はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
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花嫁の秘密 351 [花嫁の秘密]

メリッサの今夜の役目はただひとつ。

ジュリエットよりも目立つこと。

そう単純な話ではないけれど、エリックがしつこいほど繰り返すものだから、今夜は自分でも驚くほど頑張って支度をした。もちろんグウィネスの助けがあってこそだけれど、あの素敵なコートに似合う自分を演出するのはなかなか面白い挑戦だった。

エリックがメリッサに贈り物をするのは珍しくはない。出会った時から与えられてばかりで、つい最近では屋敷をひとつ貰ったばかりだ。これにはもちろん裏がある。でも、こういうことをいちいち気にしていたらエリックと一緒にはいられない。

エリックからの最新の贈り物は純白のコートだった。サイズは当たり前のようにぴったりで、もしも以前よりも体重オーバーしていたらどうするつもりだったのだろうかと、余計なことを考えてしまった。

ラウンジの入り口で預けたけど、他人の手に委ねるのは心配になるくらい高価なものだ。もちろんここのホテルの従業員は扱い慣れているでしょうけど。

真っ白なコートに合わせたのは、真紅のベルベットのドレス。首までしっかり詰まっていて身体に沿うようなデザインなのだけど、コートに合わせることを考えたら選択の余地はなかった。もしかするとエリックはそこまで考えていてと邪推さえしてしまう。

けどさすがに手持ちのドレスまで把握されているとしたら、この件が終わったらしばらくは会いたくない。

それにエリックはこんな時にお酒を飲んでいる。口出しをしてもいいけど、きっと水みたいなものだと言って、人の意見に耳を傾けようとしないのは目に見えている。わたしを借り出しておいて、今夜のイベントは遊びの延長か何かと思っているに違いない。

本当にそれでいいのかしら。サミーに夢中になるあまり判断を鈍らせているのでは?

サミーを見ると、いつもと変わらない様子でココアを飲んでいる。お酒を飲むと眠ってしまうらしいから、外では飲まないだけかもしれないけど、とても懸命だわ。

近況報告を手短に済ませたところで、エリックが先に席を立った。

「どこへ行くの?」メリッサはエリックのすっきりした襟元を見ながら尋ねた。見た目だけ胡散臭さの薄れたエリックは、紳士そのものだけどどこか物足りなさを感じる。

「早めに馬車を回すように言ってくる。さもないとホテルを出る前に年が明けてしまう」それだけが理由ではないでしょうと、メリッサは喉元まで出かかった言葉を飲み込んだ。急いで出て行ったのは、きっとジュリエットにつけている監視から報告を受けるため。

「大袈裟だな。でももういい時間だ、僕たちも行こう」サミーはにこりとしてゆったりと立ち上がった。

いつもせかせかしているエリックとは対照的で、二人が補い合う関係なのは一目瞭然。相性がいいとは言えないかもしれないけど、この先どうなるのか楽しみでならない。エリックはきっと大苦戦するでしょうね。

「ええ、行きましょう」

つづく


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