はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

薄紅の心 2 [薄紅の心]

「瑞希、いるのか?」
学校から帰宅した慶が二階の瑞希の部屋を覗いた。

「どうした、瑞希……寝てるのか?」
ベッドに無造作に横になる瑞希を見て心配そうに声を掛けた。

「兄さん、なんだかだるくて休んでたんだ。兄さんこそ部活は?」
「ああ、今日はさぼり……」
「珍しいね、兄さんがサボりなんて」
瑞希は蒼い顔で少しだけ笑った。
慶は瑞希に背を向けベッドの端に座った。

「瑞希……ここで父さんと何してるの?」
なんて自分は残酷なんだと、慶は思った。
蒼い顔をして体がだるいと横になっている瑞希に、容赦なく自分が見た光景について尋ねている。
何をしていたかは分かってる。瑞希が父に凌辱されていた。瑞希はただ震えていただけだった。
どうしてこんなことを口にしたのかは分かっている。
自分が瑞希を欲しいからだ。
慶は瑞希の答えを待った。
なんて言うのだろうか?
知らないとしらを切るのだろうか?

瑞希は怯えて声も出せないでいた。

背を向けていた慶が、振り向き瑞希の顔を覗き込んだ。
瑞希の怯えた目がかわいい。
今にも溢れだしそうなほどに潤んだ瞳を舐めてやりたい。
長い前髪が横に流れ現れたおでこにキスしたい。
そして、白く乾燥した唇を潤ませてやりたい。
怯えてカチカチと鳴る綺麗に並んだ歯を一本一本舌でなぞりたい。

「瑞希、母さんには黙ってるから俺には言って」
瑞希を追い込むように、返事を促す。

「な…なんのこと?」
震えながら発した言葉は明らかに動揺を隠せないでいた。
「言うなって父さんに言われてるんだろ。瑞希がちゃんと言ってくれないと、俺が見たことを母さんに言うけど……」
瑞希が目を見開き、慶を見た。
その目の端からは涙が零れ、やめてと訴えているようだった。

それでも慶はさらに瑞希を追い込んでいく。
瑞希の耳元に顔を寄せひどい言葉を浴びせる。
「それとも、瑞希があんなこと父さんにさせたの?瑞希が誘ったの?」

瑞希は息を呑み、もはや何も考える事などできなくなっている。
それでもなんとか言葉を発する。

「ち……がう――違う…ぼくじゃない、ぼくじゃ……」

分かっている。瑞希がそんなことさせるはずない。あのいやらしい父が、瑞希を穢した。

慶が瑞希のおでこに触れ、優しく髪を梳く。
瑞希は慶に触れられびくりと怯え、顔を背けた。

「瑞希、どこまでされた?」
慶は悔しかった。
父親に先を越された事に、胸の中は嫉妬という感情が暴れまわっていた。

慶は怯える瑞希の顔を両手で掴み、自分に目を向けさせた。
「キスはされたの?」
瑞希の顔が小さく左右に振れた。
「じゃあ、身体を触られた?」
今度は動きがなかったが、慶の手には瑞希の震えが伝わっていた。
「触られて、それで舐められたの?それ以上は?」

それ以上――それは今、最も瑞希が恐れていることだ。
孝雄が出張から戻れば、『次』へ進む。
『次』が瑞希の想像通りなら、それはとても恐ろしくて耐え難いものだ。

「兄さん、ごめんなさい……」
それだけ言葉を発すると瑞希はついに泣き出してしまった。
その嗚咽する姿は、孝雄にされていることがどんなに苦しく厭な事かが分かった。
そしてそれを慶に見られてしまったことも瑞希を苦しめていた。

慶は瑞希の泣く姿にさえ欲情していた。

本当は今すぐにでも、孝雄にされた行為をすべて消し去ってやりたい。
自分の手と口と、身体すべてで――

つづく


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