はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花嫁の秘密 311 [花嫁の秘密]
翌日の午後、ロンドンへ到着したばかりのメリッサがリード邸を訪れた。
着いたら、ここへ顔を出すようにエリックに言われていたからだ。
なぜという疑問を抱いても仕方がない。エリックがリード邸に来いと言うなら、そうする他ない。これがアンジェラの為でなかったなら従ってはいなかったと思うけど。
執事に案内され家族用の居間へ通されたメリッサは、その温かさと居心地の良さに思わずほっと息を吐いた。山積みの問題からしばらく離れてみるのも、そう悪くはないのかもしれない。
「やあ、ビー。元気にしてたか?そのコートすごく似合ってる」エリックはメリッサに歓迎の抱擁をして、頬――極めて唇に近い場所――にキスをした。
濃いグリーンのコートは、自分を高貴に見せようと新調したものだ。エリックが褒めたということは、合格点はもらえたのだろう。
メリッサはチクチクするような視線を感じつつ、エリックにキスを返した。「せっかくだから目立った方がいいと思ったのだけど、よかったかしら?ミスター・リード」エリックの脇から顔を出した。
「エリックの考え通りなら」サミーはエリックに鋭い視線をぶつけ、メリッサに向かって優雅に微笑んだ。
抱擁も、もちろんキスもなかったけど、歓迎はされているみたいでひとまずは安心ね。
メリッサは笑みを返し、脱いだコートを執事に預けて、促されるまま部屋で一番温かい場所に腰を下ろした。紅茶は熱々の注ぎたてで、テーブルにはサンドイッチに焼き菓子にと、メリッサが昼食を食べ損ねたのを知っているかのような歓待ぶりだ。
「ハントも一緒か?」エリックは前置きもなしに尋ねた。
二人の時なら特に気にしないけど、今日はこの場にミスター・リードもいる。エリックはずいぶん彼と仲良くなったようだけど、わたしは違うわ。でももう、そういう段階は過ぎてしまったのだろう。
「もちろんよ。それと侍女を一人」メリッサは遠慮することなく、ティーカップを手に取った。少しやけどしてもいいから、いますぐ身体を温めたい。
「新しく雇ったのか?」エリックの不満そうな声。自分で何でも仕切らないと気が済まないようだ。
「ええ、急遽ね。と言ってもあなたも知っている人よ」エリックから知らせを受けて真っ先に連絡したのは、以前身の回りの世話をしてくれていたグウィネス。彼女はメリッサにとって母親のような存在で、しばらく連絡を取っていなかったにもかかわらず、屋敷を開けて待ってくれていた。
すぐに誰だかピンと来たのか、エリックは訳知り顔で頷いた。「いい顔しなかっただろう?」
「そうね、とても急だったから」メリッサは恨めしげにエリックを睨みつけた。
「あとで機嫌を取っておくから、そう言うな」
エリックにかかれば、グウィネスはたちまち機嫌を直すに決まっている。まあ、そう不機嫌でもなかったのだけれど、何でも言うことを聞くと思われるのも癪だし、勘違いしたままでいいわ。
つづく
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着いたら、ここへ顔を出すようにエリックに言われていたからだ。
なぜという疑問を抱いても仕方がない。エリックがリード邸に来いと言うなら、そうする他ない。これがアンジェラの為でなかったなら従ってはいなかったと思うけど。
執事に案内され家族用の居間へ通されたメリッサは、その温かさと居心地の良さに思わずほっと息を吐いた。山積みの問題からしばらく離れてみるのも、そう悪くはないのかもしれない。
「やあ、ビー。元気にしてたか?そのコートすごく似合ってる」エリックはメリッサに歓迎の抱擁をして、頬――極めて唇に近い場所――にキスをした。
濃いグリーンのコートは、自分を高貴に見せようと新調したものだ。エリックが褒めたということは、合格点はもらえたのだろう。
メリッサはチクチクするような視線を感じつつ、エリックにキスを返した。「せっかくだから目立った方がいいと思ったのだけど、よかったかしら?ミスター・リード」エリックの脇から顔を出した。
「エリックの考え通りなら」サミーはエリックに鋭い視線をぶつけ、メリッサに向かって優雅に微笑んだ。
抱擁も、もちろんキスもなかったけど、歓迎はされているみたいでひとまずは安心ね。
メリッサは笑みを返し、脱いだコートを執事に預けて、促されるまま部屋で一番温かい場所に腰を下ろした。紅茶は熱々の注ぎたてで、テーブルにはサンドイッチに焼き菓子にと、メリッサが昼食を食べ損ねたのを知っているかのような歓待ぶりだ。
「ハントも一緒か?」エリックは前置きもなしに尋ねた。
二人の時なら特に気にしないけど、今日はこの場にミスター・リードもいる。エリックはずいぶん彼と仲良くなったようだけど、わたしは違うわ。でももう、そういう段階は過ぎてしまったのだろう。
「もちろんよ。それと侍女を一人」メリッサは遠慮することなく、ティーカップを手に取った。少しやけどしてもいいから、いますぐ身体を温めたい。
「新しく雇ったのか?」エリックの不満そうな声。自分で何でも仕切らないと気が済まないようだ。
「ええ、急遽ね。と言ってもあなたも知っている人よ」エリックから知らせを受けて真っ先に連絡したのは、以前身の回りの世話をしてくれていたグウィネス。彼女はメリッサにとって母親のような存在で、しばらく連絡を取っていなかったにもかかわらず、屋敷を開けて待ってくれていた。
すぐに誰だかピンと来たのか、エリックは訳知り顔で頷いた。「いい顔しなかっただろう?」
「そうね、とても急だったから」メリッサは恨めしげにエリックを睨みつけた。
「あとで機嫌を取っておくから、そう言うな」
エリックにかかれば、グウィネスはたちまち機嫌を直すに決まっている。まあ、そう不機嫌でもなかったのだけれど、何でも言うことを聞くと思われるのも癪だし、勘違いしたままでいいわ。
つづく
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