はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花嫁の秘密 411 [花嫁の秘密]
半分は諦めている。けれど残りの半分は、マーカスがこんなくだらないことをやめてくれることを望んでいる。
マーカスは僕と違ってこの十二年分経験が増えているはずだ。それなのにひとつも変わっていない。大きな手で左肩をベッドに押し付け、僕を見おろす。それとも相手が誰であろうとそうするのか?
上に乗られて身動き取れないのに、ただベッドに張り付けられて事が終わるのを待つしかないのに、なぜそこまでする?
「サミュエル、こっちを見ろ」
ゆっくりと視線を向けると、マーカスはにやりとした。思い通りになって満足しているのだろう。
「昔よりいいな」マーカスが言う。「けど相手がいたとはね。意外だったな」
サミーはただ見返した。下手に反応すれば、その相手が誰だかばれてしまう。おそらくマーカスは多少なりとも僕を調べたはずだ。最近クラブ通いしていたから、そこに相手がいると思っているかもしれない。
マーカスが顔を近づけて耳元で囁く。「そいつはどんなふうにお前を抱く?」
どんなふうに、か……。僕の顔しか見ようとしないマーカスにわかるはずもない。
「言いたくないならそれでもいい。どうせそのうちわかるさ」
マーカスの手が肩から腕を伝って腰を撫でる。触れられてもほとんど何も感じないのは、それはそれでよかったのかもしれない。仮に身体が反応していたとしても、それは僕とは関係ない。
膝裏をぐっと押し上げられ、マーカスが深く入ってきた。麻痺していると思っていた感覚が刺激され声が漏れる。遊びはここまでとばかりに激しい動きに変わり、身体が揺さぶられる。吐き気とめまいがひどくなり、このままではいつまで意識を保っておけるかわからない。
別に身体くらいくれてやると構えていたが、いざそうなると案外きついものだ。エリックに義理立てする必要はないが、望んでしたことではないと言い訳したくなる。
「声を我慢することないぞ。あの頃とは違うからな。お前が恐れていた父親はもうこの世にいない」
恐れてはいなかった。ただ、なぜ嫌われているのかわからず戸惑っていただけだ。嫌う理由がわかったとき、あまりに悲しくて打ちのめされた。
「我慢していると思っているのか?」精一杯の皮肉で返すが、掠れた声しか出なかった。喉はからからで唇もかさついている。
「まったく、可愛げのないやつだ。昔はもっと素直だったが、付き合っている男の影響か?そいつで満足できているとは思えないけどな」
マーカスの手が二人の間に割って入り、僕のものに触れた。手のひらで包み込むようにして上下に動かし、反応を見てほくそ笑む。
サミーは横を向いて目を閉じた。流れた髪が顔を覆う。
朝まであと何時間ある?マーカスはきっと使用人が動き出す前にここを出るはずだ。それまで目をつむって好きにさせておけばいい。
終わったら何事もなかったかのように朝食の席に着く。そうすれば知られずに済む。
つづく
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マーカスは僕と違ってこの十二年分経験が増えているはずだ。それなのにひとつも変わっていない。大きな手で左肩をベッドに押し付け、僕を見おろす。それとも相手が誰であろうとそうするのか?
上に乗られて身動き取れないのに、ただベッドに張り付けられて事が終わるのを待つしかないのに、なぜそこまでする?
「サミュエル、こっちを見ろ」
ゆっくりと視線を向けると、マーカスはにやりとした。思い通りになって満足しているのだろう。
「昔よりいいな」マーカスが言う。「けど相手がいたとはね。意外だったな」
サミーはただ見返した。下手に反応すれば、その相手が誰だかばれてしまう。おそらくマーカスは多少なりとも僕を調べたはずだ。最近クラブ通いしていたから、そこに相手がいると思っているかもしれない。
マーカスが顔を近づけて耳元で囁く。「そいつはどんなふうにお前を抱く?」
どんなふうに、か……。僕の顔しか見ようとしないマーカスにわかるはずもない。
「言いたくないならそれでもいい。どうせそのうちわかるさ」
マーカスの手が肩から腕を伝って腰を撫でる。触れられてもほとんど何も感じないのは、それはそれでよかったのかもしれない。仮に身体が反応していたとしても、それは僕とは関係ない。
膝裏をぐっと押し上げられ、マーカスが深く入ってきた。麻痺していると思っていた感覚が刺激され声が漏れる。遊びはここまでとばかりに激しい動きに変わり、身体が揺さぶられる。吐き気とめまいがひどくなり、このままではいつまで意識を保っておけるかわからない。
別に身体くらいくれてやると構えていたが、いざそうなると案外きついものだ。エリックに義理立てする必要はないが、望んでしたことではないと言い訳したくなる。
「声を我慢することないぞ。あの頃とは違うからな。お前が恐れていた父親はもうこの世にいない」
恐れてはいなかった。ただ、なぜ嫌われているのかわからず戸惑っていただけだ。嫌う理由がわかったとき、あまりに悲しくて打ちのめされた。
「我慢していると思っているのか?」精一杯の皮肉で返すが、掠れた声しか出なかった。喉はからからで唇もかさついている。
「まったく、可愛げのないやつだ。昔はもっと素直だったが、付き合っている男の影響か?そいつで満足できているとは思えないけどな」
マーカスの手が二人の間に割って入り、僕のものに触れた。手のひらで包み込むようにして上下に動かし、反応を見てほくそ笑む。
サミーは横を向いて目を閉じた。流れた髪が顔を覆う。
朝まであと何時間ある?マーカスはきっと使用人が動き出す前にここを出るはずだ。それまで目をつむって好きにさせておけばいい。
終わったら何事もなかったかのように朝食の席に着く。そうすれば知られずに済む。
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