はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 299 [花嫁の秘密]

「クリスは何だって?」

エリックの問いかけに、サミーは顔をあげた。外出から戻ったようだ。

「クリスはクリスで調べているようだよ。君のスパイを借りるってさ」サミーは紙切れをエリックに差し出した。ついさっきクリスから届いた電報にはセシルが無事到着したことと、エリックが送り込んだ調査員を引き留めることが書かれていた。

エリックは特に確認するでもなく、肘掛椅子に座ると暖炉に向かって足を伸ばした。「まあ、向こうで調べることもあるだろうな。これでしばらく動きもないだろうし、好きにさせておけばいい」

「どうして動きがないとわかる?」数ヶ月経ってまた動き始めたというのに、これだけで終わりとは思えない。

「動く必要がないからだ。俺たちもカウントダウンまではゆっくりしよう」エリックは意味ありげに微笑んだ。

「ゆっくり?本気で言っているのか?アンジェラは住み慣れた場所から離れなきゃいけないっていうのに」エリックには本当にイライラさせられる。この数時間どこで何をしてきたのか言うつもりはないだろうし、何を考えているのか頭の中を覗かせる気もないだろう。

「別に知らない場所へ行くわけじゃないし、クリスが一緒だからどうってことない。それに母様やマーサにも会えるんだ」

確かにアンジェラにとっては、ある意味ではいい機会だ。中途半端になっている問題を解決するには、親子でしっかりと話し合うしかない。ソフィアはアンジェラに危険が迫っていると知れば――おそらくもう知っている――全力で守ろうとするだろう。

「君はあちこち招待されていると言っていなかったか?」サミーは憮然と訊いた。

「残りの招待はすべて断った。状況が変わったから仕方ないだろう?箱がこっちに届けば、動かなきゃならんしな」エリックはそう言って、大きなあくびをしながら椅子の上で伸びをした。

サミーは疑り深い目をエリックに向けた。状況は変わったけど、そもそも残りの招待というものが本当に存在したのか疑問だ。ブライアークリフ卿のパーティーで、ジュリエットと僕を遭わせることだけが目的だったのでは?

エリックの考えることはさっぱりわからない。

けど、このよくわからない状態にもずいぶんと慣れた。目的のために利用されているのかもしれないけど、一緒にいるのもそう悪くない。

つづく


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