はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 382 [花嫁の秘密]

お腹を満たしたサミーは、先ほど有耶無耶になったままの話の続きを促すようにジョンを見た。

「二人、遅いですね」ジョンはカクテルグラスを片手にちらりと大階段の方を見た。何杯目か数えてはいないが、さほど顔色も変わっていないし、特に酒に弱くはなさそうだ。

「クィンはさっき上がったばかりだから、もうしばらくは戻ってこないんじゃないかな」サミーは素っ気なく言って、じっとりとした視線をジョンに向けた。

ジョンはステフと出会ってからいままでの事をざっくりと話してくれたが、世間が知っている二人の姿とは少し違っていた。だがエリック同様、ステフが胡散臭いことには変わりない。あの捉えどころのなさはいったい何なのだろう。

「どこまで話を進めるんでしょうね」ジョンはグラスを空にしてテーブルに置いた。

サミーは自分で話し合いには参加しないと決めたが、ジョンは違う。わけもわからず放置されていて、上で決まった話に否が応でも従わされるのだから。けれどもジョンはそれを望んでいる。ステフの決めたことは自分で決めたことと同義らしい。

「まず意思確認じゃないかな。クィンがここを手放す気があるのか。僕だったらあんな胡散臭い男にはいくら積まれたって譲らないけどね」まともな判断を出来る者なら、エリックにプルートスを譲ろうなんて思わない。

クィンはここを一流のクラブに成長させたことで、世間での地位も確立させた。いくつか事業を行っているがここを手放すのはかなりの痛手に違いない。だが、そうせざるを得ない事情がある。そこにエリックがつけ込んだわけだけど、結果として僕も話に乗った。けど、ここで周りの様子を眺めていると、それは間違いだったような気がする。

僕には無理だ。従業員を束ねるのは支配人に任せたとしても、まずあの支配人が僕に従うとは思えない。クィンは幼いころから叔父の下で、ゲームだけでなく客のあしらい方や帳簿のつけ方を学んできた。成人した時に経営を引き継ぎ、支配人と共にここを大きくした。金を持っているだけで他には何も持たない僕に誰が従う?

共同経営者にステフとジョンが加わったとしても、何も変わらない。エリックはいったいどうするつもりだろう。

ふと、エリックに行かせたのは間違いのような気がしてきた。明らかにまともな話し合いをするよりも、相手の感情を逆撫でして状況が複雑化するのがおちだ。

だがクィンはエリックという人間を知っている。知っていてここの会員にするだけの度量もある。プルートスから手を引かせるには、つくづく惜しい男だ。

彼の妻を説得するのはどうだろうか。

まあ、それは僕の仕事ではないが。

「それでジョン、どこに駅を造るって?」まずはこっちの問題を片付けよう。

つづく


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