はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
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花嫁の秘密 284 [花嫁の秘密]

「メグを呼んでくれるか?私は書斎にいる。それと、アンジェラに気づかれないように頼む」

クリスは箱を手に書斎へ向かった。ダグラスが着替えはというような視線を送った気がしたが、今はそれどころではない。だいたい自分の屋敷でどんな格好をしていようが、文句を言われる筋合いはない。

そもそもダグラスが最初にアンジェラに話をしたのが間違いだ。主人が寝ていようがかまわず寝室へ押し入る権利はあるだろうに、なぜそうしなかった。憤っても仕方ないが、箱を開ける前と後ではいくらいつも冷静沈着なダグラスといえども動揺して当然だ。おそらく箱の中身をメグも見てしまったことも要因だろう。

ここまであからさまな脅しをしてきたのは何者だろうか。おそらく以前アンジェラを殺そうとした人物に間違いはないのだが、誰であれ、敷地内に入り込めたとは思えない。屋敷内に犯人がいるのだとしたら、ここを一刻も早く離れる必要がある。

メグは五分と経たず、書斎へやってきた。朝早くても髪の毛ひとつ乱れていない。背筋をピンと伸ばし仕事を妨げられた不満など微塵も見せない。アンジェラの着替えはもう済ませたのだろうか?それともまだあの寝間着でベッドにいるのだろうか。

机の前に立つクリスは箱の上に手を置いた。「メグ、この箱の中を見たね。ハンカチがアンジェラのものかどうかわかるか?」ハンカチについていた血がアンジェラのものではないのは、昨夜愛し合ったときに確認済みだ。身体のどこにも傷はなく、なめらかで美しかった。

「奥様のものではありません」メグははっきりと否定した。

「だが、アンジェラの名前が刺繍してあった」

「奥様のものではありません」メグは繰り返した。「それにそんなにへたくそではありません。おそらくこの箱を用意した者が誰かにさせたか、自分でしたかでしょう」

「内部の人間だと思うか?」すでにメグの返事で違うと判断していたが、他の者の意見を確認せずにはいられなかった。

「わたしにはわかりません。ですが、以前奥様の命を狙った者の仕業だと思います」メグの答えは的確だった。

「メグはそれが誰か知っているのか?」クリスは思い切って尋ねた。おそらくコートニーの兄たちは知っているのに、誰も俺たちに教えない。理由が何であれ、危険が迫っているのにこのまま黙っているのだとしたら、兄弟の縁を切ることだってあり得る。

「わたしは知りません」

メグが信頼できるのは、なによりまず嘘をつかないからだ。もしもどうしても嘘をつかなければならなくなった時、いったいどうするのだろう。

「アンジェラはどうしている?」クリスはひとまず肩の力を抜いた。

「寝室で旦那様をお待ちです。朝食はダグラスが部屋へ運ぶことにしたようです」部屋に押しとどめることに苦労したのか、わずかに眉間にしわが寄った。

クリスは思わず口元を綻ばせた。「わかった。仕事へ戻ってくれ。このことは私からアンジェラに話す」

「かしこまりました」

メグが出ていくと、クリスはダグラスを呼んだ。クリスマスの朝に届けられた贈り物について箝口令を敷き、これからどう対処すべきかを話し合った。

まずは電報をコートニー兄弟に送る。サミーに知らせるべきか迷ったが、前回無茶をして死にかけた――本人はまったくそう思っていないが――ことを思えば、しばらくは黙っているのがいいだろう。
コートニー兄弟には口止めをしておくべきか?だが一緒にロンドンへ出たエリックとは様々な催しに出席すると言っていた。あの二人、けっして仲がいいとは言えないが、どこまで情報を遮断できるかは不明瞭だ。

慎重に言葉を選ぶべきなのはわかっているが、何よりもまず知らせるのが先だ。そうすればコートニー兄弟も俺に犯人を言う気になるだろう。

よりによってこんな時に仕掛けてくるとは。犯人がサミーの手によって死んだ男ではなかったと、自ら告げてきたのはなぜだろう。

クリスマスの朝をゆっくりと過ごさせないためだとしたら、成功したと言わざるを得ないだろう。
さて、ハニーになんと告げようか。

つづく


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