はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花嫁の秘密 400 [花嫁の秘密]
「ねえ。サミーは出掛けちゃってクリスもハニーもいないのに、僕たちだけここにいるのってなんか不思議じゃない?」
セシルは居間のいつものソファに座って、その広さを確かめるように両手を広げた。ゆうに三人は座れるソファが余計に大きく感じられる。
「別に。俺もいまから出掛けるし、ここにはお前だけになる」すぐそばの一人掛けのソファに座るエリックは、ちらりと時計に目をやり言った。お昼くらいまでダラダラしていると思ったけど、気づけば着替えを済ませている。
「え?どこに行くの?帰ってくる?」こんな広い場所に一人きりなんて嫌だ。そりゃあ居心地はいいし、お菓子も美味しいけどさ。
「ガキみたいなことを言うな。仕事だ。夜には戻る」エリックは情けないとばかりに頭を振った。
「仕事?新聞の方?それとも怪しい調査の方?」セシルは念のため尋ねた。聞いたからといって、なにもわかりはしないのだけど。
「なんでそんなにいちいち聞くんだ。俺の仕事になんか興味ないだろ」エリックは駄々をこねる三歳児を見るような目でセシルを見た。
「ないけど」セシルは白状した。兄が何をしているのか不思議に思うことはあっても、ただそれだけ。その先を知りたいとは思わない。「リックってさ、たまにすごい記事載せるから、そろそろかなぁって」
「お前のタイミングで仕事をしているわけじゃない」エリックはぴしゃりと言い捨てた。
「もしかして機嫌悪い?サミーがいないから」サミーは昼食後、出発が少し遅くなったと言いながら出掛けて行った。従者を一人連れていたけど、エリックから何か言われていたから、きっと見張り役だろう。
「そろそろ黙らないとどうなっても知らないぞ」エリックは獰猛にうなった。
セシルは口をすぼめて、ソファの上で居住まいをただした。そろそろお茶の時間だけど、どうしよう。僕も出掛けようか。
ふとしばらく会っていない恋人の事を思った。クリスマスに家族と過ごす習慣はお互い同じだったけど、ハニーが母様に秘密を打ち明けたのをきっかけにいつもとは違うクリスマスになった。休暇は終わったしそろそろ会いたいけど、来週までは会えない。
もし僕が大学をやめちゃったら、もっと会えなくなるかな。
「ねえ、S&Jの人と共同経営って具体的にどういう感じになるの?」
「まだ詳細は決まっていない。まあ、ステフはあまり乗り気じゃないが金は出すと言っているから、ジョンとサミーでクィンの役目を引き継ぐ感じになるだろうな」
そして僕はそのお手伝いってわけね。
「リックの役目は?」プルートスを買収する狙いがいまいちわからない。サミーをなぜクラブのオーナーにしたがるのか、なぜS&Jも巻き込むのか。けど、いまリックがその理由を口にしたとして、全部しゃべるはずがない。裏に何かあったとしても、絶対に僕やサミーが知ることもない。
「俺はただの仲介役だ。まあ好きに遊べる場所のひとつやふたつ確保しておくのも悪くないだろ」エリックはそう言って、伸びをするように立ち上がった。じゃあなと手をひらりとして、前のドアから出て行った。
いまだって好きに遊んでるくせに。でも出資者となったら、会費ももう払わなくてよくなるってことかな?僕も関係者になるわけだし、そうなったら好きな時に遊びに行けるけど、美味しい食事を提供するためにはいまみたいにのんびりしていられなくなる。ローストビーフ以外にも名物を作らなきゃ。
半分以上はサミーと一緒に仕事をする気になっているけど、でもやっぱり彼とあまり会えなくなると思うと、断りたい気持ちの方が勝っている。すぐに結論を出す必要はないとサミーは言ったけど、リックはもう決定事項として話を進めているだろうし、何より気が重いのはこの話を彼にすること。
いったいどういう反応をするのだろうか。まさか別れることにはならないよね。
つづく
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セシルは居間のいつものソファに座って、その広さを確かめるように両手を広げた。ゆうに三人は座れるソファが余計に大きく感じられる。
「別に。俺もいまから出掛けるし、ここにはお前だけになる」すぐそばの一人掛けのソファに座るエリックは、ちらりと時計に目をやり言った。お昼くらいまでダラダラしていると思ったけど、気づけば着替えを済ませている。
「え?どこに行くの?帰ってくる?」こんな広い場所に一人きりなんて嫌だ。そりゃあ居心地はいいし、お菓子も美味しいけどさ。
「ガキみたいなことを言うな。仕事だ。夜には戻る」エリックは情けないとばかりに頭を振った。
「仕事?新聞の方?それとも怪しい調査の方?」セシルは念のため尋ねた。聞いたからといって、なにもわかりはしないのだけど。
「なんでそんなにいちいち聞くんだ。俺の仕事になんか興味ないだろ」エリックは駄々をこねる三歳児を見るような目でセシルを見た。
「ないけど」セシルは白状した。兄が何をしているのか不思議に思うことはあっても、ただそれだけ。その先を知りたいとは思わない。「リックってさ、たまにすごい記事載せるから、そろそろかなぁって」
「お前のタイミングで仕事をしているわけじゃない」エリックはぴしゃりと言い捨てた。
「もしかして機嫌悪い?サミーがいないから」サミーは昼食後、出発が少し遅くなったと言いながら出掛けて行った。従者を一人連れていたけど、エリックから何か言われていたから、きっと見張り役だろう。
「そろそろ黙らないとどうなっても知らないぞ」エリックは獰猛にうなった。
セシルは口をすぼめて、ソファの上で居住まいをただした。そろそろお茶の時間だけど、どうしよう。僕も出掛けようか。
ふとしばらく会っていない恋人の事を思った。クリスマスに家族と過ごす習慣はお互い同じだったけど、ハニーが母様に秘密を打ち明けたのをきっかけにいつもとは違うクリスマスになった。休暇は終わったしそろそろ会いたいけど、来週までは会えない。
もし僕が大学をやめちゃったら、もっと会えなくなるかな。
「ねえ、S&Jの人と共同経営って具体的にどういう感じになるの?」
「まだ詳細は決まっていない。まあ、ステフはあまり乗り気じゃないが金は出すと言っているから、ジョンとサミーでクィンの役目を引き継ぐ感じになるだろうな」
そして僕はそのお手伝いってわけね。
「リックの役目は?」プルートスを買収する狙いがいまいちわからない。サミーをなぜクラブのオーナーにしたがるのか、なぜS&Jも巻き込むのか。けど、いまリックがその理由を口にしたとして、全部しゃべるはずがない。裏に何かあったとしても、絶対に僕やサミーが知ることもない。
「俺はただの仲介役だ。まあ好きに遊べる場所のひとつやふたつ確保しておくのも悪くないだろ」エリックはそう言って、伸びをするように立ち上がった。じゃあなと手をひらりとして、前のドアから出て行った。
いまだって好きに遊んでるくせに。でも出資者となったら、会費ももう払わなくてよくなるってことかな?僕も関係者になるわけだし、そうなったら好きな時に遊びに行けるけど、美味しい食事を提供するためにはいまみたいにのんびりしていられなくなる。ローストビーフ以外にも名物を作らなきゃ。
半分以上はサミーと一緒に仕事をする気になっているけど、でもやっぱり彼とあまり会えなくなると思うと、断りたい気持ちの方が勝っている。すぐに結論を出す必要はないとサミーは言ったけど、リックはもう決定事項として話を進めているだろうし、何より気が重いのはこの話を彼にすること。
いったいどういう反応をするのだろうか。まさか別れることにはならないよね。
つづく
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