はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 336 [花嫁の秘密]

父の葬儀の出席者の名簿は何冊かあったが、ダグラスは僕が欲しがっていた名前の載っている名簿をうまくブラックに渡してくれたようだ。

この名簿は誰がまとめたものだろう。出席者の詳細も漏れなく記入されている。おかげでブライアークリフ卿のパーティーで見かけた男の正体がわかった。

これでブラックに調べを進めてもらえるが、エリックはブラックに例の話をしたのだろうか?箱の調査を任せると言ってすぐに、またどこかへ出掛けてしまったけど。

直接僕からブラックに言ってもいいけど、現雇い主であるエリックがクビにしてくれないと話を進めようがない。それに報酬はいくらにすればいいのか見当がつかない。引き抜くわけだから五割り増しくらいでいいのだろうか。それとも倍は払わないと首を縦に振らないだろうか。

そういえば、ジュリエットにもうあれは届いただろうか。特に知らせがないということはまだなのだろう。夜はとても冷えるだろうから、明日身につけるのにちょうどいいものを選んだのだけど、彼女の好みはいまいちわからない。けど、彼女自慢の赤髪が映えるのは間違いない。

名簿を書斎机の引き出しに仕舞い鍵を掛けた。ここには先日取り寄せた資産報告の書類も入っている。そのうちどこかへ移さないといけないな。

エリックがいつ戻ってくるのかわからないし、ちょっと出掛けるか。

支度をして玄関広間へ行くと、ブラックが待ち構えていた。プラットには出掛けることを伝えたがブラックには言い忘れていた。もちろん言う必要はないけど、一応彼は僕を見張るためにここにいるわけだし、今後の事を思えば知らせておくべきだろう。

「プルートスへ行ってくる。夕食も向こうで済ませてくるから、今夜はゆっくりするといい」

「一人で、ですか?」ブラックは怪訝そうに眉を顰めた。こいつは平気でこういう顔をする。だからこそそばに置くに相応しい。

「僕が一人で外も歩けないように見えるのか?」ブラックはコートを着せてくれそうにもないので、自分でハンガーから取って袖を通した。いつもそうしているから問題はない。けど、正式に雇ったら話は別だ。

「デレク・ストーンと揉めた後では、あまりいい考えとは言えませんね」ブラックは腕でも組みたそうな顔をしている。そのうちエリックみたいに溜息でも吐きそうだ。

「いくらあいつでも、いきなり殺したりはしないよ。それにあいつがどんな顔で僕の前に現れるのか、ちょっと興味があるんだ」険悪だけど、さすがに殺し合うほど仲が悪いわけではない。存在ごと消えてくれればいいだけだ。

ブラックはまだ不満そうな顔をしていたが――おそらくエリックになんて報告しようか考えているに違いない――かまわず帽子を頭に乗せステッキを手にした。

「それじゃあ、行ってくるよ」

つづく


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