はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花嫁の秘密 252 [花嫁の秘密]
デレク・ストーンはちょうどラウンジに目を向けていた。
自分のステージか何かと勘違いするホワイトが、あちこち寄り道しながらこっちへやってくる。まあ、確かにホワイトの見た目は申し分ない。輝く金髪に宝石を思わせるような緑色の瞳。不健康そうな青白い顔は男らしさには欠けるが、怠惰な暮らしをしているわりには体は引き締まっている。屋敷に籠って鍛えているのだろうか?
とはいえ、シリルに肩を小突かれただけでよろけているから、そんなことはないのだろう。
「デレク、リードが来ていた」
立ち止まって何を見ていたかと思えば、あの二人を見ていたのか。どうせサミーの――リードはこう呼ぶとひどく腹を立てる――あの髪に見惚れていたのだろう。どこがそんなにいいのやら。
デレクは自分の豊かな黒髪に触れずにはいられなかった。
「ああ、さっき挨拶をしたところだ」報告を聞くまでもないと、そっけなく答える。
「エリック・コートニーも一緒だったが……」
ホワイトが不安そうなのも仕方がないというもの。こいつはもともと臆病だし、相手がコートニー家の次男とあっては警戒して当然だ。あいつは公の場で人を攻撃することを何とも思わない上、あることないことゴシップ紙に書きたてる。たいていの奴らはその記事を鵜呑みにするものだから、厄介なのだ。
「いまだにリード家とコートニー家が縁続きになったとは信じられないな」シリルがつと口を挟む。
確かにリード家といえば、代々赤毛の妻を迎えることで有名だ。先代は違うが、この因習をやめるとは思えなかった。現にサミーの兄のメイフィールド侯爵はあの赤毛のジュリエット・オースティンと付き合っていた。結局結婚したのは何の特徴もない茶色い髪の少女だ。若いだけでそれ以上の価値があるとは思えない。
確かにジュリエットは結婚相手として相応しいとは言えない。すでに二度結婚しているし、気性が荒すぎる。それに妻にするなら純潔に限る。あの少女がそれを満たしていたのは間違いなかった。
「邪魔になりそうなら排除するまでだ」そう呟き、辺りを見回す。今夜はうんざりするほど人が多い。「上に行こう。部屋は押さえてある」適当に遊ぶつもりだったが、リードの登場で計画変更だ。
「なんだ?せっかく今夜はとことん巻き上げてやろうと思っていたのに」シリルは名残惜しそうにテーブルに目をやりつつも、すでに足は階上の個室へと向けている。奥のテーブルに座る連中は命拾いしたわけだ。
「酒をおごるから、そう言うな」ハハッと笑ってシリルの背中を叩き、ホワイトに向かって顎をしゃくる。ホワイトはこの後の展開を想像して、すでに興奮気味だ。珍しく頬に赤みが差している。
さて、計画を練る前に、ひとつやっておくか。
デレクは二人を先に個室へ行かせて、ゆったりとした足取りでラウンジを横切ると、カウンターの向こうにいる従業員に一件用を頼んだ。今回は少し急ぎの用なのでチップは弾んでおいたが、果たして間に合うだろうか?
つづく
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自分のステージか何かと勘違いするホワイトが、あちこち寄り道しながらこっちへやってくる。まあ、確かにホワイトの見た目は申し分ない。輝く金髪に宝石を思わせるような緑色の瞳。不健康そうな青白い顔は男らしさには欠けるが、怠惰な暮らしをしているわりには体は引き締まっている。屋敷に籠って鍛えているのだろうか?
とはいえ、シリルに肩を小突かれただけでよろけているから、そんなことはないのだろう。
「デレク、リードが来ていた」
立ち止まって何を見ていたかと思えば、あの二人を見ていたのか。どうせサミーの――リードはこう呼ぶとひどく腹を立てる――あの髪に見惚れていたのだろう。どこがそんなにいいのやら。
デレクは自分の豊かな黒髪に触れずにはいられなかった。
「ああ、さっき挨拶をしたところだ」報告を聞くまでもないと、そっけなく答える。
「エリック・コートニーも一緒だったが……」
ホワイトが不安そうなのも仕方がないというもの。こいつはもともと臆病だし、相手がコートニー家の次男とあっては警戒して当然だ。あいつは公の場で人を攻撃することを何とも思わない上、あることないことゴシップ紙に書きたてる。たいていの奴らはその記事を鵜呑みにするものだから、厄介なのだ。
「いまだにリード家とコートニー家が縁続きになったとは信じられないな」シリルがつと口を挟む。
確かにリード家といえば、代々赤毛の妻を迎えることで有名だ。先代は違うが、この因習をやめるとは思えなかった。現にサミーの兄のメイフィールド侯爵はあの赤毛のジュリエット・オースティンと付き合っていた。結局結婚したのは何の特徴もない茶色い髪の少女だ。若いだけでそれ以上の価値があるとは思えない。
確かにジュリエットは結婚相手として相応しいとは言えない。すでに二度結婚しているし、気性が荒すぎる。それに妻にするなら純潔に限る。あの少女がそれを満たしていたのは間違いなかった。
「邪魔になりそうなら排除するまでだ」そう呟き、辺りを見回す。今夜はうんざりするほど人が多い。「上に行こう。部屋は押さえてある」適当に遊ぶつもりだったが、リードの登場で計画変更だ。
「なんだ?せっかく今夜はとことん巻き上げてやろうと思っていたのに」シリルは名残惜しそうにテーブルに目をやりつつも、すでに足は階上の個室へと向けている。奥のテーブルに座る連中は命拾いしたわけだ。
「酒をおごるから、そう言うな」ハハッと笑ってシリルの背中を叩き、ホワイトに向かって顎をしゃくる。ホワイトはこの後の展開を想像して、すでに興奮気味だ。珍しく頬に赤みが差している。
さて、計画を練る前に、ひとつやっておくか。
デレクは二人を先に個室へ行かせて、ゆったりとした足取りでラウンジを横切ると、カウンターの向こうにいる従業員に一件用を頼んだ。今回は少し急ぎの用なのでチップは弾んでおいたが、果たして間に合うだろうか?
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