はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花嫁の秘密 395 [花嫁の秘密]
「セシルは彼とうまくいっているの?」サミーは唐突に尋ねた。
こういう話は普段ならしないのだが、セシルを引き留めてしまっていることで、もしも恋人と会えずにいるなら申し訳ない。
「サミーでもそういうこと聞くんだ」セシルは意外だなという顔をした。訊かれて戸惑っているという感じはない。
「おかしいかい?」
「ううん」セシルは首を振った。「うまくいっているよ。しばらく会っていないけど、来週には会えると思う」
「それなら安心だ。僕たちのせいで不都合が生じているなら、遠慮なく言ってくれてかまわないからね」エリックにあっちに行けこっちに行けと指示されて、いくらアンジェラのためとはいえ振り回し過ぎている。
「僕たちね」セシルはニヤニヤと意味ありげな笑みを浮かべた。
「セシルの言いたいことはわかるよ。でも実際色々と巻き込んじゃってるからね」そろそろエリックにひと言釘を刺しておくべきだろうか。動ける人間ならたくさん抱えているだろうし、僕もいつでも動ける状態だ。セシルにばかり負担をかけるべきじゃない。
「そういえば、結局調査はどこまで進んでいるの?犯人はわかったの」
「エリックに任せているけど、ハンカチの出所はつきとめていたはず。あとは刺繍をした人物を探し当てると言っていたけど、そんな必要あるとは思えないね。犯人は一人しかいないんだから」
「やっぱり彼女が?」セシルが訊いた。意外でも何でもないけど一応尋ねたといった感じだ。
「ただの悪趣味ないたずらだったとしても、彼女以外には思いつかないな。だから調査なんて無意味だし、さっさと行動に移すべきだ。クラブの買収なんかよりよっぽど急ぐべき案件だ」エリックの中の優先順位がどうなっているのかさっぱりわからないけど、同時進行でどうにかなるような問題ではない。それとは別にブライアークリフの事も探らなきゃいけないし、となると全部同時進行で進めるしかないか。
「きっちり証拠を掴んで、確実に仕留めたいんじゃないかな。と言っても、僕も早く決着して欲しいと思ってるけどね。それはそうと、リックがなぜ髪を切ったか知ってる?僕びっくりしてすぐに聞いたんだけど、答えてくれなかったんだ」セシルは無邪気そのものの顔で訊いた。サミーなら当然わかるでしょといったふうだ。
「彼のすることを僕が理解できると思う?」サミーはうんざりと言い返した。エリックは僕が切ろと言ったから切ったと言う。もちろんそんなことは言っていない。どういうつもりなのか聞いてもまともな答えが返ってくるはずもないし、聞いたところで無意味だ。
「むしろサミーにしかわからないと思ってる」セシルはきっぱりと言って、何杯目かの白ワインを飲み干した。「リックがいつからあの髪形をしていたのか知ってる?お父様が亡くなった頃からだから、十七年くらいかな、いまさら切るなんて考えられないくらい前だよ」
「別にずっと伸ばしていたわけじゃないだろう?髪型が変わらないのは僕だって一緒さ」けど、なにかこだわりがあったのは確かだ。それをたかが僕の言葉ひとつで切ってしまったなどと、考えたくもない。
「そう言っちゃうと僕だってそうだけど、リックには何か理由があるみたいでさ。たぶんお父様となにか関係あるんだと思う」セシルはそう言って、炉棚の上の時計に目をやった。そろそろ食事にしたいとう合図のようだ。
随分飲んだけど――しかもビスケットの壺は空だ――夕食が入る隙はあるのだろうか。もちろんセシルにはある。僕もまああと少しならどうにかなりそうだ。
つづく
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こういう話は普段ならしないのだが、セシルを引き留めてしまっていることで、もしも恋人と会えずにいるなら申し訳ない。
「サミーでもそういうこと聞くんだ」セシルは意外だなという顔をした。訊かれて戸惑っているという感じはない。
「おかしいかい?」
「ううん」セシルは首を振った。「うまくいっているよ。しばらく会っていないけど、来週には会えると思う」
「それなら安心だ。僕たちのせいで不都合が生じているなら、遠慮なく言ってくれてかまわないからね」エリックにあっちに行けこっちに行けと指示されて、いくらアンジェラのためとはいえ振り回し過ぎている。
「僕たちね」セシルはニヤニヤと意味ありげな笑みを浮かべた。
「セシルの言いたいことはわかるよ。でも実際色々と巻き込んじゃってるからね」そろそろエリックにひと言釘を刺しておくべきだろうか。動ける人間ならたくさん抱えているだろうし、僕もいつでも動ける状態だ。セシルにばかり負担をかけるべきじゃない。
「そういえば、結局調査はどこまで進んでいるの?犯人はわかったの」
「エリックに任せているけど、ハンカチの出所はつきとめていたはず。あとは刺繍をした人物を探し当てると言っていたけど、そんな必要あるとは思えないね。犯人は一人しかいないんだから」
「やっぱり彼女が?」セシルが訊いた。意外でも何でもないけど一応尋ねたといった感じだ。
「ただの悪趣味ないたずらだったとしても、彼女以外には思いつかないな。だから調査なんて無意味だし、さっさと行動に移すべきだ。クラブの買収なんかよりよっぽど急ぐべき案件だ」エリックの中の優先順位がどうなっているのかさっぱりわからないけど、同時進行でどうにかなるような問題ではない。それとは別にブライアークリフの事も探らなきゃいけないし、となると全部同時進行で進めるしかないか。
「きっちり証拠を掴んで、確実に仕留めたいんじゃないかな。と言っても、僕も早く決着して欲しいと思ってるけどね。それはそうと、リックがなぜ髪を切ったか知ってる?僕びっくりしてすぐに聞いたんだけど、答えてくれなかったんだ」セシルは無邪気そのものの顔で訊いた。サミーなら当然わかるでしょといったふうだ。
「彼のすることを僕が理解できると思う?」サミーはうんざりと言い返した。エリックは僕が切ろと言ったから切ったと言う。もちろんそんなことは言っていない。どういうつもりなのか聞いてもまともな答えが返ってくるはずもないし、聞いたところで無意味だ。
「むしろサミーにしかわからないと思ってる」セシルはきっぱりと言って、何杯目かの白ワインを飲み干した。「リックがいつからあの髪形をしていたのか知ってる?お父様が亡くなった頃からだから、十七年くらいかな、いまさら切るなんて考えられないくらい前だよ」
「別にずっと伸ばしていたわけじゃないだろう?髪型が変わらないのは僕だって一緒さ」けど、なにかこだわりがあったのは確かだ。それをたかが僕の言葉ひとつで切ってしまったなどと、考えたくもない。
「そう言っちゃうと僕だってそうだけど、リックには何か理由があるみたいでさ。たぶんお父様となにか関係あるんだと思う」セシルはそう言って、炉棚の上の時計に目をやった。そろそろ食事にしたいとう合図のようだ。
随分飲んだけど――しかもビスケットの壺は空だ――夕食が入る隙はあるのだろうか。もちろんセシルにはある。僕もまああと少しならどうにかなりそうだ。
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