はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
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花嫁の秘密 330 [花嫁の秘密]

胸に何かつかえたような苦しさを感じるのはなぜだろうか。

食欲は一気に失せ酒でも飲みたい気分だったが、この話題はあまりに繊細過ぎて素面でなければまともな話し合いが出来そうにもない。
サミーが質問に淡々と答えてくれているのを救いと思うか、一瞬にして他人行儀になったのを嘆くべきか。

エリックは唾を飲み下し、サミーの次の攻撃に備えた。サミーは俺が勝手にウェストを調べたことを怒っている。おかげでウェストの魂胆を推測できるってのに、ただ責めるだけでそこを考慮することはないのか?

「オールドブリッジで何を?まだ家庭教師をしているわけじゃないよね?」サミーはむっつりとした表情で尋ね、突然席を立った。どこへ行くのか見ていたら、キャビネットからブランデーボトル取って戻って来た。

「あいつがお前の家庭教師をしていたのは、父親同士が知り合いだったからだ」サミーの驚いた顔を見てエリックは口を閉じた。まさかそれすら知らなかったとか言わないよな。「大学を出てぷらぷらしていた息子をお前に押し付けたってわけさ。で、その後は金持ちの屋敷に入り込んでコンサルタントのようなことをしている」

サミーは黙ってブランデーを紅茶に注いで、ボトルをエリックに差し出した。「君も飲むだろう」

「お前は飲めないだろう?」毎回毎回決まってぐだぐだになるくせに、なぜ飲もうとする?「飲む気ならせめて何か食べろ。プラットに言って何か持って来させるか?」

「ここにあるもので十分。君もその食べかけの皿を空けたらどうだ」サミーはティートレイに乗っている焼き菓子を指先でつまんだ。

誰のせいで!と、ひと言言ってもよかったが、これで険悪な雰囲気が少しでも和らぐなら黙って言うことを聞いておくのも悪くない。先ほど押しやった皿を戻して、水を飲んだグラスにブランデーを注ぐ。サミーは結局甘いものにしか手を付けないようだが、食べないよりましだと思うほかない。

「コンサルタントって、まさか詐欺みたいなことをしているとか?」サミーはブランデー入りの紅茶をぐいとあおり、話を再開した。

「おい、無茶するな」と言ったところで聞かないのがサミーだ。「詐欺とまでは言えないな。口がうまいだけの男ではないようだし、それなりに結果も出している」

「だったら金に困ることもないんじゃないのか」

「そんなの知るか。俺が何でも知っていると思うな」サミーは疑わしげな目で見てくるが、俺が万能ではないことは自分自身よくわかっている。

本来ならウェストの所在くらい知っておくべきで、把握していない間にすでに過去となった男がサミーに近づくのを許したのは明らかに失態だ。クレインにすぐに調べさせてもいいが、このくらいなら自分で動いた方が早い。こっちに戻ったということは、父親の所にでもいるのだろう。

レスター卿は息子を快く迎い入れたのだろうか?いや、そうは思えない。が、最近何かが変化したことだけは確かだ。まさか死んだわけじゃないだろうな?だとしても爵位を継げるわけでもない。

何があったにしろ、おかげでゆっくり休むのはもう少し先になりそうだ。

つづく


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