はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花嫁の秘密 314 [花嫁の秘密]
大まかな計画を話し合った後、メリッサはラッセルホテルへ向かうため、一旦自分の屋敷へと戻って行った。エリックも帽子屋に用があると言って出かけ、一人残されたサミーは書斎で仕事に取り掛かることにした。
エリックがウィンター卿の空き家を買い取ったように、サミーもアンジェラ誘拐の現場となった廃墟同然の屋敷を手に入れようとしていた。無事手に入れたら、直ちに屋敷は取り壊す。跡形もなく。万が一クリスがそこに辿り着いても、誰が犯人だったのかわからなくするためだ。
持ち主がいまもジュリエットなら少し面倒だと思ったが、詳しく調べてみれば、まったくあの土地に縁のない人物の手に渡っていたことが判明した。そういえば、あの男の死体はどこへ埋めたのだろう。どこか別の場所ならいいが、あそこに埋まっているなら、やはりすぐにでも手に入れる必要がある。
代理人は誰を立てようか。リード家の弁護士を使うわけにもいかないし、自分で動くわけにもいかない。エリックの駒は使いたくないし、さてどうするか。
信用できるのは自分だけ。エリックのように人を金で雇うという手もあるが、信頼関係を結ぶのはそう簡単なことじゃない。
サミーは椅子の背に寄りかかり、両腕を大きく上げて伸びをした。食べてばかりで身体が重くなった気がする。運動も兼ねて少しは体を鍛えておくべきだろうか?
デレクに飛び掛かったエリックの動きは素早く、あの拳をよく寸前で止めたなと感心する。別にデレクの鼻が折れてもかまわなかったが、クラブで問題を起こすのは避けたかった。
帽子屋に行くと言ったエリックは、もしかしてメリッサをラッセルホテルまで送って行くために出かけたのだろうか。
『ビーならうまくやるだろう』とエリックは言ったが、ジュリエットは嫉妬深く危険な女だ、メリッサがあのホテルの支配人のお気に入りだと知ったら、いったい何をされるか分かったものではない。それでなくとも元女優という肩書に偏見を持つ者も多く、そういうやつらは後ろ盾がしっかりしているからといって、見方を変えることはない。
ああ見えてもメリッサは男だし、腕力で負けることはないかもしれないが――果たしてそうだろうか?――わずかばかりの金で危険な仕事を引き受ける輩は大勢いる。とはいえ、ボディーガードも連れてきているから、エリックもそばにいるなら僕のちっぽけな心配など無用というわけだ。
「ブラック」適当に呼んでみたが、いるだろうか?
「お呼びですが?」ほどなくして戸口にブラックが姿を見せた。お仕着せは着ておらず、自前の黒っぽい服装だ。いつでも闇に紛れることが出来るような風貌は、エリックの指示なのだろうか?
「うん、ドアを閉めて入って」これから僕が言うこと、果たしてブラックは聞き入れるだろうか。
つづく
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エリックがウィンター卿の空き家を買い取ったように、サミーもアンジェラ誘拐の現場となった廃墟同然の屋敷を手に入れようとしていた。無事手に入れたら、直ちに屋敷は取り壊す。跡形もなく。万が一クリスがそこに辿り着いても、誰が犯人だったのかわからなくするためだ。
持ち主がいまもジュリエットなら少し面倒だと思ったが、詳しく調べてみれば、まったくあの土地に縁のない人物の手に渡っていたことが判明した。そういえば、あの男の死体はどこへ埋めたのだろう。どこか別の場所ならいいが、あそこに埋まっているなら、やはりすぐにでも手に入れる必要がある。
代理人は誰を立てようか。リード家の弁護士を使うわけにもいかないし、自分で動くわけにもいかない。エリックの駒は使いたくないし、さてどうするか。
信用できるのは自分だけ。エリックのように人を金で雇うという手もあるが、信頼関係を結ぶのはそう簡単なことじゃない。
サミーは椅子の背に寄りかかり、両腕を大きく上げて伸びをした。食べてばかりで身体が重くなった気がする。運動も兼ねて少しは体を鍛えておくべきだろうか?
デレクに飛び掛かったエリックの動きは素早く、あの拳をよく寸前で止めたなと感心する。別にデレクの鼻が折れてもかまわなかったが、クラブで問題を起こすのは避けたかった。
帽子屋に行くと言ったエリックは、もしかしてメリッサをラッセルホテルまで送って行くために出かけたのだろうか。
『ビーならうまくやるだろう』とエリックは言ったが、ジュリエットは嫉妬深く危険な女だ、メリッサがあのホテルの支配人のお気に入りだと知ったら、いったい何をされるか分かったものではない。それでなくとも元女優という肩書に偏見を持つ者も多く、そういうやつらは後ろ盾がしっかりしているからといって、見方を変えることはない。
ああ見えてもメリッサは男だし、腕力で負けることはないかもしれないが――果たしてそうだろうか?――わずかばかりの金で危険な仕事を引き受ける輩は大勢いる。とはいえ、ボディーガードも連れてきているから、エリックもそばにいるなら僕のちっぽけな心配など無用というわけだ。
「ブラック」適当に呼んでみたが、いるだろうか?
「お呼びですが?」ほどなくして戸口にブラックが姿を見せた。お仕着せは着ておらず、自前の黒っぽい服装だ。いつでも闇に紛れることが出来るような風貌は、エリックの指示なのだろうか?
「うん、ドアを閉めて入って」これから僕が言うこと、果たしてブラックは聞き入れるだろうか。
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