はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
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花嫁の秘密 398 [花嫁の秘密]

朝食を抜いただけで、もうサミーは勝手な行動を取ろうとしている。

エリックは居間で目覚めのコーヒーを飲みながら、自分もサミーについてフェルリッジに行くべきか熟考した。もっと苦い一杯を頼めばよかった。

何の用事で行くのか、おおよその見当はついている。調べ物は好きなだけしてくればいい。問題があるとすれば、サミーがブラックを置いて一人で行くこと。

何のために譲ったと思っているんだ?そう訊いたところでまともに返事をしそうにもない。サミーは自分の行動にけちをつけられたと、不機嫌になるだけだ。

ブラックはいくつか用を言い付けられたと言っていたが、それを明かす気はないようだ。

「リックおはよう、もしかして朝食食べ損ねたの?」朝から元気いっぱいのセシルが、本を片手にやってきた。のんきに読書とはいい気なものだ。

「お前はサミーが留守の間どうするつもりだ?向こうへ戻るのか?」エリックはセシルのくだらない質問を無視して尋ねた。

「すぐに戻ってくるしここにいるよ。荷物動かすのも面倒だしね。リックはどうするの?向こうへ行くの?」セシルはソファに座って、本をすぐわきに置いた。

「あそこは俺の家じゃない」それどころか自分の持ち家でさえ、腰を落ち着けられる場所かといえば、一度もそんなこと思ったことはない。

「そう言うと思った。ところでさ、ハニーを脅したやつはわかったの?僕もサミーも彼女以外にはいないと思ってるけど」セシルはエリックのために用意された、サンドイッチのプレートに目を留めた。ハムとチーズのひと口パイは、つまむのにちょうどいい。

「朝からなんだ?」エリックは不機嫌さが顔に出るのを感じた。サミーのせいでイライラが止まらない。

「わかっていることを知りたいから。もしかすると、僕にもできることがあるかもしれないし。学校をやめる以外にね」セシルの声にとげとげしさが滲む。

何かと思えば。何もせずぷらぷらするくらいなら仕事を与えてやろうとしたのに、兄の好意は要らぬおせっかいと決めつけて、腹を立てているわけか。

「ほとんど片付いているから、お前の出番はない。それより、サミーがお前を頼りにしているから力になってやれ」驚くべきことだが、サミーは俺なんかよりセシルを必要としている。俺には何かと噛みつく癖に、菓子ばかり食っているセシルの方を頼りにするのはなぜなのか、理解に苦しむ。

「へぇ、犯人わかっちゃってるんだ。それってサミーも知ってる?」

「サミーが書斎から出てきたら話すつもりだ」そうしないと、セシル以上にとげとげしい物言いで文句を言った挙句、しばらく離れるのを機に関係を見直される可能性もある。

いまでさえ不安定なのに、これ以上の危険は冒せない。

つづく


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