はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 300 [花嫁の秘密]

サミーは何も言わないが、ジュリエットの誘いを断ったのだろうか?

ティールームでお茶を飲むだけ?ホテルまで出向いて行ってそれだけで済むと思っているとしたら、あまりに世間知らずだ。以前同じホテルに滞在して、部屋で何時間も語り合ったと言っていたが、実際どうだったのか知る由もないし、いまさら聞いたところでどうしようもない。

「今夜はどうする?」エリックは尋ねた。特にすることがないなら、プルートスへ行って少し遊ぶのもいい。気分転換になるし、ついでにデレクたちを探ることもできる。あいつらの誰かは絶対に来ているだろうし。

「どうしようか。どこかのパーティーに参加してもいいし、面倒だからこのまま出掛けずに過ごしてもいい。どうせ君に何か考えがあるんだろう?」

いちいち言い方に棘があるのが気になるが、まあこっちの言うことに従うというならここは聞き流そう。

「プルートスへ行こう。お前とカードゲームをやりたいやつはいないだろうがな」

サミーはふんと鼻を鳴らした。「別にいかさまをしたわけじゃない。君の方はどうだかわからないけど」

「あそこでいかさま出来るやつはいないだろうな。すぐに見つかって追い出されるだけだ。それで?行くのか?」こいつは無理にでも連れ出さないと、一日暖炉の火が消えないように見てるに違いない。じっとして過ごすのが好きなわけじゃない。ただそうしないといけなかったから、そうしてきただけだ。サミーが一人で過ごしてきた日々や、耐えてきた苦痛のことは考えないようにしているが、ふとした時に頭に浮かび激しい怒りに襲われる。

こっちの気持ちを知ってか知らずか、サミーはのんびりと言う。「たまにはお酒でも飲もうかな」

「酒は戻ってからにしろ」こいつは酒を飲んだらどうなるかわかって言っているのか?もちろん弱い自覚はあるだろうが。

「この前みたいに一杯くらいならどうってことないだろう?」サミーは肘掛けに身を乗り出すように寄りかかり、まるで恋人に対しているように甘ったるい声でねだった。

こいつ、完全に遊んでいるな。でもまあ、俺の気持ちを利用しようと思うくらいには受け入れていると考えることもできる。

「もし酔っぱらったら、何をされても文句はなしだからな」そう言ったものの、外で酔わせるわけにはいかない。酔ったサミーはあまりに無防備で、誰につけこまれるかわかったもんじゃない。

だが、これは使えるかもしれない。サミーとデレクに、過去、何があったのか知る機会があるとしたらこういう時しかないだろう。デレクが今日来ていればいいが……。時間もあるし来るように仕向けるか。

「好きにすれば」サミーは打って変わって素っ気なく返し、再び椅子に深く沈んだ。気まぐれにもほどがある。

エリックも椅子に深く沈み目を閉じた。デレクはどうせ暇だ。シリルは確か街を離れたはず。ホワイトは従妹の音楽会だかなんだかに顔を出したあとは、特に予定はなかったはず。

目を開けて炉棚の上の置時計を見た。まだ間に合う。

「ちょっと出てくる。七時には戻る。支度して待ってろ」

サミーからの返事はなかったが、時間通りに支度して待っているはずだ。

つづく


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