はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 285 [花嫁の秘密]

「セシル様、コートニー邸から使いの者が来ております」

セシルは本棚の端で見つけた護身術の本を手に、図書室のいつもの場所でアイシングたっぷりのケーキを口に運んでいた。思いがけず執事に声を掛けられ、戸惑いながらもごもごと返事をする。

「僕に?」

「セシル様と、エリック様、お二人に」プラットは言葉をつけ足した。

「ここへ通しても差し支えないかな?」セシルはプラットに尋ねた。ここは自分の屋敷ではないし、今この場にサミーはいない。となれば、執事に確認を取るのが妥当だろう。

「もちろんでございます。すぐにお通しできますが――」

プラットが言い終わるが早いか、セシルのくつろぎの場所にせかせかとコートニー邸の従僕が入って来た。見覚えのない従僕だったが、慌てた様子なのは一目瞭然。いったい何事かとセシルは思わず立ち上がった。

「メイフィールド侯爵より、電報です」

セシルは差し出された電報を受け取りながら、首を傾げずにはいられなかった。「えっと、クリスから?」僕に?サミーにではなくて?「一通のみ?」

「エリック様とセシル様お二人に宛てたものと、ハサウェイさんに宛てたものの二通です」

ハサウェイはコートニー邸の執事だけど、わざわざ彼に宛てたということは何か指示を出したのだろうか?「お前はハサウェイから指示をもらったのか?」尋ねながら開封し、クリスからの知らせに目を通す。

最後まで目を通すまでもなく、これは自分の手に負えるものではないと気づいた。

「セシル様とエリック様から指示があればもらってこいと」従僕が答える。

「いや、今のところ指示はないから戻っていい。何かあれば使いをやるからとハサウェイに伝えて」セシルは従僕に帰るように言い、出て行くのを待って、プラットに声をかけた。

「サミーはまだ部屋?」

朝食後いつもなら図書室で一緒にお茶をするのだけど、今朝も疲れているからとサミーは部屋へ戻って行った。昨日あんなことがあったのだから仕方がない。リックが黙っていたせいで、サミーはジュリエットを避けようがなかった。

「書斎にいらっしゃいます。お呼びしますか?」

「ううん、僕が行くから大丈夫」書斎にいるならすぐに呼べばよかった。リックがどこへ出掛けたのかも知っていたらいいんだけど。

二人の関係は大きく変化している。少し前までは、もしかしてリックってサミーのこと好きなのかな?って程度だったのに、今は一緒にいたくて仕方がないって顔に書いてある。サミーはリックのことなんとも思っていないと言っていたし、きっとその方がいいに決まってるんだけど、本当は違うって結果を望んでる。

二人が並んで立つ姿を昨日のパーティーで見ていたら、それもありかなと。

書斎机に向かうサミーは頬杖をついて目を閉じていた。起こすのは忍びなかったけど、ハニーの一大事とあってはそうも言っていられない。

「サミー、ちょっといい?緊急事態なんだ」

つづく


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