はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花嫁の秘密 335 [花嫁の秘密]
昼食後、ブラックが持ち帰った帳簿のようなものにサミーが夢中になっている間に、エリックは注文していたものを取りに仕立屋に向かった。もちろんアンダーソンのところではない。
特に中を確かめるでもなく商品を受け取ると、次にラッセルホテルへ向かう。仕立屋に直接ホテルに届けさせてもよかったが、メリッサの驚く顔を見逃す手はない。ついでにジュリエットの様子も確かめておきたかった。
やめておけばいいのに、サミーはジュリエットに何通か手紙を出していたようだ。作戦は変更すると言っても、サミーは自分の立てた計画を変更するつもりはないようで、こっちの手を煩わせることしか考えていないのかと思うほどだ。
ティーラウンジには客たちの視線を集めながら、優雅にティータイムを楽しんでいるメリッサがいた。ジュリエットが同席してないということは、特に仲良くはなっていないようだ。どちらにしても、明日には嫌でも一緒に行動する。その時の不協和音が楽しみだ。
「やあ、ビー。まだまだ女優としてやっていけるんじゃないのか」エリックはメリッサの向かいに腰をおろし、同じものを持って来いと給仕に身振りで示した。
「エリック、ごきげんよう」メリッサは口元だけで微笑んだ。目は笑っていないし、口調にもどことなしか棘がある。つまりいつも通りということだ。
「ジュリエットは?」エリックは前置きなしに尋ねた。
「さあ、出掛けていると思うわ」
どこかでめぼしい集まりがあっただろうかと、エリックは頭の中のメモ帳を引っ張り出した。ジュリエットはすでにサミーの事は諦めていて、次のパトロン探しに乗り出していたりするだろうか。さすがにありそうにもない考えだ。ジュリエットがサミーを狙うのはあくまでクリスの弟だからで、この考えはどうあっても覆らない。
「グウィネスはどうしてる?」機嫌を損ねていなきゃいいが。メリッサの呼び出しには快く応じたが、ここへ来ることに乗り気だったとは思えない。メグがいれば面倒はなかったが、他に頼るとしたらグウィネス以外ありえなかっただろう。
「いまはお昼寝中かしら。彼女にはホテル暮らしを満喫してもらっているわ。そういえば、チョコレートありがとう。グウィネスもとても喜んでいたわ」メリッサはようやく心からの笑みを見せた。母親のような存在とはいえ、最初はかなり気を使ったのだろう。
「賄賂の効果はあったってところか」たかがチョコレートとはもう言えないな。これはクレインの手柄だが。
「そのようね。それで今日はどうしてここへ」メリッサが尋ねたところで、給仕がティーセットを持ってやって来た。メリッサが何を食べていたのかよく見ていなかったが、サンドイッチにフルーツが挟まっている。こういうのは別々が美味いに決まっている。
「贈り物を届けに。荷物になるからフロントに部屋へ届けておくように言っておいた。あとで部屋で開けてみろ」ここで広げでもよかったが、ジュリエットがいないんじゃ意味がない。
「今度は何かしら?」メリッサは警戒するようにエリックを見た。「言っておくけど、あの人とはお友達になれそうにはないわ」
「お前がなろうとしても、向こうが嫌がるだろうな。最初からそこは期待していないから気にするな。お前は明日、俺の連れとして周囲の注目を集めてくれるだけでいい。そのための贈り物だ」
不満そうな顔をすると思ったが、メリッサは自信たっぷりに微笑んだ。「彼女よりも目立てってことね。知っているでしょうけど、そういうのは得意よ」
つづく
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特に中を確かめるでもなく商品を受け取ると、次にラッセルホテルへ向かう。仕立屋に直接ホテルに届けさせてもよかったが、メリッサの驚く顔を見逃す手はない。ついでにジュリエットの様子も確かめておきたかった。
やめておけばいいのに、サミーはジュリエットに何通か手紙を出していたようだ。作戦は変更すると言っても、サミーは自分の立てた計画を変更するつもりはないようで、こっちの手を煩わせることしか考えていないのかと思うほどだ。
ティーラウンジには客たちの視線を集めながら、優雅にティータイムを楽しんでいるメリッサがいた。ジュリエットが同席してないということは、特に仲良くはなっていないようだ。どちらにしても、明日には嫌でも一緒に行動する。その時の不協和音が楽しみだ。
「やあ、ビー。まだまだ女優としてやっていけるんじゃないのか」エリックはメリッサの向かいに腰をおろし、同じものを持って来いと給仕に身振りで示した。
「エリック、ごきげんよう」メリッサは口元だけで微笑んだ。目は笑っていないし、口調にもどことなしか棘がある。つまりいつも通りということだ。
「ジュリエットは?」エリックは前置きなしに尋ねた。
「さあ、出掛けていると思うわ」
どこかでめぼしい集まりがあっただろうかと、エリックは頭の中のメモ帳を引っ張り出した。ジュリエットはすでにサミーの事は諦めていて、次のパトロン探しに乗り出していたりするだろうか。さすがにありそうにもない考えだ。ジュリエットがサミーを狙うのはあくまでクリスの弟だからで、この考えはどうあっても覆らない。
「グウィネスはどうしてる?」機嫌を損ねていなきゃいいが。メリッサの呼び出しには快く応じたが、ここへ来ることに乗り気だったとは思えない。メグがいれば面倒はなかったが、他に頼るとしたらグウィネス以外ありえなかっただろう。
「いまはお昼寝中かしら。彼女にはホテル暮らしを満喫してもらっているわ。そういえば、チョコレートありがとう。グウィネスもとても喜んでいたわ」メリッサはようやく心からの笑みを見せた。母親のような存在とはいえ、最初はかなり気を使ったのだろう。
「賄賂の効果はあったってところか」たかがチョコレートとはもう言えないな。これはクレインの手柄だが。
「そのようね。それで今日はどうしてここへ」メリッサが尋ねたところで、給仕がティーセットを持ってやって来た。メリッサが何を食べていたのかよく見ていなかったが、サンドイッチにフルーツが挟まっている。こういうのは別々が美味いに決まっている。
「贈り物を届けに。荷物になるからフロントに部屋へ届けておくように言っておいた。あとで部屋で開けてみろ」ここで広げでもよかったが、ジュリエットがいないんじゃ意味がない。
「今度は何かしら?」メリッサは警戒するようにエリックを見た。「言っておくけど、あの人とはお友達になれそうにはないわ」
「お前がなろうとしても、向こうが嫌がるだろうな。最初からそこは期待していないから気にするな。お前は明日、俺の連れとして周囲の注目を集めてくれるだけでいい。そのための贈り物だ」
不満そうな顔をすると思ったが、メリッサは自信たっぷりに微笑んだ。「彼女よりも目立てってことね。知っているでしょうけど、そういうのは得意よ」
つづく
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