はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花嫁の秘密 331 [花嫁の秘密]
お腹が膨れた頃には、サミーは少々酔いが回っていた。それでもいつもよりは幾分かマシで、まっすぐに座っておくのが面倒な程度だった。
プラットに熱い紅茶を持ってくるように頼むと、窓際のテーブルから離れいつものように暖炉の前を陣取った。
エリックはキャビネットから別の酒とグラスを取ってソファテーブルに置くと、サミーから離れて座った。顔つきを見るに、これからどう動こうか考えているようだ。それよりも気になるのが、バッサリと切ってしまった蜜色の髪。ベッドの中で毛先が身体に触れる感触が好きだったが、もうあれは味わえないのか。
「それで、俺にどうして欲しい?」エリックが言った。
エリックにして欲しいことといえば、マーカスがいまどこで何をしているのか――いや、そんなことよりも彼をここに来させないで欲しい。魂胆が何であれ会いたくない。
僕はマーカスの父と僕の父が知り合いだということも知らなかった。当時は知ろうとも思わなかったし、知ったところで何の意味も持たなかっただろう。けど少なくとも、マーカスの経歴くらい知っておくべきなのだろう。
「なぜ僕に会いに来たのか調べることはできるのか?」アルコールのおかげか、怒りの感情はすっかり息を潜めてしまった。エリックが快く協力してくれると言うのなら拒むこともない。
「お前がそうして欲しいなら、もちろんできると答えるが」エリックは手にすっぽりと収まるカットグラスに口を付け、造作もないといった様子で答える。中身は透明だが、水ではないことは確かだ。
「僕が知っていなくても、君が全部把握してくれるならそれでいい。任せてもいいか?」結局信頼できるのはエリックしかいないし、動いてくれるのもエリックしかいない。こういう時、従者の一人でもそばに置いておけばよかったと思う。
「ああ。とにかくまた来ることがあるなら対処しなきゃならんだろう?」エリックはいともあっさりと引き受けた。最初からそうするつもりだったとしても、もう少しもったいつけるかと思った。
「プラットにもうまく対処するように言っておかないといけないな」ダグラスがここにいればと思っても仕方がないが、あいつはマーカスを知っている。扱い方も心得ているだろう。どちらにせよ彼は年明けにはクリスとアンジェラと一緒にラムズデンに行ってしまうから、この考えは無意味だ。
「ウェストとプラットは歳が同じくらいか……」エリックが呟くように言う。
「そうだね。僕の一〇歳年上、実際は九歳だけどね」つまり、マーカスは三十九歳か。エリックが何も言わないから、結婚はしていないのだろう。
エリックがニヤリとする。「そういや、お前の方が俺より年上だったな」
そうは見えないと言いたいのだろう。やけに僕の事を子供扱いするし、実際そう思っている。自分でもそう思うのだから、別に気にはしないけど。
つづく
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プラットに熱い紅茶を持ってくるように頼むと、窓際のテーブルから離れいつものように暖炉の前を陣取った。
エリックはキャビネットから別の酒とグラスを取ってソファテーブルに置くと、サミーから離れて座った。顔つきを見るに、これからどう動こうか考えているようだ。それよりも気になるのが、バッサリと切ってしまった蜜色の髪。ベッドの中で毛先が身体に触れる感触が好きだったが、もうあれは味わえないのか。
「それで、俺にどうして欲しい?」エリックが言った。
エリックにして欲しいことといえば、マーカスがいまどこで何をしているのか――いや、そんなことよりも彼をここに来させないで欲しい。魂胆が何であれ会いたくない。
僕はマーカスの父と僕の父が知り合いだということも知らなかった。当時は知ろうとも思わなかったし、知ったところで何の意味も持たなかっただろう。けど少なくとも、マーカスの経歴くらい知っておくべきなのだろう。
「なぜ僕に会いに来たのか調べることはできるのか?」アルコールのおかげか、怒りの感情はすっかり息を潜めてしまった。エリックが快く協力してくれると言うのなら拒むこともない。
「お前がそうして欲しいなら、もちろんできると答えるが」エリックは手にすっぽりと収まるカットグラスに口を付け、造作もないといった様子で答える。中身は透明だが、水ではないことは確かだ。
「僕が知っていなくても、君が全部把握してくれるならそれでいい。任せてもいいか?」結局信頼できるのはエリックしかいないし、動いてくれるのもエリックしかいない。こういう時、従者の一人でもそばに置いておけばよかったと思う。
「ああ。とにかくまた来ることがあるなら対処しなきゃならんだろう?」エリックはいともあっさりと引き受けた。最初からそうするつもりだったとしても、もう少しもったいつけるかと思った。
「プラットにもうまく対処するように言っておかないといけないな」ダグラスがここにいればと思っても仕方がないが、あいつはマーカスを知っている。扱い方も心得ているだろう。どちらにせよ彼は年明けにはクリスとアンジェラと一緒にラムズデンに行ってしまうから、この考えは無意味だ。
「ウェストとプラットは歳が同じくらいか……」エリックが呟くように言う。
「そうだね。僕の一〇歳年上、実際は九歳だけどね」つまり、マーカスは三十九歳か。エリックが何も言わないから、結婚はしていないのだろう。
エリックがニヤリとする。「そういや、お前の方が俺より年上だったな」
そうは見えないと言いたいのだろう。やけに僕の事を子供扱いするし、実際そう思っている。自分でもそう思うのだから、別に気にはしないけど。
つづく
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