はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
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花嫁の秘密 258 [花嫁の秘密]

やっぱりおかしい。エリックが遠慮するなんてありえない。
いったい僕になんて言って欲しい?抱いてくれと懇願して欲しいのか?せめてもう少し飲んでおけばよかった。そうすれば、こんなに細かいこと気にならなくて済んだのに。

でも、今夜はエリックを押し退ける気にならない。

サミーは灯りの中にぼんやりと浮かび上がるエリックの口元に目をやった。いつも皮肉ばかりでイライラさせられる唇は、いまにも僕に襲い掛かろうと様子をうかがっている。エリックのキスは、まあ、悪くない。そもそもこんなにしつこくキスをしてくるのはエリックくらいなものだ。

そう思っていたら唇が重ねられた。しっとりとした唇は力強く、それでいて優しくて、他の誰のものとも違った。舌を絡められて背中がぞくりと震えた。意識しないようにしても、下腹部に熱が溜まっていくのがわかる。

サミーは考えるのをやめて、エリックの首に腕を回しじっくりと味わった。長い髪に指を絡めるとエリックは呻き、同じようにうなじにかかる伸びすぎた襟足に指を絡めてきた。そのまま後頭部を鷲掴まれキスを深める。

エリックの唇が進む先を想像して体が震えた。エリックはきっと背中の醜い傷跡にも口づける。マーカスが見ようとさえしなかった傷跡は、あの頃に比べて少しはマシになっただろうか?もしもあの時、相手がマーカスではなくエリックだったら、背中をベッドに押し付けられることはなかっただろうか。

エリックは僕が撃たれた直後でも抱くような男だ。きっと気にせず抱くだろう。そういえば、僕が殺した男はエリックが跡形もなく片付けた。どうやったのか今度時間がある時に聞いてみよう。

サミーは意識を目の前の男へ戻した。お前の考えなどお見通しだと言わんばかりの顔で、僕を見つめている。

「他の男の事でも考えていたか?」

「そんな余裕あるように見えるか?」余裕など微塵もないのに、なぜかマーカスのことを考えていた。そしてアンジェラを襲ったあの男のことも。「余計なことを言う暇があったら、早く僕を脱がせたらどうだい?」

「自分から脱いだっていいんだ。いや、別に脱がなくてもいいか」

「適当に扱う気なら、僕は寝るよ」

「お前を適当に扱ったことなどないだろう?ったく、本当に面倒な男だな、お前ってやつは。いいから、素直に抱かれろ。他の奴のことは考えるな」

それからはもう、余計なことは考えなかった。

つづく


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