はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
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花嫁の秘密 275 [花嫁の秘密]

今夜ここに来た目的を忘れてはいない。けれど、この馬鹿を一人にさせておけば何をするかわかったもんじゃない。サミーが何か企んでいるのは目を見ればわかる。いや、見なくてもわかる。

ジュリエットとの関係は終わらせたと言っていたが――もともと何の関係もないのだが――不意を突かれて動揺するかと思いきや、また別の計画を思いついたに違いない。

二人は舞踏室を出て食事会場となっている応接室へと向かっていた。エリックは自分が邪魔者だとわかっていても、セシルと並んで後ろにぴたりと張り付いた。絶対に目を離すものか。

「ねえ、リック。サミーちょっと怒ってる?リックが隠してたの気づいてるんじゃない?」セシルが声を潜めて言った。

「あいつはいつもああだ」いつだって不機嫌で、俺に逆らってばかりだ。

「こうして見ると、案外お似合いだよね」

エリックは気でも触れたかとセシルを見た。「まったくそうは思わないね」強い口調で否定せずにはいられなかった。どこからどう見ても、サミーとジュリエットは不釣り合いだ。

「サミーって案外こういう場所でも堂々としているよね。あまり外には出ていなかったんでしょう?」

セシルの言うように、サミーは堂々としていてジュリエットをうまくエスコートしている。サミーに絡みつくジュリエットの腕を切り落としたいほどに。

エリックは自分の凶暴さに拍車がかかっていることに危機感を覚えていたが、なぜか冷静になれなかった。
応接室に入ると、四人は適当な場所にそれぞれ腰を落ち着けた。もちろんサミーはジュリエットと、エリックはセシルと別々の場所に。

「ねえ、二人で何の話をしていると思う?」セシルが尋ねた。先ほど食べ損ねたというサーモンのクリームソースだかレモンソースだかを食べて満足そうに唸った。

当然ジュリエットはサミーと今後も付き合っていくつもりで仕掛けてくるはず。それにサミーがどう対応するかだが、おそらく予想の逆を行くはずだ。つまり、関係を切って仕上げ段階に入るはずだったのに、しばらくは恋人まがいの付き合いを続けるってことだ。

エリックはサミーの手に握られたシャンパングラスに眉をひそめた。ほとんど口を付けてはいないが不愉快だ。酒は俺以外の前で飲むなと言ったのに、忘れたわけじゃないだろうな。

「セシル、俺たちは計画を練り直す必要がある」セシルに助けを求めるのはしゃくだが、背に腹は代えられない。

「リックもようやく僕を戦力として認めてくれたわけだ」セシルが得意になって言う。

「俺はデレクとシリルの様子を見に行かなきゃならん。お前はここに残ってあの二人を見張ってろ」

「離れて見てるだけでいいの?もっと近くへ移った方がいい?」

「どっちでも好きにしろ。とにかく二人きりにさせるな」二人きりになってしまえばキスのひとつやふたつしかねない。ジュリエットはあの手この手で迫るに違いないし、サミーも軽く応じかねない。

話の内容は後からいくらでも聞き出せるが、したことは取り消せない。だから未然に防ぐ必要がある。

つづく


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