はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

ひとひらの絆 7 [ひとひらの絆]

学校から帰ってきた守が階段を上り自分の部屋へ入ろうとするところで、一葉が声を掛けた。
「守くんっ」
一葉の弾むような声に守は驚いて振り返った。

自分の部屋からひょいと青白い顔を覗かせ、守ににっこりと笑い掛けている。
一葉が自分の名前を呼ぶとも思っていなかったし、そんな風に笑うとも思ってなかった守は更に驚いた。
「どうしたの?」
守は部屋へ入ろうとしていた足を一葉の部屋へと向け、てくてくと傍まで歩み寄った。
「美味しいチョコレートがあるんだけど、一緒に食べない?」
守は食べ物には目がない。美味しいチョコレートという言葉が脳内をくるくる回る。
目を大きくあけ、「うんっ!」と元気よく返事すると一葉の部屋へ入った。

一葉の部屋は白色の家具で統一されていて、カーテンもカーペットもアイボリーの柔らかな色で揃えられていた。
一人掛けのソファと小さなテーブル置いてあり、守はそのソファに座って差し出されたチョコレートを美味しそうに食べていた。
一葉はその様子を微笑みながら見ていた。
「守くん、クッキーもあるよ」
一葉はそう言ってクッキーの缶をテーブルに置き、部屋の隅の小さな冷蔵庫から缶ジュースを取り出して守に渡した。
「ありがとう。これ美味しい!えーっと、一葉……兄ちゃん……」
守は少し躊躇いながら一葉をお兄ちゃんと呼んだ。
「一葉でいいよ。守くんのお兄ちゃんは、容兄さんだけだもの。それと、ここでお菓子を食べたこと容兄さんには内緒にしてて――」
一葉が少し真面目な顔で守に言った。
「どうして?兄ちゃんに内緒なんてしないよ」
守は当たり前のようにそう答えた。
「でも、勝手におやつを僕があげたと知ったら、僕が怒られちゃうんだ。守くんも美味しいお菓子もっと食べたいでしょ?」

守はうーん……と少し考え、「食べたい」と答えた。
容への秘密と、美味しいおやつが天秤にかけられ、あっさりおやつが勝利を収めたのだ。
家では毎日おやつは用意されている。だけど、一葉から貰ったようなチョコレートを口にすることはなかった。食いしん坊の守は、秘密にすることを約束した。

それから時々、容がいない時は、守は一葉の部屋に入り浸っておやつを食べていた。

つづく


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