はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 264 [花嫁の秘密]

パーシヴァル・クロフトは現在、友人である(本人はそう思っている)ジャスティン・バーンズの家に居候中だ。だからこうして誰かに訪問されるのはまれで、ましてや相手があのエリック・コートニーとあっては警戒せずにはいられない。

僕はなにかしただろうか?全く身に覚えがないと言いきれたら、どんなにいいか。もしかして明日には醜聞まみれの記事が紙面に載るから警告に来たとか?パーシヴァルは目の前の男をじろじろ観察せずにはいられなかった。

緑みの強いヘーゼルの瞳はなんと魅力的なことか。でもまあ、僕のジェームズの、身も凍るような冷ややかな青い瞳にはかなわないけれど。そういえば、ジェームズはどこへ行ったんだろう。今日はクリスマスイヴだっていうのに、恋人を放って何をしているのやら。ジャスティンとこそこそしていたのを僕が知らないとでも?あとでたっぷりお仕置きしてやらなきゃ。

「あの屋敷を売って欲しい」

「え?なんだって?」ついうっかり客のことを忘れていた。話を聞いていなかったことを悟られないように、もう一度はっきり言いたまえといった視線をコートニーに向ける。

「売りに出している屋敷を買いたい」二度も言わせるなといった口調だ。

「え?メイフェアの?」売りに出している屋敷はひとつしかないのであそこで間違いない。

「ええ、使いの者より聞いていませんか?」

ああ、そういえば……。来シーズン貸し出すことにした途端、こういう話は舞い込んでくるものなのだ。けど、僕はまだ迷っている。あそこをジェームズとの愛の巣に出来たらどんなにいいか。だが、悲しいかな、ジェームズはあそこで僕と住むくらいならクラブに住み込んだ方がましだとさえ思っている。今だって改装中のクラブに入り浸ってばかりで、ろくろく相手をしてくれない。

ジャスティンとジェームズで作り上げたスティーニ―クラブは、経営者が変わるのを機に一新する予定で只今休業中だ。ジェームズがオーナーで僕はその相棒で恋人。けれども、いまだ除け者状態で不満はたまる一方だ。

だからその鬱憤をここでぶちまけたって仕方ないというもの。

「君が買えるほど安くはないけど」肘掛けに寄り掛かりむっつりと言う。こっちの方が年下だけど、かまうものか。

「売る気はあると?」

な、なんで睨むんだよ。「あるから売りに出している。次のシーズンは貸し出すことになったけど――」

「契約はまだしょう?その貸し出す相手にはこちらで別の屋敷を紹介します、クロフト卿の手を煩わせることはないと思います」コートニーはパーシヴァルの言葉を遮り、強い口調できっぱりと言った。

「そういう細かいことは事務弁護士に任せている」パーシヴァルは冷ややかにコートニーをねめつけた。勝手に話を進められるほど腹の立つことはない。

それに知らない間に弁護士のルーク・バターフィールドがどこからか借り手を見つけてきただけで、僕は自分の手を煩わせたことなど一度もない。いかにも働き者のように見られるなんて、ちょっとした屈辱だ。僕のような身分の者は怠惰な人間だと思われるくらいでなきゃ、魅力が半減してしまう。

ああ、でも、しっかり働かないとジェームズに捨てられてしまう。そうとなったらぐずぐずしていられない。屋敷を売れだと?冗談じゃない!

「では弁護士と話をさせてもらいます。よろしいですね」コートニーは吐き捨てるように言い、立ち上がった。「ああ、それからこれはヒナに。好物だそうで」

「ヒナに?」なぜヒナに?僕にではなく??

「それでは失礼します。見送りは結構」

いったいなんだってコートニーは怒っているんだ?怒りたいのは僕だっていうのに。

つづく


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