社会へうまく入り込むには大きな後ろ盾が必要だ。小物のコッパーなどではなく。

妻であるアストン夫人は好き勝手に遊びまわっている。今はイタリアを旅行中らしいが、息子を気にかけることは一切ない。ステファンとは血の繋がりがないからだ。

父親の計画など知ったことかとばかりに、ステファンはロンドン行きを断った。この屋敷が気に入ったからだと言っていたが、父親のへこへこする姿を見たくはないからだろう。金ならいくらでもあるが、貴族社会の好む地位と名誉はアストンが持たざるものだった。手に入れるためには、地べたに這いつくばる必要さえあった。

ステファンがここへ残ることになり、多少計画を変更せざるを得なかった。ジョンをどうするべきか決めあぐねていたが、もうしばらくステファンの相手をさせておくことにした。その後は下働きとしてどこかへ売り飛ばすのもいいだろう。

結果、元々多くもない使用人の半数をここに残すことになった。使用人など向こうで雇えばいいのだろうが、貴族に仕えていたような奴らはどうも信用ならない。

いよいよロンドンへ向かうという頃に、一人の客が訪ねて来た。
男はアルフレッド・スタンレーという弁護士だった。

アストンは警戒した。
弁護士に訪問される覚えなどないからだ。いや、覚えはあるがそんなへまはしていないと心の中で思っていた。
弁護士は、コッパー子爵の知り合いだと言った。
こちらに子爵の息子のジョン・スチュワートがいると聞き、近くまで来たのでぜひ会いたいというものだったが、もしかするとコッパーの奴から何か聞いていたのかもしれない。だが、何か知っていたとしてそれが何になる?死人に口なしだ。

弁護士はこの近くに領地をもつ、スタンレー伯爵の親戚だという。
スタンレー……知っている。
少し変わった伯爵と聞いている。しかしその後ろにはランフォード公爵が控えている。莫大な富と権力を持った貴族の一人だ。

アストンは、この客人を丁重にもてなすことにした。

余計な事を言わないように釘を刺すため、ジョンを自ら呼びに行った。ジョンは図書室でステファンと本を読んでいた。こいつに利用価値などないと思っていたが、ステファンがこれまで見向きもしなかった読書に興味を持ったのはこいつの影響なのだろう。これから一生、息子の下僕として仕えさせるのも悪くないのかもしれない。

「ジョン、余計な事を言うんじゃないぞ。お前はここで何不自由なく暮らしているんだからな。厩舎で働いていたことは絶対に言うなよ」

怯えるジョンは黙って首を縦に振るだけだった。

ジョンはアストンの期待通り余計なことは口にしなかった。弁護士はあれこれ質問していたが、手応えのなさに諦めたのか一杯のお茶を飲み干すと早々に帰っていった。

アストンは安堵し、さっさと部屋へ戻れとジョンに言った。

つづく


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Sの可愛い子犬 9 [Sの可愛い子犬]

ステフと図書室にいたジョンは、普段ほとんど姿を見ることのないアストンがそこに現れた時には、心臓が止まりそうなほど驚いた。いつものように股間を弄られ、今まさに下半身を露出させられようとしていたところだったからだ。動揺しつつステフに目を向けると、その目が何も言うなと語っていた。

ジョンは客のいる部屋に連れて行かれ、父の知り合いだという男と対面した。
優しく微笑みかけるその人に、助けてと言いたかった。今すぐここから連れて行ってと言いたかった。
しかしすぐそばでアストンの目が光っていて、恐ろしくてそんなこと言えなかった。
それに言ったとしても、目の前の男が助けてくれる保証はない。
ジョンは口から出かけた言葉をすべて呑み込んだ。

アストンに言われた通り部屋へ戻ると、ステフがベッドに腰を掛けて待っていた
不敵な笑みを浮かべ近寄ってくるのを待っている。
諦め半分にとぼとぼと近寄ると、ステフに手首を強く掴まれ股の間に引き寄せられた。

「何か言ったのか?」

先ほどの笑みは消え真顔で詰問するステフに、ジョンは震え上がった。何も言っていないのだから怖がる必要などないのに、体ががたがたと震える。

「な、なにも言っていません」

僕はせっかくのチャンスをふいにしたのだろうか?助けてと言っていれば、アストンの支配から逃れ、ステフに玩具にされることもない生活を取り戻せたのだろうか?
逆らえるはずはない。アストンのおかげで生きているのだから。
兄がいつか子爵家を再興してくれるのを、じっと待つしかない。

「そうか」ステフは安心したのかジョンの手首を掴む手を緩めた。それでも離すことはなく、ジョンをもっと近くに引き寄せる。「ジョン、もう少しで思う存分二人で遊べるな」ステフはにやにやしながら、ジョンのシャツのボタンに手をかけた。

「さっきの続きしてやろうか?」ステフの指先がジョンの股間で止まった。

ジョンは返事ができない。嫌だとも、お願いしますとも言えない。ただじっと相手がどうするのか待つしかない。

「それとも自分でやるか?」

つまり、そうしろということだ。逆らえるはずない。

「あっ……あ…っ」

「どうだ?見られてると興奮する?」

ステフはベッドに腰をかけたまま、目の前のソファに座り自分を慰めるジョンを楽しそうに見ている。
恥ずかしくて顔を背けると、ステフがこっちを向けと強い口調で命じた。

ジョンは言われた通り、情けない顔をステフに向けた。嫌々している行為なのに、勝手に気持ちよくなって、どうしようもない奴だと思われているに違いない。ステフはいったい何を望んでいるのだろう。日々退屈しているのは知っている。これはただの遊びで、僕のこんな姿を見て、笑って、馬鹿にして満足するのだろう。

僕のこと、嫌いなのはわかっている。

「なにぼんやりしているんだ?」ステフは腹を立てたのか、寄って来てジョンの右足首を掴み上へ持ち上げた。
ソファに寄り掛かっていたジョンの背がずるりと滑り、お尻を突き出す形になった。

「そのまま、自分のを気持ちよくしていな」ステフはそう言って、ジョンの秘部を弄り始めた。ステフがそこに触れたのはあの時以来だ。

「あふっ…あん……あっ…」ジョンはステフに弄られ見つめられ、どうしようもなく興奮していた。

「ジョン、こっち見ろ。お前のここぐちゃぐちゃだぞ!指を欲しがってヒクついていやらしいやつだ」

そんなことを言われ、虚ろな目でステフを見るが、突き上げてくる快感をもはや抑えることができない。

「ジョン、イっていいぞ。ほら、イケよ――もっと自分の手を動かして――それとも、お前のココを激しく突いてやろうか」

ジョンは頭を左右に振り、それから間もなく達した。

つづく


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Sの可愛い子犬 10 [Sの可愛い子犬]

アストンがロンドンへ発った。
暫くはジョンとステフ二人きりで過ごす。
いつもは別々の食事も一緒にした。階下にいた時とは比べ物にならないほど豪勢な食事だったが、ステフはあまり食事に興味がないようで、同じものばかり口にしていた。
ジョンも慎ましい食事に慣れていたので、そのほとんどは階下の使用人たちに回された。

アストンの監視の目がなくなった使用人たちは最低限の仕事だけして、あとは自由に過ごしていた。時折、ジョンの姿を見かけてはその待遇の差に腹を立てていた。

「なんだって、あの子供だけが特別扱いなのさ」
「まったくだな……いいもの着て、美味しいもの食べて」
「実はちょっと耳に挟んだんだけど、貴族だったって噂だよ」
「貴族?あんな子が?いつもビクビクして、貴族のかけらもなさそうだけど――」
「ほら、こっちへ来るよ」

図書室から持ち出した本を戻すため、ジョンは階段をおりていた。話し声が聞こえ引き返そうかとも思ったが、気にしても仕方がないので用を済ませることを優先した。

階段を下りきったところで、掃除をしていた使用人たちに囲まれた。

「なあ、お前――貴族だったのか?」

ジョンは声をかけてきた男を見た。屋敷に残った使用人の中では一番若く、おそらくジョンとさほど歳は離れていない。貴族だというだけで敵視しているようには見えなかったが、咄嗟のことに質問に答えることができなかった。

「貴族様がこんなところにいるもんかい。違うに決まっているさ」擦り切れたエプロン姿の女は馬鹿馬鹿しいとばかりに言い捨て、ジョンが否定の言葉を口にするのを待っている。

ジョンはすっかり狼狽え、持っていた本を落としてしまった。
その姿に使用人たちの目の色が変わった。

「へぇ、どうやら本当みたいだね。あたしは貴族なんてものが大嫌いなんだよ」箒を持った女がジョンのふくらはぎをその柄で叩いた。

「いたっ――」

「痛いんだってさ。――もう貴族でもないくせに、働きもせず美味しいもの食べて、このくらい我慢しな。さっ、あたし達は仕事仕事」

笑いながら使用人たちは行ってしまった。

アストンがあの人を雇っている理由が分かった。彼女も貴族が嫌いだからだ。嫌われる理由がそれなら、僕にはどうしようもない。

叩かれた脚はジンジンしていた。でもそれよりも心が痛かった。ここへ来た初日に殴られたことも、今思えばたいしたことない。体に直接与えられる痛みよりも、心をえぐられる方が何倍も辛い。

部屋へ戻るとステフがいた。ジョンは思わずあとずさった。
怖い。またきっとひどい目にあう。
いや違う――嫌でも気持ちよくなっておかしくなる。まるで僕が僕でなくなってしまったかのように。

「来いよ」

手招きをされたが、足が竦んで動けなかった。

「来いって言ってるだろっ」ステフは怒鳴り、跳ぶようにしてジョンのもとまでやってくると襟首を掴みぐっと上に持ち上げた。

ジョンは間近でステフを正視した。怒っているときもそうでないときも、緑色の瞳は宝石のようにきらきらしていて、とてもひどいことをするようには見えない。

でも、実際は違う。

ステフはジョンをベッドに投げ出し馬乗りになると、顔を覗き込み冷たく言い放った。

「知ってるか?お前が俺に逆らったらどうなるのか。お前の兄もここへ連れてこようか?」

どうして……どうしてそんなことを言うのだろうか?
貴族だったら苛められて、借金があったら苛められて、それを一人で我慢しなければならない――どうして?
涙がどれだけ溢れたとしても、誰も助けてはくれない。

「ご……ごめんなさい」ジョンは震える声でなんとか謝った。

つづく


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