はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
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花嫁の秘密 305 [花嫁の秘密]

サミーとデレクの確執は想像していたものと違っていた。

過去に接点などないと思っていたが――調べても出てこなかったので――デレクがサミーの背中の傷の存在を知るほど近くにいたと知って混乱した。と同時に、デレクがそれを武器にサミーに攻撃を仕掛けたことへの怒りで、エリックのすべては支配された。

気付けばデレクに飛びかかり押し倒していた。ここが大理石の床ではなく毛足の長い絨毯だったことを、デレクは感謝すべきだ。

「エリック!やめろっ!」

固く握った拳がデレクの鼻先で止まる。いま叫んだのはサミーか?それとも目の前の屑か?
止まっていた呼吸が再開し、大きく息を吐き出す。デレクの肩を押さえつける左手を喉に滑らせ、親指をぐっと押し込んだ。

呻き声が聞こえたが、こいつからはもう何も聞きたくない。二度とサミーを脅せないように喉を潰してやる。

「エリック、デレクから離れるんだ」

今度こそしっかりサミーの声が耳に届いた。落ち着いた声で、まるで俺が悪いと諭すような口調だ。脳内で無視しろと言う声が聞こえたが、エリックはデレクの喉元から手を放し、ゆっくりと立ち上がった。

「君が僕をサミーなんて呼ぶから」サミーはデレクを引き起こそうと手を伸ばした。

いつも思うが、この余裕ぶった態度は余計に相手を苛立たせるだけだ。まあ、相手が俺でなければいくらでも苛立たせればいい。

デレクはサミーの手を振り払い、ゴホゴホと咽ながら立ち上がった。足元がぐらつき、後ろへ一歩二歩とあとずさる。

「こんなことしてただで済むとでも?」デレクの言葉は誰に向けたものか。おそらくエリック、サミーの両方だろう。

エリックは思わず声を出して笑った。もう回りくどいことはなしだ。デレクには退場してもらう。サミーの前からも、そしてこのクラブからも。

「何がおかしい?」デレクは言葉を絞り出した。しばらく大きな声は出せないだろう。

「よく聞け、この間抜け」詰め寄ろうとしたら、サミーに止められた。そっと腕に触れただけだが、まるで首輪をつけられた犬のようにおとなしく従ってしまった。いったいどっちが間抜けなんだか。「ただで済まないのはお前の方だ。わかったらさっさと出ていけ」

「君は僕だけではなく、僕たちの大切な妹までも侮辱したんだ。誰を敵に回したかよく考えるんだね」

デレクは食いしばった歯の隙間から、息を吐き出した。目を見開きサミーを睨みつける。「そっちこそ、よく考えるんだな」捨て台詞を残し、ようやく部屋から出て行った

サミーが悠然とした足取りでデレクの後追い、ドアをしっかりと閉じた。

「もっと早く入ってくることもできただろう」振り返り言い添える。「様子をうかがってないでさ」

「そっちこそ、さっさとデレクの口を閉じていればよかったんだ」そうすれば、デレクに傷を見せたことがあるのを知らずにいられた。いったいいつどこで?これ以上知らないままでいるなど、耐えられそうにない。今度こそ、聞き出すまで引き下がらないから覚悟するんだな。

つづく


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