はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
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花嫁の秘密 404 [花嫁の秘密]

ようやく見つけた。

部屋にいなくて焦ったが、まさか主寝室にいるとは予想外だ。

マーカスは灯りをかざし、ベッドで子供のように丸まるサミーを見おろした。

いったいこいつはここで何をしている?様子からしてここで眠るつもりはなかったようだが、何をしていたにせよ、いまだに兄を羨んでいるのは確かだ。

兄の留守中に部屋に忍び込んで、俺とたいして違わないな。お気に入りの毛布を抱きしめて眠る赤子のように枕を抱いて、成長したのは見た目だけか?

マーカスはしげしげとサミーを見つめ、あることに思い至った。

目当ては兄の妻か。枕がその代わりとはね。
だとしたらあのゴシップ紙の馬鹿げた記事も納得だ。当てつけに兄の元恋人に手を出すとは、サミュエルも思い切ったことをする。

灯りをベッドサイドにゆっくりと置き、横にブランデーボトルを置いた。部屋の隅の飾りワゴンからグラスをひとつ取って、半分ほど満たした。ポケットから小瓶を取り出すと躊躇うことなく、中の液体を数滴垂らした。

ずっとどうするか決めかねていた。腹を立てるほどでもないと自分に言い聞かせたが、あの日追い返されたという事実は変わらない。よくも俺を門前払いできたものだ。

感情をコントロールするのは得意だが、かつての教え子に袖にされて黙っているとでも?あの頃、サミュエルは俺の言いなりだった。先生だから、という理由だけではない。

マーカスは当時の記憶が次々とよみがえってくることに戸惑いを覚えた。おそらくひとつも忘れてはいないが、覚えていても意味のないことばかりで、いまの自分にはまったく必要がない。

たとえば、こうしてそばに立っているのにサミュエルが気付きもしないなんてことありえない。警戒心が人一倍強いサミュエルなら部屋に侵入した時点で気付いただろう。

だがあれからずいぶん経った。記憶にあるサミュエルと変わっていても何ら不思議はない。

グラスを軽く回して、中身を口に含んだ。ベッドにゆっくりとあがりサミーの顎を掴んで素早く口づけた。あの頃とは違う大人の男の匂いと高級な石鹸の香り。漠然としていた怒りともつかない感情が欲望へと変化する。

サミーは驚いてもがき、マーカスのすべてから逃れようとした。だがすべてが遅すぎた。

マーカスはアルコールがこちらから向こうへと渡るのを感じながら、こんなふうに事がうまく運んだことに警戒心を抱いた。罠にかけていると思っていて、まんまとはまったのは自分の方だった、ということもあるかもしれない。

サミーはむせながら、自分を押さえつけている男を睨むようにして見上げる。わずかな灯りで見えた姿に目をしばたたき、そして言った。

「マーカス?」

つづく


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