はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花嫁の秘密 281 [花嫁の秘密]
もうあと三〇分でイヴが終わる。結局ジュリエットに伝言は頼まず、そのまま帰宅したが、何かあれば彼女は手紙を寄越すだろう。
今夜は何をしたわけでもないが、ひどく疲れていた。怒りや恨みなどないかのようにジュリエットと時間を共有するのは拷問に近い。自分の計画のために結婚という手もあるかと考えたりもしたが、おそらく一秒だってもたないだろう。人殺しでもかまわないけど――僕だってあのごろつきを殺した――アンジェラに危害を加えたことだけは許せない。
身体の汚れを洗い流し自室へ戻ったが、疲れた身体とは裏腹に頭も目もまだ冴えたままだ。暖炉の前の寝椅子にしばらく横になってこの二、三日の事を整理してみたものの、情報量が多すぎて頭が追いつかなかった。
ほとんど考えるのをやめてぼんやりとしていたら、予想通りエリックがやってきた。
エリックは僕を自分の物だと勘違いしているようで、弟の前でもそれを隠そうとしなくなっている。正直、そういうのは迷惑だ。だがエリックに言ったところで、こちらの話をまともに聞き入れるはずもない。
「情報交換をするために来たんだろう?」ひと言、牽制する。
「情報交換?お前の方は何か有益な情報を手に入れたのか?」
偉そうに見おろしているけど、その前に僕に言うことがあるだろう。「セシルにも話したけど、ちょっと気になる人物はいた。あと、ジュリエットがなぜ今日のパーティーにいたのか僕なりに考えてみたけど、聞くかい?」
「昨日の夜、情報が入った」エリックが白状した。
「いつの時点かは知らないけど、僕たちはひと晩一緒に過ごした。でも、君は黙っていた」サミーは淡々と事実を述べた。言い訳が思いつかないのか、エリックは黙ったままだ。「僕が平気だとでも?」
アンジェラを殺そうとした女の手が僕に触れても君は平気なのか?そう問いたかったけど、うまく言葉が出てこなかった。心のどこかで、言ってはいけない言葉だと危険信号が発せられていた。
「悪かった」
そんなふうに簡単に謝られると、これ以上責められなくなる。僕は子供じゃないし、エリックが何も考えず行動しているとは思っていない。エリックは僕にどうして欲しいのだろうか。彼女と本気で交際することも作戦に入れているのだろうか。確かに、その方が効果的ではあるけど。
サミーはゆっくりと身体を起こし、背もたれにぐったりと寄り掛かった。疲労が次々と押し寄せ、思考が停止する。
エリックは場所が空いたとばかりに隣に座り、サミーの頭を自分の肩にもたれかけさせた。サミーは抵抗しなかった。まだ話し合うことはたくさんある。もちろん、それは明日の朝目覚めてからでもいいのだけど。
「明日の社交欄にお前とジュリエットの事が載る」エリックが言った。「今夜は話題が多いからたいして注目はされないだろうが、しばらくまた――」
「僕に彼女と付き合えってことだね。それが君の考え?」もちろんそうするつもりだったが、エリックがすべて仕組んだのだとしたら、僕は彼を許せるだろうか。
「言い訳しておくが、俺が記事を載せるわけじゃないからな。人前であんなにべたべたするからこうなったんだ。あの女に腕を差し出す必要はあったのか?サミュエルと呼ばせているとは思わなかった」
エリックは怒っているのか?もちろんジュリエットは僕の事はサミュエルと呼ぶ。サミーと愛称で呼ばせるなんてこと僕がするとでも?でもまあ、ジュリエットのことだ、そのうち勝手に呼びそうではある。
つづく
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今夜は何をしたわけでもないが、ひどく疲れていた。怒りや恨みなどないかのようにジュリエットと時間を共有するのは拷問に近い。自分の計画のために結婚という手もあるかと考えたりもしたが、おそらく一秒だってもたないだろう。人殺しでもかまわないけど――僕だってあのごろつきを殺した――アンジェラに危害を加えたことだけは許せない。
身体の汚れを洗い流し自室へ戻ったが、疲れた身体とは裏腹に頭も目もまだ冴えたままだ。暖炉の前の寝椅子にしばらく横になってこの二、三日の事を整理してみたものの、情報量が多すぎて頭が追いつかなかった。
ほとんど考えるのをやめてぼんやりとしていたら、予想通りエリックがやってきた。
エリックは僕を自分の物だと勘違いしているようで、弟の前でもそれを隠そうとしなくなっている。正直、そういうのは迷惑だ。だがエリックに言ったところで、こちらの話をまともに聞き入れるはずもない。
「情報交換をするために来たんだろう?」ひと言、牽制する。
「情報交換?お前の方は何か有益な情報を手に入れたのか?」
偉そうに見おろしているけど、その前に僕に言うことがあるだろう。「セシルにも話したけど、ちょっと気になる人物はいた。あと、ジュリエットがなぜ今日のパーティーにいたのか僕なりに考えてみたけど、聞くかい?」
「昨日の夜、情報が入った」エリックが白状した。
「いつの時点かは知らないけど、僕たちはひと晩一緒に過ごした。でも、君は黙っていた」サミーは淡々と事実を述べた。言い訳が思いつかないのか、エリックは黙ったままだ。「僕が平気だとでも?」
アンジェラを殺そうとした女の手が僕に触れても君は平気なのか?そう問いたかったけど、うまく言葉が出てこなかった。心のどこかで、言ってはいけない言葉だと危険信号が発せられていた。
「悪かった」
そんなふうに簡単に謝られると、これ以上責められなくなる。僕は子供じゃないし、エリックが何も考えず行動しているとは思っていない。エリックは僕にどうして欲しいのだろうか。彼女と本気で交際することも作戦に入れているのだろうか。確かに、その方が効果的ではあるけど。
サミーはゆっくりと身体を起こし、背もたれにぐったりと寄り掛かった。疲労が次々と押し寄せ、思考が停止する。
エリックは場所が空いたとばかりに隣に座り、サミーの頭を自分の肩にもたれかけさせた。サミーは抵抗しなかった。まだ話し合うことはたくさんある。もちろん、それは明日の朝目覚めてからでもいいのだけど。
「明日の社交欄にお前とジュリエットの事が載る」エリックが言った。「今夜は話題が多いからたいして注目はされないだろうが、しばらくまた――」
「僕に彼女と付き合えってことだね。それが君の考え?」もちろんそうするつもりだったが、エリックがすべて仕組んだのだとしたら、僕は彼を許せるだろうか。
「言い訳しておくが、俺が記事を載せるわけじゃないからな。人前であんなにべたべたするからこうなったんだ。あの女に腕を差し出す必要はあったのか?サミュエルと呼ばせているとは思わなかった」
エリックは怒っているのか?もちろんジュリエットは僕の事はサミュエルと呼ぶ。サミーと愛称で呼ばせるなんてこと僕がするとでも?でもまあ、ジュリエットのことだ、そのうち勝手に呼びそうではある。
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