はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
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花嫁の秘密 237 [花嫁の秘密]

「それで、リックたちは何を企んでいるの?」セシルはポークソテーにたっぷりとマッシュポテトをナイフで塗りつけ、ニコニコ顔で口に運んだ。

途中立ち寄った街で休憩がてら昼食をとることになったが、ここ<フェアリー&ピッグス>は当たりだった。妖精と子ブタちゃんの看板の意味は豚肉料理が絶品なのと、この辺一帯は妖精の住処だから、らしい。川辺には近づいてはダメだと店主に言われた。

「僕は何も。巻き込まれただけだ」そう言ってエリックを見るサミーはアップルパイをちまちまつついている。つつくだけで食べている気配はない。

エリックはエールを飲み干し揚げたてのポテトをつまんで口に放ると、サミーの方に皿を押しやった。

「誤魔化そうたって無駄だよ。僕はクリスマスのごちそうを取り上げられたんだから、何をするつもりなのか知る権利はあるはずだよ」このミートソースのマカロニもなかなかだけど、やっぱりポークソテーが最高においしい。

「別に誤魔化したりしない。お前が協力したいっていうなら、させてやってもいいぞ。クリスマスイヴにブライアークリフ卿が慈善事業の一環でパーティーを開く。一緒に行くか?」エリックは手をあげて給仕係にエールのお代わりを頼んだ。

「ブライアークリフ……ああ、あの人か、なんだってそんな集まりに参加を?」サミーが尋ねたところで、ジョッキを持った給仕係がグラスを満たしにやって来た。豪快に注ぐと次のテーブルへ行ってしまった。

「ああ!白髭伯爵ね。リック、伯爵と知り合いなの?」気難しいので有名なブライアークリフ卿のパーティーにまで呼ばれているなんて、リックの顔の広さはほんと侮れない。

「いいや、直接面識はない。まあ、ロゼッタ夫人とは懇意にしているみたいだがな」そう言ってサミーを見る。「俺が用があるのは息子のデレクの方だ」

「あのろくでなしに何の用だ?」サミーは辛辣に吐き捨てた。

セシルは思わずぎょっとした。記憶にある限り、サミーがこんな物言いをするのはハニーを救出した時に見て以来だ。普段は感情の起伏を表に出すようなことはしない。リック相手に時々イライラしているみたいだけど、それは僕だって同じだ。

「そのろくでなしは、プルートスの会員だ」にやりと笑う。いつもの何か企んでいるあの顔だ。

「まさか、君――」

「四人のうちの一人だ」

「ねえ、いったい何の話をしているの?」セシルはじれったくなって尋ねた。

「お前は知らなくていい」

「いや、僕だって知りたい!その白髭伯爵の集まりに参加するならなおさらね」

「僕たちの最終的な獲物がジュリエットなのは、セシルも知っているね」エリックと違って相手を煙に巻こうとしないサミーが、いったいどこまで喋ってくれるのか、セシルは興味を惹かれただ黙って頷いた。「ジュリエットは再びアンジェラを襲うだろう。そのためには」

「金が必要だ」エリックがサミーを遮るようにして言葉をつなぐ。「ジュリエットはその金をサミーから引き出そうとしている」

「サミーは出さないでしょう?」セシルは驚いて声を上げた。

「こいつはジュリエットがそう思うように、わざわざ仕向けたんだ。おかげでハニーとこいつと両方守らなきゃならない羽目になった」

「だって、そうしなきゃ彼女の動きが分からないだろう?それに自分の身は自分で守れるからお構いなく」サミーは苛立って、アップルパイにフォークを突き刺した。きっとリックのこともアップルパイのように串刺しにしたいに違いない。

「そのせいであいつらに目をつけられたんだぞ。セシル、こいつはいま賭けの対象になっている。ジュリエットと結婚するかどうか――」

「そして僕が一年以内に殺されるか」

二人ともいったい何言ってるの?もう、僕の頭じゃ追いつかないよ。

「結婚して殺される方に掛けたのが。デレク・ストーン、シリル・フロウ、マックス・ホワイト」

「僕は結婚しない方に掛けたんだ。えらいだろう」

真剣な顔つきのリックとは違い、サミーはどことなしか楽しんでいる様子だ。自分が物騒な賭けの対象にされているのに平気なのだろうか?

そういえば、確かリックは四人と――あと一人はいったい誰なのだろう。

つづく


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