はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 337 [花嫁の秘密]

晩餐の時間に間に合うよう帰宅したエリックを待っていたのは、サミーではなくブラックだった。報告すべきことがある時は、いつも待ち構えている。

「どこへ行ったって?」訊き返すまでもなくもちろん聞こえていたが、反射的にそうしていた。

「今夜はプルートスで食事をすると言って、暗くなる前に出掛けて行きました」

澄ました顔で答えるブラックに、お前の仕事は何なのだと耳元で怒鳴ってやりたい衝動を抑え、エリックはゆっくりと息を吐き出した。

「一応止めましたよ」ブラックは何の意味も持たない言葉を付け加えた。

「だったらなぜお前はここにいて、サミーはいない?」もちろんサミーを止められなかったからだ。

「まさかついて行けと言うつもりじゃないでしょうね?あの方は好きなように行動するし、そもそも俺の言うことなんて聞きやしませんよ」

そんなこと言われるまでもなくわかっている。サミーはいつだって勝手にする。それをどうこう言うつもりはないが、ほんの数時間ばかり俺の事を待てなかったのか?

「サミーは他に何か言っていなかったか?」

「他に、とは?」ブラックは他に何かあっただろうかと、数時間前の記憶を探った。「いきなりデレク・ストーンと殺し合いはしないと、言っていたくらいですかね」

エリックは呆れて天を仰いだ。いかにもサミーが言いそうなことだ。

「まあいい、話がある。ついて来い」エリックはコートをフックに引っ掛け、ブラックについてくるように言った。

サミーがブラックをくれと言うので、一応意見を聞いておく必要がある。ここへ潜り込ませたのは期間限定が前提だったが、サミーの従者としてこれから先継続して働く気があるのかどうか。もちろん報酬次第だろうが、万が一サミーの世話など御免だと思っていたとしたら、こっちで手を打つ必要がある。

居間へ入ると、いつものソファに座った。いつもなら目の前の無駄に大きなソファでサミーがまどろんでいるが、なぜか今夜は一人でいたいらしい。いったい何をするつもりなんだか。

「贈り物の手配なら俺じゃありませんよ」背後からブラックが先に口を開いた。

「なんだって?」いったい何の話だ?「誰が誰に――」と言いながら、我ながらくだらない質問だと失笑した。サミーがジュリエットを置いて他に誰に贈り物をすると言うんだ。「その話を詳しく聞きたいが、まずはこっちの話を聞け」

腹が立って仕方がないが、うまい具合にサミーを懲らしめる策を講じていた自分を褒めたい。これに関しては、サミーの自業自得だ。明日、痛い目を見ればいい。

つづく


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