はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 291 [花嫁の秘密]

アフタヌーンティーの時間に間に合うように帰宅したエリックは、ブラックからの報告を受けて溜息をもらした。

確かに、サミーにはジュリエットを引きつけておけと言った。こういう場合のサミーの行動の素早さも知っていた。だからこれは自分の失態だとしか言いようがない。

「それで、ジュリエットは返事を?」サミーのおかげで昼に食べたローストビーフを戻しそうだ。

「いいえ。あの方を焦らすつもりのようです。ですが、もう間もなく返事は来るでしょう」ブラックはにやりとした。この状況を面白がっているらしい。

エリックは苦い顔をした。サミーもこいつも、この状況をゲームか何かだとしか思っていない。まったく腹の立つ。「長くは我慢できないだろう。それで、中は見たんだろうな」

「もちろん、仕事ですから。あの方もそれをわかっていて封はしていませんでしたしね」

いかにもサミーらしい。「それで、内容は?」

「ウッドワース・ガーデンズで開催される、カウントダウンイベントに誘っていただけです」

「ウッドワース?ああ、花火が上がるらしいな」ああいう人が多い場所へ出るのは嫌いだと思っていたが、さっそく作戦を変更したというわけか。

「あなたも行くんですか?」

「そうするしかないだろう?」

状況の変化に伴い予定も変更せざるを得ないのは仕方がないが、サミーはいちいち面倒を増やす。ブラックは誘っただけと言ったが、ジュリエットと一緒に新年を迎え、その後どうするつもりだろう。

邪魔をするわけにもいかないし、さすがにサミーとジュリエットの後ろを飼い犬のようについて回るわけにもいかない。

こうなったらメリッサを呼び戻して協力させるか。いまは大事な時期だから邪魔はしたくなかったが、あの場所から離れるのも悪くないときっと思うはずだ。何よりこれがハニーの為となれば、協力は惜しまないだろう。

ブラックにいくつか指示を出し、エリックは自分の部屋へ戻った。階下では、サミーとセシルが最後のティータイムを楽しんでいるが、考えることが多すぎてとても参加する気にはなれなかった。

それに、サミーにも腹を立てていた。つんと澄ました顔を見たら、普段抑えている癇癪を爆発させてしまいそうだ。そうなったら、きっと何もかもどうでもよくなる。

ジュリエットに罰を与えることも、デレクのくだらないお遊びも、ただ黙って見逃して何もなかったかのように過ごす。だがサミーはジュリエットを許さないだろうし、クリスは犯人を知りたがって調査をやめないだろう。

デレクはそのうち賭けに勝つため強硬な手段に出てくる。無理に結婚させることは不可能となれば、次にどんな手を打つのだろうか?新たな賭けを仕掛け、お遊びを継続させるはずだ。

二人は友人ではないが、確実に確執が生まれるほどの接点が過去にあった。デレクからサミーに対する敵意は感じられないが、けっしていい感情は抱いていない。そうでなければ遊びとはいえサミーの死を望むはずない。

サミーに至ってはデレクの存在そのものを嫌悪している。

だが、過去に何があったのかを探るよりも、あのクラブを買い取る方が容易い気がする。

つづく


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