はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花嫁の秘密 339 [花嫁の秘密]
ブラックはどうやら引き受けるつもりらしい。おかげで説得せずに済んだが、本当にサミーの面倒を見きれるのか不安が残る。
我ながら矛盾しているなと、エリックは失笑した。
サミーがこれまで一人だったのは、背中の傷も含めてそれなりの理由がある。もちろん自分だけが理解者だなどと言うつもりはない。けど、誰よりも理解しようとはしている。
ブラックには決して見るな触れるなと忠告しておいたが、どれほどの物か知ったらさぞ驚くだろう。
今夜はサミーには色々聞きたいことがある。たまには向こうから会いに来てくれてもいいものだが、サミー相手にそういうものを求めても仕方がない。あいつは誰かに自分から擦り寄ったり頼ったりはしない。
だが皮肉なことに、そのサミーがブラックを欲しがった。嫉妬こそしないが、あまりいい気はしない。
そろそろベッドに入った頃だろうかと、エリックはサミーの元へ向かった。静かにドアを押し開けたところで、ちょうど目が合った。ガウンを脱いでベッドに入ろうとしていたようだ。
「黙って僕の部屋に入るのは君くらいだよ」呆れているが追い出す気はないらしい。
「声を掛けたが、聞こえなかったか?」エリックは見え透いた嘘を吐いた。
サミーはふんっと鼻を鳴らした。「ブラックのことを聞きに来たのか?それとももう彼が報告済みなのか」
偉そうに腰に手を当てる前に腕を引いて抱き寄せた。こういう時、身長差がほとんどないのがありがたい。顔をまっすぐに見ることができるし、瞳の色の変化も見逃さない。いまは黒っぽくなっている。
「報告済みだが、話も聞きに来た。本当にあいつでいいのか?」
「彼なら味方になってくれるだろう?」他にいないのだから仕方がないといった口ぶりだが、信頼してなきゃフェルリッジまで行かせるはずがない。
「ああ、そうだな。けど、俺もいることを忘れるな」エリックはサミーの後頭部に手を置き、肩に頭を乗せた。
「君は目的のためには非情になるから信用できない」
その信用できない男の胸の中にいる気分はどんなものなのだろう。まったく。自分の方が勝手をするくせに、信用できないとよく言えたものだ。ジュリエットに贈り物をして、クラブには誰に会いに?
「デレクはいたのか?」エリックは諸々の余計な質問を省いた。
「彼らは今夜いなかったよ。というより、今夜はこの前よりも人が少なかったな。のんびりできてよかったけど。あ、そうそう。君が書いた記事をじっくり読ませてもらったよ。あの書き方はもしかしてブライアークリフ卿の資金源を断つってことなのか?」サミーは顔を上げた。
「お前のロゼッタ伯母様もチャリティーに熱心だから、協力者の存在がどれほど大事かは知っているだろう?寄付した支援金が浪費癖のある息子に流れているとしたら?」多少歪曲した書き方だったが、デレクをクラブから追い出すためには仕方ない。
「デレクにそこまでの浪費癖はないだろう?」
「けど、金は確実にジュリエットに流れている」
「まあ、そうだな。なあ、僕は今夜こういう難しい話をしたい気分じゃないんだ。ベッドへ入りたい」サミーは両手をエリックに胸に置いた。
「誘っているのか?」押し退けようとしているのは無視した。
「違うと言っても、君は気にせずベッドへ入ってくるんだろう?」サミーは腕の中からすり抜けたが、指先はまだエリックに触れたままだった。エリックは迷わずその指を取った。
つづく
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我ながら矛盾しているなと、エリックは失笑した。
サミーがこれまで一人だったのは、背中の傷も含めてそれなりの理由がある。もちろん自分だけが理解者だなどと言うつもりはない。けど、誰よりも理解しようとはしている。
ブラックには決して見るな触れるなと忠告しておいたが、どれほどの物か知ったらさぞ驚くだろう。
今夜はサミーには色々聞きたいことがある。たまには向こうから会いに来てくれてもいいものだが、サミー相手にそういうものを求めても仕方がない。あいつは誰かに自分から擦り寄ったり頼ったりはしない。
だが皮肉なことに、そのサミーがブラックを欲しがった。嫉妬こそしないが、あまりいい気はしない。
そろそろベッドに入った頃だろうかと、エリックはサミーの元へ向かった。静かにドアを押し開けたところで、ちょうど目が合った。ガウンを脱いでベッドに入ろうとしていたようだ。
「黙って僕の部屋に入るのは君くらいだよ」呆れているが追い出す気はないらしい。
「声を掛けたが、聞こえなかったか?」エリックは見え透いた嘘を吐いた。
サミーはふんっと鼻を鳴らした。「ブラックのことを聞きに来たのか?それとももう彼が報告済みなのか」
偉そうに腰に手を当てる前に腕を引いて抱き寄せた。こういう時、身長差がほとんどないのがありがたい。顔をまっすぐに見ることができるし、瞳の色の変化も見逃さない。いまは黒っぽくなっている。
「報告済みだが、話も聞きに来た。本当にあいつでいいのか?」
「彼なら味方になってくれるだろう?」他にいないのだから仕方がないといった口ぶりだが、信頼してなきゃフェルリッジまで行かせるはずがない。
「ああ、そうだな。けど、俺もいることを忘れるな」エリックはサミーの後頭部に手を置き、肩に頭を乗せた。
「君は目的のためには非情になるから信用できない」
その信用できない男の胸の中にいる気分はどんなものなのだろう。まったく。自分の方が勝手をするくせに、信用できないとよく言えたものだ。ジュリエットに贈り物をして、クラブには誰に会いに?
「デレクはいたのか?」エリックは諸々の余計な質問を省いた。
「彼らは今夜いなかったよ。というより、今夜はこの前よりも人が少なかったな。のんびりできてよかったけど。あ、そうそう。君が書いた記事をじっくり読ませてもらったよ。あの書き方はもしかしてブライアークリフ卿の資金源を断つってことなのか?」サミーは顔を上げた。
「お前のロゼッタ伯母様もチャリティーに熱心だから、協力者の存在がどれほど大事かは知っているだろう?寄付した支援金が浪費癖のある息子に流れているとしたら?」多少歪曲した書き方だったが、デレクをクラブから追い出すためには仕方ない。
「デレクにそこまでの浪費癖はないだろう?」
「けど、金は確実にジュリエットに流れている」
「まあ、そうだな。なあ、僕は今夜こういう難しい話をしたい気分じゃないんだ。ベッドへ入りたい」サミーは両手をエリックに胸に置いた。
「誘っているのか?」押し退けようとしているのは無視した。
「違うと言っても、君は気にせずベッドへ入ってくるんだろう?」サミーは腕の中からすり抜けたが、指先はまだエリックに触れたままだった。エリックは迷わずその指を取った。
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