はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花嫁の秘密 260 [花嫁の秘密]
セシルは朝食を済ませた後、サミーを図書室へ誘った。食後のデザートと昨日のクラブでの話の続きを聞くためだ。
「それで、ローストビーフ以外に美味しかったもの――じゃなくて、面白かったこと何かあった?」
リックの登場でサミーはすっかり貝のように口を閉ざしてしまった。元からこうだけど、昨夜またなにかあったのかもしれない。とにかくリックは出掛けたことだし、きっと面白い話を聞かせてくれるはずだ。
「僕がカードゲームで大勝ちしたこと以外の面白いことなら、そうだね……何人かに結婚を勧められたことかな」サミーはそう言って、スプーン片手に薔薇の砂糖漬けを紅茶の入ったカップに沈めた。
「サミーが結婚する方に賭けている人たちだね。でも、どうしてサミーが彼女と結婚なんてすると思うんだろう。だって、クリスの元恋人でしょ?」言葉にしてゾッとした。もしかすると赤毛のあの人がクリスと結婚していた可能性もある。ハニーと出会うずいぶん前のことにしても、なぜだかあまりいい気がしない。
「そう見えるように振舞ったのは僕だけど、こんなに効果があるなんて思わなかった。新聞社にも依頼したからかな?」まさかというような口調だけど、想定の範囲内といった面持ち。たぶんリックと一緒で、あれこれ策略を巡らせるのが好きなんだと思う。
セシルはマロングラッセをたっぷり使ったケーキにフォークを入れた。大きめにカットしてちょっと贅沢しちゃおう。わぁ、これすごくおいしい。ここで作っているのかな?サミーに食べてみてと目配せしたけど、ちょうど紅茶を飲んでいるところだった。
「どうしてリックのところにお願いしなかったの?」サミーがティーカップを置いたのを見て尋ねた。
「ゴシップ専門のちょっと低俗なところの方が面白いと思ってね。エリックのところは、ちょっとお高くとまっているだろう?」
確かにね。「でも、彼女はそっちの方が喜びそうに見えるけど」
「たぶんね。でも実際に結婚しなきゃいけなくなったら、困るのは僕だよ。自分で自分の首を絞めるような真似……もうしちゃってるんだよね」サミーは、はぁと大きなため息を吐いた。「計画としてはうまく進んでるとは思うんだけどね」
「もしかして、またリックが余計なことしてる?」セシルは思わず渋面を作った。これまで何度痛い目に遭ったことか。
「しなかったときなんてないよ」サミーは苦笑いで答え、ソファの肘掛けに脱力して寄り掛かった。
「まあ、それもそうだね。それで?リックの事どう思ってるの?」セシルは単刀直入に尋ねた。サミーと二人でこんなに会話をしたのは初めてだったけど、なんだか今なら教えてくれそうな気がする。
「エリックの事?どうって……どうとも思っていないよ。セシルの聞きたい意味ではね」サミーの口調からは先ほどの気さくな感じは消えていた。
「でも、リックはサミーに夢中っていうかさ……ほら」こんなこと言っていたって、あとでリックにばれたら、きっとまたひどい目に遭う。
「彼は僕で遊んでいるんだ」
確かにリックは誰のこともおもちゃにしてしまうけど、いつもあっさりしていてべたべた付きまとうような真似したことなかった。でも、サミーが何とも思っていないってことは、とりあえず迷惑はしていないってことで、つまりはリックにも勝算はあるってことかも。
「それで、夜まで何して過ごすの?」今夜はパーティーに参加予定だけど、なにか美味しいものは用意してあるのだろうか?
「寝不足だから部屋に戻って休むよ」サミーは皿の上のケーキにはろくろく手も付けず、伸びをするように立ち上がった。「あとでまたね」そう言って、大きなあくびをしながら部屋を出て行った。
つづく
前へ<< >>次へ
にほんブログ村
「それで、ローストビーフ以外に美味しかったもの――じゃなくて、面白かったこと何かあった?」
リックの登場でサミーはすっかり貝のように口を閉ざしてしまった。元からこうだけど、昨夜またなにかあったのかもしれない。とにかくリックは出掛けたことだし、きっと面白い話を聞かせてくれるはずだ。
「僕がカードゲームで大勝ちしたこと以外の面白いことなら、そうだね……何人かに結婚を勧められたことかな」サミーはそう言って、スプーン片手に薔薇の砂糖漬けを紅茶の入ったカップに沈めた。
「サミーが結婚する方に賭けている人たちだね。でも、どうしてサミーが彼女と結婚なんてすると思うんだろう。だって、クリスの元恋人でしょ?」言葉にしてゾッとした。もしかすると赤毛のあの人がクリスと結婚していた可能性もある。ハニーと出会うずいぶん前のことにしても、なぜだかあまりいい気がしない。
「そう見えるように振舞ったのは僕だけど、こんなに効果があるなんて思わなかった。新聞社にも依頼したからかな?」まさかというような口調だけど、想定の範囲内といった面持ち。たぶんリックと一緒で、あれこれ策略を巡らせるのが好きなんだと思う。
セシルはマロングラッセをたっぷり使ったケーキにフォークを入れた。大きめにカットしてちょっと贅沢しちゃおう。わぁ、これすごくおいしい。ここで作っているのかな?サミーに食べてみてと目配せしたけど、ちょうど紅茶を飲んでいるところだった。
「どうしてリックのところにお願いしなかったの?」サミーがティーカップを置いたのを見て尋ねた。
「ゴシップ専門のちょっと低俗なところの方が面白いと思ってね。エリックのところは、ちょっとお高くとまっているだろう?」
確かにね。「でも、彼女はそっちの方が喜びそうに見えるけど」
「たぶんね。でも実際に結婚しなきゃいけなくなったら、困るのは僕だよ。自分で自分の首を絞めるような真似……もうしちゃってるんだよね」サミーは、はぁと大きなため息を吐いた。「計画としてはうまく進んでるとは思うんだけどね」
「もしかして、またリックが余計なことしてる?」セシルは思わず渋面を作った。これまで何度痛い目に遭ったことか。
「しなかったときなんてないよ」サミーは苦笑いで答え、ソファの肘掛けに脱力して寄り掛かった。
「まあ、それもそうだね。それで?リックの事どう思ってるの?」セシルは単刀直入に尋ねた。サミーと二人でこんなに会話をしたのは初めてだったけど、なんだか今なら教えてくれそうな気がする。
「エリックの事?どうって……どうとも思っていないよ。セシルの聞きたい意味ではね」サミーの口調からは先ほどの気さくな感じは消えていた。
「でも、リックはサミーに夢中っていうかさ……ほら」こんなこと言っていたって、あとでリックにばれたら、きっとまたひどい目に遭う。
「彼は僕で遊んでいるんだ」
確かにリックは誰のこともおもちゃにしてしまうけど、いつもあっさりしていてべたべた付きまとうような真似したことなかった。でも、サミーが何とも思っていないってことは、とりあえず迷惑はしていないってことで、つまりはリックにも勝算はあるってことかも。
「それで、夜まで何して過ごすの?」今夜はパーティーに参加予定だけど、なにか美味しいものは用意してあるのだろうか?
「寝不足だから部屋に戻って休むよ」サミーは皿の上のケーキにはろくろく手も付けず、伸びをするように立ち上がった。「あとでまたね」そう言って、大きなあくびをしながら部屋を出て行った。
つづく
前へ<< >>次へ
にほんブログ村