はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
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花嫁の秘密 232 [花嫁の秘密]

その夜遅く、クリスは書斎で頭を抱えていた。

クリスマスの飾りつけは無事済んだし、アンジェラへのプレゼントも準備万端だ。何も困ることはないはずだったのだが、アンジェラのいささか刺激的過ぎたプレゼントを受け取ってしまったソフィアが、アップル・ゲートへ戻るという。

クリスはソフィアと話をする必要があった。この結婚は間違いなどではなく、今後も続いていくのだと。けれどもソフィアはクリスはおろか、アンジェラとも話すことを拒んだ。

アンジェラの突然の告白を受け入れるために時間が必要なのは理解できる。クリスもかつて同じような経験をしたのだから。だが、本当に同じと言えるだろうか?過ごした時も愛の種類も違う。ソフィアはいったいどうやって納得するのだろう。いや、クリスと違って受け入れるという選択しか、ソフィアにはない。

元はマーサがついた嘘からすべてが始まった。それは本当に仕方がなくついた嘘で、これまで隠し通してきたマーサの献身ぶりを否定することはできない。

きっとマーサはアンジェラが生まれた瞬間からいままでの成長を余すことなく伝えるだろう。すばらしい贈り物を授かった喜びは、アンジェラが男の子だったからといって変わるものではない。

もうひとつクリスの頭を悩ませているのが、ラムズデンで起こった問題だ。金に関して言えば、サミーがすでに銀行へ行って対処してくれたので問題はない。フォークナーがぬかりなくやってくれているだろう。

問題なのは領地がうまく運営されていないことだ。金を持ち逃げするような管理人なのだから、運営に関してもずさんだったはずだ。帳簿をしっかり見ないことには何とも言えないが、これまでこの土地を無視してきたつけを払わされているのは間違いないだろう。

明日、リード家の顧問弁護士がここへ来る。ラムズデンの前管理人クラーケンとうまく話ができていればいいが。彼の一族は代々あの土地を守ってきた。だからこそ安心してあの土地を任せていたのだが、クラーケンが高齢なことを理由に実質引退し、そのあとを任されたのが遠戚にあたるモリソンだった。クラーケンの推薦とはいえ身元調査は十分にしたが、どうやら不十分だったようだ。残された妻子はどうなったのだろう?確か息子はまだ幼かったはず。

もし滞在が長引きそうならアンジェラを連れて行こうか?ソフィアもマーサもいないフェルリッジにサミーと二人にするのは気が進まない。

クリスはかぶりを振り、この考えを押し退けた。気分転換になってかえってよさそうにも思えたが、やはり今実家から遠く離れた場所へ行くのはいい考えとは言えない。何かあればすぐにでも駆けつけられる距離にいたいと、アンジェラは思うだろう。
年明けにはアビーとロンドンで合流すると言っていたから、もしすぐに戻れないとなればロジャーに任せてしまうのも手かもしれない。

いっそラムズデンにはサミーが行ってくれないだろうか。去年管理人が交代した際、それまでの帳簿の確認をしたのはサミーだ。クラーケンの帳簿のつけ方は独特で、もしもモリソンがそれを引き継いでいたなら――いや、きっと引き継いでいる――サミーが目を通す方が状況を把握しやすい。

いずれにせよ明日弁護士と話をしてから決めることにしよう。今はただ一刻も早く愛する人の待つベッドへともぐり込みたい。

つづく


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