はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 397 [花嫁の秘密]

朝、部屋から出ると、ブラックが立っていた。

サミーは微かに眉間に皺を寄せた。

この男が呼んでもいないのに見える場所にいるのは珍しい。変わったことでもあったのか、もしくは昨日ジュリエットから届いた手紙についてエリックに告げ口したと報告に来たのか。

そういえばエリックは昨日の夜は部屋に来なかった。何時ごろ戻ったのだろうか。そもそも帰宅しているのか?

「今朝はどうした?朝食の支度がまだだと言いに来たのか」それでも別にいいけど。僕は一杯のココアがあればじゅうぶんだ。

「いえ、今日からあなたの従者だと言いに来たんです」ブラックが愛想の欠片もない口調で返す。

とうとうエリックの許可が下りたか。「従者ね。一応これまでもそうだったはずだけど、これからは僕の指示で動いてくれるわけだ」それでもエリックに報告はいくのだろう。「早速頼みたいことがある。朝食後、書斎に来てくれ」

「かしこまりました。では。後ほど」

ブラックが立ち去ると、サミーはさっそく今後の予定について考え始めた。そろそろ動き出すべきではあったが、一人だとどうしても限界がある。それを見越してか、エリックがブラックをタイミングよく差し出した。

行動を読まれているようで気に入らないけど、いまは情報のほとんどを共有しているし――そう思っているのはこちらだけかもしれないけど――問題ひとつひとつを確実に片付けていくためには仕方ない。

朝食の席にはすでにセシルがいて、いつものようにトーストにかぶりついていた。見慣れた光景にホッとする。昨夜は結構飲んだはずなのに、案外平気な顔をしていることも驚きだ。

「おはよう、セシル。早いんだね」自分の席に座って、プラットにココアを頼む。当然、エリックはいない。

「サミー、おはよう」セシルは口の中のパンを飲み下してから言った。今朝はミルクティーを飲んでいるようだ。

「エリックを見たかい?」サミーは尋ねた。

「ううん。昨日は遅かったみたいだからまだ寝てると思う」セシルは答えて、薄切りのハムを数枚トーストの上に乗せた。他にも何か乗せようときょろきょろする。

「そう。それなら先にセシルに言っておくけど、明日から二、三日留守にするよ」プラットが手元にココアのカップを置いた。ふんわりと泡立てられた生クリームが上面を覆っている。

「留守?どこへ行くの?」セシルはハムの上にスクランブルエッグを乗せて、マヨネーズをひとさじ回しかけた。

「ちょっとフェルリッジに戻って調べものをしてくる。その間ここにいてもいいし、コートニー邸の方に行っていてもいいし、セシルの好きにしていていいよ」できれば帰宅したときにいてくれたら安心できるけど、少し子供っぽい考えだろうか。最近は一人でいるよりも、誰かと一緒の方が落ち着ける。

「もしかして例の箱の事で?僕も行こうか?」セシルはサンドイッチにするつもりのトーストを、一旦皿に置いた。

「いや、それとは別件なんだ。けど、いまダグラスがいないのがちょっとね……」直接話を聞きたかったけど、しばらくは無理だ。いまクリスたちにはダグラスが必要だし、こちらの用件はそう急ぐほどでもない。どうせエリックも調べているだろうし。

「そっか、クリスと一緒にラムズデンへ行ったんだっけ。ハニー向こうでうまくやってるかな?」やはり気になるのはアンジェラの事。結婚してからいろいろなことに挑戦しているけど、まったく知らない場所へ行くのに、最低限の従者だけというのは心細いだろう。

「この時期旅行するにはふさわしい土地とは言えないが、いいところだよ。村人はちょっと閉鎖的なところもあるけど、僕にでさえ好意的だったから、アンジェラならきっと温かく迎い入れられているよ」

用が片付いたらみんなで押しかけるのも悪くない。そのためにはまず何から取り掛かるべきか、エリックと少し計画を詰めておく必要がありそうだ。

つづく


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