はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 349 [花嫁の秘密]

サミーが膝の上で眠ってしまってから、エリックはブラックを呼びつけた。契約に必要な条件を書いて持って来いと命じるためだ。サミーの寝顔は見せたくなかったが、動けないので仕方ない。実にすやすや気持ちよさそうに眠っている。

ブラックは無表情でやり過ごすような真似はしなかった。興味深いとばかりに片眉を上げて、新旧の主人を交互に見やった。

「今夜、お前も来い」サミーが起きないように声を潜め言う。

「最初からそのつもりでした。俺はこの方のボディーガードですから」ブラックはサミーに目を落とした。

エリックは警告を込めてブラックを見上げた。呼びつけたのは自分だが、だからといって無遠慮に見ていいとは言っていない。

「その呼び方の方が馴染みがあるな。ただの従僕は退屈だっただろう」サミーから仕事を頼まれ嬉々として出掛けて行ったところを見るに、クレインのような立ち位置を望んでいたのだろう。けど残念ながらブラックにはクレインが持っているような情報網も人脈もない。ブラックはまだ若い。あそこまで行くにはもう少し時間と経験が必要だ。

「確かに、上品な人のお世話は少し退屈ではありますが、下品な連中のなかで仕事をするより何倍もマシなことに気づきましたよ」

おそらく娼館で用心棒をしていた時の事を言っているのだろう。背が高く威圧的な態度を取れて、腕っぷしが見た目以上に強いとくればその世界で仕事に困ることはない。

けれど、そこはブラックの望む場所ではなかった。しかも俺の使い走りより、サミーの従者になることを選んだということは、そこに居場所を見つけたのだろう。

「何があっても守れ。こいつにはそれだけの価値がある」

ブラックは黙って頷き、今夜の支度のために持ち場へ戻った。

もうあと一〇分したら、サミーを起こして支度を始めよう。夕食は結局どうすると言っていただろうか?早めにホテルへ行って、ラウンジで軽く腹に何か入れてもいい。ビーも呼べばサミーも文句は言わないだろう。

ジュリエットの方はラウールに任せたが、うまく今後につなげてくれれば作戦通り、今夜一回で終わってしまえば、俺の人選ミスだ。

ラウールはジュリエットの好きそうな条件が満載な男だが、サミーと比べるといかにもまがい物といった感じだ。それも仕方がない。ラウールはただの詐欺師だ。どこまでジュリエットを騙せるかお手並み拝見といこう。

まあこれで、最初考えていた計画に軌道修正できた。サミーがこれ以上余計な手出しをしなきゃいいが、そう楽観はしていられない。こっちが計画を変更すれば、必ずサミーも同じように計画を変えてくる。どうにか動きを封じられれば心配も減るが、ブラックが向こう側についたいまは、それもあまり期待できないだろう。

つづく


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