はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 7 [花嫁の秘密]

アンジェラの怯えた表情に気付き、侯爵はそっと腕を離し、失礼を詫びた。

先日の訪問では話すことも顔を見合わせることも無かったのに、今はこんなに近くで顔を合わせている。
朝の柔らかい日差しのもと、侯爵の瞳に自分がどう映っているのかと思うと、アンジェラは顔を隠すように俯き、一人で外へ出たことを後悔していた。

侯爵はなぜ朝早くこんなところにいらっしゃるのかしら?
ふと、そんな疑問が湧き上がったが、それよりももっと、普段決して屋敷の外へ出ないアンジェラを待ち伏せていたのだとしたら、それは途方もない馬鹿げた行為だと思った。

だが侯爵は、ここ数日毎朝この馬鹿げた行為を行っていたのだ。

とても紳士とは思えない行為に怯えるアンジェラに、侯爵は先ほどの振る舞いなどなかったかのように、母が言っていた貴族の中の貴族といったような紳士的な態度へと変わった。
そして、アンジェラに直接結婚を申し込んだ。

アンジェラは狼狽えた。
当たり前だ。そんな申込みをこんな奇襲攻撃の様にされるとも思わなかったし、何よりそれを受けることが出来ないからだ。

侯爵の申し出に何と返事をしたのか分からないほど、頭の中が真っ白になり、気付けば屋敷に向かって走り出していた。
侯爵はその姿を驚いたように見ていたが、やがて走って追いかけて来た。
屋敷の門は目の前に見えているのに遠く感じる。ふいにマーサがこちらに向かってきているのが見えた。
もちろんマーサにもアンジェラの姿は見えていて、そしてその後の侯爵にも気づいた。
マーサも駆け出していた。

そして侯爵が追いついたところに、マーサがやって来て、アンジェラを隠すように抱き込んだ。
マーサは侯爵を見上げキッと睨みつけた。

「このような事を侯爵様とあろうお方がする事でしょうか?」
マーサの声は怒りに震えていた。その怒りは明らかに大事な娘が辱めを受けた母親の反応と同じものだった。
アンジェラは初めての体験にマーサの胸の中で泣きじゃくっていた。

侯爵が何か言おうと口を開きかけたが、それはアンジェラによって制された。

「マーサ、早く戻りたいわ」
そう言って顔を上げたアンジェラは、ほんの僅か侯爵を見た。だが、涙が滲む瞳では侯爵の顔は見えなかった。
マーサはそのまま侯爵に挨拶もせず、アンジェラを支えるように屋敷に戻って行った。

つづく


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