はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
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花嫁の秘密 289 [花嫁の秘密]

サミーを目の届かない場所へやるなど冗談じゃない。たとえこいつの考えが正解だったとしても、それだけはさせられない。腹を立てようがなんだろうが、俺が許可すると思うな。

エリックはあからさまに不貞腐れるサミーの横顔を見ながら、自分が作ったシナリオを脳内で整理した。

まずセシルにはクリスとハニーと共にロジャーの所へ行ってもらう。そこからラムズデンに極秘で向かわせる。クリスは護衛を引き連れて行きたいだろうが、それでは標的はここだと告げているようなものだ。

サミーにはもうしばらく、のらりくらりとジュリエットの相手をしてもらうしかない。いまはそれが一番の安全策だ。結局ジュリエットとの関係が進まない限り、デレクたちもこれ以上は動きようがないからだ。

さて、どうするか。ハニーの問題はどうにかできるが、サミーとジュリエットがこれ以上近づくのは、自分の忍耐力を試すようなもので、うまく対処できる自信がない。

「ねえ、クリスには犯人を教えるの?」食糧調達にキッチンへ降りていたセシルが、銀盆を手に戻ってきた。さっきまでペラペラのパンか何かを食べていたと思ったら、今度はサンドウィッチにローストチキンの切れ端を恵んでもらったようだ。

「いや、絶対に言うな。面倒が増えるだけだ。それに今回の事がジュリエットの仕業だとまだ断定はできない」

ローストチキンで思い出したが、セシルにローストビーフを食べさせておかないと、あとで何を言われるかわかったもんじゃない。仕方ない、このあとプルートスへ行くか。

「前にあのごろつきを雇ったように、また誰かを雇ったんじゃないかな。借金はかさんでいるだろうけど、使える金がないわけじゃないからね」サミーはこめかみを指の関節で擦り、深く息を吐いた。

エリックはその様子を横目で見ていたが、あえて何も言わなかった。「そうかもしれないが、調べが済むまでは結論は出せない。それからセシル、列車で向こうに戻れ。駅から遠いが、その方が早く着く」

セシルが呻いた。口の中のサンドウィッチを飲み下し、恐る恐る訊く。「ねえ、もしかしてもう発てってこと?」

「明日の切符を手配中だ。迎えも用意するように言ってあるから心配するな」

あとはクリスに電報を打って、こっちの計画通りに動いてくれさえすれば、ひとまずは安心といったところか。問題はサミーをどうやって宥めるかだな。

つづく


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