はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 412 [花嫁の秘密]

何度目か、マーカスはサミーの中に解き放った。
それからふいに飽きたとばかりにベッドから出ると、部屋の隅に置いてあるキャビネットの時計に目をやった。

そろそろ出るか。

足元からシャツを拾い上げて袖を通す。いつ脱いだのか、最初はシャツを着たままだったが、正直ここまでするとは自分でも思っていなかった。

サミュエルは少し前から意識を失っている。ベッドの端から腕をだらりと垂らし、ぴくりともしない。しばらくは目覚めないだろう。

マーカスは上掛けをサミーの背中に掛けると、汗で湿る髪を顔から払った。サミュエルのいい所は顔だけだと思っていたが、その考えは改める必要がありそうだ。背中の傷さえなければもっと早くに気づくことができたのに、こいつの父親のせいで多くの時間を無駄にした気がしてならない。

とはいえ、あのまま追い出されずにいたとしてサミュエルとの関係を続けていたかというと、きっとそんなことはなかっただろう。そのうち飽きて別の場所へ移っていたはずだ。けど自分で出ていくのと追い出されるのとでは話が違う。

いつの間にか雨音は消えている。足元はぬかるんでいるだろうが、雨が止んだのは好都合だ。

さて、今後どうしようか。

このまま今夜の事は忘れて、いままでのように次の屋敷へ潜り込むか。コンサルタントというのはなかなか面白い仕事だが、そろそろ自分で動くのはやめて人を送り込むだけにするという道もある。女の相手も面倒になって来たし、事務所の近くにでも住まいを借りてサミュエルの相手を探るというのも面白いかもしれない。

そのためには資金をどこからか調達する必要がある。一服しながら考えたいところだが、ひとまずここからは出なければ。

マーカスは慎重に部屋を出て、暗い廊下を進んだ。ところどころ灯りはあるものの、屋敷内を熟知していなければ、最初の階段で躓いていただろう。こういう屋敷は揃いも揃って迷路みたいな造りなのはなぜだろうか。

しかし、もうここに来ることはないのだからどうでもいいことだ。サミュエルもこんな場所に長くいようとは思わないはずだ。

サミュエルは自分の屋敷を持っていただろうか。投資がうまくいって資産はあるようだが、いまだに兄の世話になっているところを見るに、俺と似たようなものなのかもしれない。

今夜、あの忌々しい執事がいなくて本当によかった。あいつは俺を知っているし、仮に見つかれば、目的まではわからないにしても下手すると通報されかねない。

用心深くサンルームの窓から庭に目をやる。風は少し吹いているが雨はやはり止んでいるようだ。面倒だが、資金調達のため予定通りブレイクリーハウスに行くとするか。

マーカスは来た時同様、誰にも見られることなくリード邸を後にした。

つづく


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