はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花嫁の秘密 313 [花嫁の秘密]
「ビー、余計なことをしゃべるな」用を済ませて居間に戻ったエリックは、開口一番唸るように言った。
少し目を離したらこうだ。ビーがおしゃべりなのは、いまに始まったことではない。だが、サミーはどうだ?いつになくご機嫌でビーの相手をしているじゃないか。
「あら、必要な情報を聞いていただけよ。誰かさんが話してくれないから」メリッサは嫌味っぽい口調で反論し、意味ありげな薄い緑色の瞳でサミーに目配せをした。
「お前の学校の話が必要な情報だとは思わないが」エリックはサミーの隣に不機嫌さもあらわに座り、目の前のティーカップを手に取って口を付けた「アチッ!」
「冷めていたから新しいものを持ってきてもらったんだ。焼き菓子もどうぞ」サミーはすまし顔で焼き菓子の乗った皿をエリックの方に押した。「セシルがいるつもりで作りすぎたみたいだ」
「どうせ二週間くらいで戻ってくる。缶にでも詰めて置いておいてやれ」エリックはサッと手を払った。
「君がウィンター卿から屋敷を買い取っていたなんて知らなかったよ。買い叩いたのかい?それとも憐れんで相場よりも高値で引き受けたのか、どっちだ?」
ひとつも興味ないくせになぜ聞きたがる?「買い叩いたに決まっているだろう。あの男に憐れみなんて必要ないね。まあ屋敷自体はなかなかの物件だったが、ほとんど放置した状態だったし手続きもこっちで全部やってやったんだ。文句を言われる筋合いないね」
「今度はきちんと管理してみせるわ。改装も終わって、いまは細かいところに手を入れている最中よ。あとは人選だけ」失敗の許されないメリッサの声は、いつになく力強かった。
「進めてるから心配するな。とにかくこの話は終わりだ」ったく。なんだってこっちの手の内を見せなきゃならん。「ビー、お前ラッセルホテルに滞在する気はないか?」
「いいえ、ないわ」メリッサは即答した。選択肢があれば、エリックの言うことなど聞きたくないのが本音だろう。
「そう言わず、グウィネスとラッセルホテルへ行け」不満げに睨みつけるメリッサに言い添える。「別にジュリエットと親しくなれとは言っていない。まあ、向こうが断るだろうが」
メリッサはわざとらしく諦めの溜息を吐いた。「念のためそのシナリオも考えてはいたわ。あなたが何を考えてそう言うのかも、わかっているつもりよ」
「嫌なら無理することない」サミーが心配そうに口を挟む。
エリックはサミーに鋭い視線を向けた。「誰のせいでビーを呼びつけることになったのか、よく考えるんだな」
「僕のせいだっていうのか?君が勝手についてくると言ったんだろう?僕はジュリエットと二人で花火を見る、それだけなのに」サミーはむきになって言い返した。
「それで済むと思っているとしたら相当な間抜けだな」エリックは可笑しくもないのに笑いをこぼした。ほんとこいつにはイライラさせられる。無計画なくせに、少しは言うことを聞いたらどうだ?
サミーは不機嫌極まりないといった様子で鼻を鳴らした。
「エリックが過保護なのは、いまに始まったことではないわ。わたしだって出会ってからいままでずっと子供みたいな扱いを受けてきて、うんざりすることもあるのよ」メリッサは落ち着いた口調でサミーを援護した。
「そういうことを言っているうちは、まだまだ子供だな。まあ、同い年のセシルに比べたらずいぶんと大人っぽくはあるけどな」
セシルの場合、大人になる気がないと言ってもいい。ビーは大人にならざるを得なかったし、ハニーも結婚で想像もしなかった世界に身を置くことになったが、セシルは一〇代から何の変化もないままだ。なによりまずは学生生活を終わらせないと、次の段階へ進むことはないだろう。
まったく。どいつもこいつも俺の事を仕切り屋と言うが、たまには素直に感謝したらどうだ。
つづく
前へ<< >>次へ
にほんブログ村
少し目を離したらこうだ。ビーがおしゃべりなのは、いまに始まったことではない。だが、サミーはどうだ?いつになくご機嫌でビーの相手をしているじゃないか。
「あら、必要な情報を聞いていただけよ。誰かさんが話してくれないから」メリッサは嫌味っぽい口調で反論し、意味ありげな薄い緑色の瞳でサミーに目配せをした。
「お前の学校の話が必要な情報だとは思わないが」エリックはサミーの隣に不機嫌さもあらわに座り、目の前のティーカップを手に取って口を付けた「アチッ!」
「冷めていたから新しいものを持ってきてもらったんだ。焼き菓子もどうぞ」サミーはすまし顔で焼き菓子の乗った皿をエリックの方に押した。「セシルがいるつもりで作りすぎたみたいだ」
「どうせ二週間くらいで戻ってくる。缶にでも詰めて置いておいてやれ」エリックはサッと手を払った。
「君がウィンター卿から屋敷を買い取っていたなんて知らなかったよ。買い叩いたのかい?それとも憐れんで相場よりも高値で引き受けたのか、どっちだ?」
ひとつも興味ないくせになぜ聞きたがる?「買い叩いたに決まっているだろう。あの男に憐れみなんて必要ないね。まあ屋敷自体はなかなかの物件だったが、ほとんど放置した状態だったし手続きもこっちで全部やってやったんだ。文句を言われる筋合いないね」
「今度はきちんと管理してみせるわ。改装も終わって、いまは細かいところに手を入れている最中よ。あとは人選だけ」失敗の許されないメリッサの声は、いつになく力強かった。
「進めてるから心配するな。とにかくこの話は終わりだ」ったく。なんだってこっちの手の内を見せなきゃならん。「ビー、お前ラッセルホテルに滞在する気はないか?」
「いいえ、ないわ」メリッサは即答した。選択肢があれば、エリックの言うことなど聞きたくないのが本音だろう。
「そう言わず、グウィネスとラッセルホテルへ行け」不満げに睨みつけるメリッサに言い添える。「別にジュリエットと親しくなれとは言っていない。まあ、向こうが断るだろうが」
メリッサはわざとらしく諦めの溜息を吐いた。「念のためそのシナリオも考えてはいたわ。あなたが何を考えてそう言うのかも、わかっているつもりよ」
「嫌なら無理することない」サミーが心配そうに口を挟む。
エリックはサミーに鋭い視線を向けた。「誰のせいでビーを呼びつけることになったのか、よく考えるんだな」
「僕のせいだっていうのか?君が勝手についてくると言ったんだろう?僕はジュリエットと二人で花火を見る、それだけなのに」サミーはむきになって言い返した。
「それで済むと思っているとしたら相当な間抜けだな」エリックは可笑しくもないのに笑いをこぼした。ほんとこいつにはイライラさせられる。無計画なくせに、少しは言うことを聞いたらどうだ?
サミーは不機嫌極まりないといった様子で鼻を鳴らした。
「エリックが過保護なのは、いまに始まったことではないわ。わたしだって出会ってからいままでずっと子供みたいな扱いを受けてきて、うんざりすることもあるのよ」メリッサは落ち着いた口調でサミーを援護した。
「そういうことを言っているうちは、まだまだ子供だな。まあ、同い年のセシルに比べたらずいぶんと大人っぽくはあるけどな」
セシルの場合、大人になる気がないと言ってもいい。ビーは大人にならざるを得なかったし、ハニーも結婚で想像もしなかった世界に身を置くことになったが、セシルは一〇代から何の変化もないままだ。なによりまずは学生生活を終わらせないと、次の段階へ進むことはないだろう。
まったく。どいつもこいつも俺の事を仕切り屋と言うが、たまには素直に感謝したらどうだ。
つづく
前へ<< >>次へ
にほんブログ村