はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

ヒナおじいちゃんに会いに行く 19 [ヒナおじいちゃんに会いに行く]

つくづく面白い。

ロシターは無表情の仮面をかぶったまま、胸の内で微笑んだ。

スペンサーがこちらのことをあまりに過小評価しているのが気に入らないが、そのうちそれが間違っていることに気付くだろう。その瞬間の顔を見ることが出来たら、今日のすべてを忘れてやってもいい。

なかなか手が掛かりそうだが、たかが子猫だ。手懐けられないことはない。

憮然とした足取りで前を行くスペンサーも、同じようなことを考えているのだろう。ダンを押さえつけてキスでもすれば奪えると思ったのか?でもまあ、悪い考えではない。少し子供っぽいが。こちらも同じ手に出てみようか?

そうまでして、この子猫が欲しいのだろうかと、ロシターは自問した。

スペンサーに言った通り、出会ってからまだ三十八日しか経っていない。もちろんロシターはそれよりも前にスペンサーを見て知っていたし、過去も少々探らせてもらった。とても興味深かった。

書斎には旦那様のほかにジェームズ様もいた。戸口に現れた二人を見て顔を顰める。どうやら仕事の邪魔をしてしまったようだ。

ロシターはスペンサーをかばうように、一歩前に出た。

「どうした?ヒナに何かあったのか?」ジャスティンはロシターに向かって訊ねた。

「やめてくれ。これ以上何をやらかすと言うんだ?」ジェームズは淡々と言って、広げていた図面を仕舞った。

「わからんだろうが。ヒナだぞ」ジャスティンは机を離れて、ロシターの立つ場所まで一気に詰めた。

ロシターの背に緊張が走る。冷静に対処しなければ、とんだとばっちりを受ける可能性があるからだ。

「問題はございません。お坊ちゃまがご友人を晩餐に招待したいとおっしゃられています。旦那様の了承が頂け次第、下に連絡を入れますが――」ロシターは必要なことだけを並べ立てた。

「晩餐?」そう言ったのは背後のスペンサー。寝耳に水というわけだ。

「晩餐だと?今日の今日でよくそんな……まあ、こっちは別に構わないが、向こうの都合は聞いたのか?」ジャスティンはロシターを通じて、背後のスペンサーに問い掛けた。

「ヒナに誘われて断れるはずがありません」スペンサーは選択の余地なく答えた。

「巻き込まれたんだな」ジェームズがぼそりと言う。

「つまり、まったく反省していないってことだな」とジャスティン。

「急に厳しくしても、今までが今までだからな。ロシター、人数が増えたことをホームズとシモンに知らせて、仕事に戻れ」ジェームズは同情するように言い、ロシターに冷めた視線を向けた。

「かしこまりました」ロシターはすぐさま退散した。

後に残ったスペンサーも、もちろん早々に退散した。

つづく


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