はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

ひとひらの絆 9 [ひとひらの絆]

最近、守は夜自分の部屋で寝るようになった。
この家の暮らしにも慣れてきたのだろうか?
容はそれよりも京子と堂林の動向が気になり、あまり守を構ってやれていなかった。

とりあえず容の作戦は成功し、最近では二人は外で頻繁に会う様になっていた。
その為、容は無理に外で時間を潰す必要もなくなった。

この日は学校から真っ直ぐ帰宅し、二階の自分の部屋に上がるところだった。
階段から右手の奥に一葉の部屋、一部屋挟んで左手に守、容の部屋と続く。
階段を上りきったところで、何かささいな違和感を覚えた。
一葉の部屋の方向に目を向け、耳を澄ませた。
その方向から、守の声が聞こえた。
何を言っているのかは分からなかったが、紛れもなく守の声だ。
いつの間に守は一葉と仲良くなったのかと、カッと頭に血が上って、一葉の部屋のドアを思い切り開けた。

そして目にした光景に愕然とした。
急に開いたドアに驚き、一葉が顔をあげた。
その途端、ベッドに横になっていた守のペニスからピュッと精液が飛び、一葉に掛かった。

容は守の顔を見た。
守は怒られると思って怯えた顔をしていた。
「守、ズボン履いて自分の部屋へ行きなさい」
容は落ち着いて言葉を発していたが、腸が煮えくり返るほどムカついていた。
守はビクビクしながら自分の部屋へと戻って行った。

容が一葉に目線を向けると、自分に掛かった守の精液をティッシュで拭き取っているところだった。
そして、口の端で笑いながら容を見た。

一葉は容が思っていた様な男ではなかったのだ。
青白い顔で、弱そうなやつだと思っていたのは間違いだったのだ。
その本当の姿は、容の想像をはるかに超えるほど強かだった。

「容兄さん……入る時はノックくらいしてよね」
いつもは俯きおどおどとし、容の顔を見る事すらしない一葉が、真っ直ぐ顔をあげ容の目を見て発言している。
容は眉根にきゅっと皺を寄せ、一葉を見返した。
「お前、どういうつもりだ。守に何してた?」怒りで握った拳が震えていた。
「何って…見たんでしょ。いつも容兄さんがしている事よりも、気持ちいいことしてあげたんだ。守くん喜ぶから」一旦視線を逸らし、ふふっと微笑みながら、目の脇で容を見る。

「いつからだ――」

「んー、最近だよ。容兄さんが家庭教師連れて来た頃かな。僕、黙ってやられるほど馬鹿じゃないから」

こいつ――気付いていたのか?
一葉は容がどういうつもりでこの家にやって来て、ここで何をするのかを分かっていたのだ。
特にそれを止めるつもりはなかったが、その代り自分も攻撃に出たというわけだ。

「守を手懐けてどうするつもりだ」
容はさっきよりも冷静になっていた。相手が相当なやり手だと気付いたからだ。容は怒りで我を失うようなタイプではない。状況に応じて、すぐさま次に何をどうするべきかを判断する。

「手懐けるだなんて……一応兄弟なんだし、仲良くして何が悪いの?本当は容兄さんとも仲良くしたかったんだけどな」一葉は肩をひょいと竦め、少しおどけたように言った。

さすがに容はその顔に怒りを露にした。

こいつに兄弟だなどと言われたくない――

ずかずかと一葉に近寄ると、そのままベッドに押し倒した。
掴んだ肩は、やはり見た目通り華奢で強く掴めば折れるのでは、と思うほどだった。
「僕を押し倒してどうするの?今度は容兄さんが僕を気持ちよくしてくれるの?」
薄く笑いながらそんなセリフを吐く一葉に、容はなんとなく敗北感を味わっていた。

ここの家族を崩壊させることよりも、守を奪われた事の方が気になって、どうしようもなく胸がざわざわする。
容は掴んでいた一葉の肩を乱暴に突き放し、守には手を出すなと言うと、一葉の部屋から出た。
そしてそのまま、守の部屋へ向かった。

部屋へ入ると、守はカーペットに膝を抱えて座り込んでいた。そしてぐすんと鼻をすすりながら容の方を見た。怒られると思い、ビクッと肩を震わせた。
「にぃちゃん……」容の顔を見ながらか細く声を発した。
容は守の傍へ寄り座ると、頭を優しく撫でながら「怒らないから大丈夫だよ」と声を掛けた。
守が容にぎゅっと抱き付いた。
「兄ちゃん、ごめんなさい。内緒にしてて……」
今まで兄に秘密など持ったことがなかった守は、激しい罪悪感に襲われていた。

「いいよ、別に――」それがあいつの狙いで、幼い守が引っかかって当たり前なんだ。
容は自分が油断していたことを後悔し、恥じていた。
守るべきはずの弟を、まんまと相手の手に渡してしまったのだ。

「今度は何でも兄ちゃんに報告するんだぞ」
それだけ言って、容は自分の部屋へ戻った。

つづく


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