はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
ひとひらの絆 5 [ひとひらの絆]
この家に来てひと月が過ぎる頃には生活にも慣れ、家族を少しずつ崩壊させていくために、何から始めようかと言うところが決まりつつあった。
しかし、未だ一葉については分からない。
ほとんど避けられているように思う。
こんな内向的な奴が、そのうち会社を継いだりするのだろうかと疑問に思う。
そうはさせるものかと容は思っていた。
歳からいけば容の方が上だ――それに社交的だし、それなりに頭もいい。
ただ、もとは京子の親の会社だ――後を継がせるなら、実の子がいいに決まっている。
要は自分がそれに見合うほど、優秀でありさえすればいいのだ。
一葉に関しては、そっち方面で攻めていこうと、とりあえずは考えていた。
しかし、まずは京子からだ。
「おばさま……ちょっといいですか?」
容は学校から帰宅するや否や、リビングでパッチワークに夢中になっていた京子に声を掛けた。
京子はその声に手を止め顔をあげた。
「あら、どうしたの容くん」
京子は容を礼儀正しくいい子だと思っている。猫を被っているとは夢にも思っていない。
容は京子の向かい側のソファに腰をおろし、早速話を切り出した。
「実は……家庭教師をお願いしたくて。あっ、でもおばさまに迷惑掛けるような事ではないんです。僕の友人のお兄さんが――今、大学院生なんですけど、その人が空いている時間に僕の勉強を無償で見てくれると言ってくれてて……それで、時々家にやって来ることになるので、了承を得たいと思って……。僕、来年受験だし――」
容は少し上目遣いで京子を見ながら、出方を伺った。
容の黒い瞳がしっかりと京子を捉える。
話を聞いていた京子はどんどん嬉しそうな顔に変わっていき、自分の返事を待っている容に優しく微笑み言葉を返した。
「ええ、もちろんいいわよ。それに無償だなんて、相手の方もお忙しいでしょうし、わたしにできることなら協力したいわ。その……お値段の方もどのくらいがいいのかしら?一葉にも以前何度か家庭教師を付けた事があったから……その辺は秘書の森野に今度訊いてみておくわ」
「それでは、相手の方に伝えておきます。実は――やはりタダで見てもらうのは気が引けたので、おばさまの好意をありがたく受けたいと思います。いつも良くしていただいてありがとうございます」
容はそう言うと、頭を深く下げ、そのまま立ち上がって自分の部屋へ行った。
京子は純粋に自分が頼りにされたと思い喜んでいた。
容は部屋に入るとベッドにごろりと横になった。
とりあえず、準備は整った。
容は別に家庭教師が必要なほどでもない。勉強など適当にやっていても、それなりに上位をキープできる。
相手が大学院生と言うのは本当だが、友人の兄ではない。普通に容の知り合いだ。
そして、この男は熟した女性が好みだ。
あとは、京子がうまく引っかかるのを待つだけだった。
その為には、自分もそれなりにお膳立てをしなければならないのだが――
つづく
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しかし、未だ一葉については分からない。
ほとんど避けられているように思う。
こんな内向的な奴が、そのうち会社を継いだりするのだろうかと疑問に思う。
そうはさせるものかと容は思っていた。
歳からいけば容の方が上だ――それに社交的だし、それなりに頭もいい。
ただ、もとは京子の親の会社だ――後を継がせるなら、実の子がいいに決まっている。
要は自分がそれに見合うほど、優秀でありさえすればいいのだ。
一葉に関しては、そっち方面で攻めていこうと、とりあえずは考えていた。
しかし、まずは京子からだ。
「おばさま……ちょっといいですか?」
容は学校から帰宅するや否や、リビングでパッチワークに夢中になっていた京子に声を掛けた。
京子はその声に手を止め顔をあげた。
「あら、どうしたの容くん」
京子は容を礼儀正しくいい子だと思っている。猫を被っているとは夢にも思っていない。
容は京子の向かい側のソファに腰をおろし、早速話を切り出した。
「実は……家庭教師をお願いしたくて。あっ、でもおばさまに迷惑掛けるような事ではないんです。僕の友人のお兄さんが――今、大学院生なんですけど、その人が空いている時間に僕の勉強を無償で見てくれると言ってくれてて……それで、時々家にやって来ることになるので、了承を得たいと思って……。僕、来年受験だし――」
容は少し上目遣いで京子を見ながら、出方を伺った。
容の黒い瞳がしっかりと京子を捉える。
話を聞いていた京子はどんどん嬉しそうな顔に変わっていき、自分の返事を待っている容に優しく微笑み言葉を返した。
「ええ、もちろんいいわよ。それに無償だなんて、相手の方もお忙しいでしょうし、わたしにできることなら協力したいわ。その……お値段の方もどのくらいがいいのかしら?一葉にも以前何度か家庭教師を付けた事があったから……その辺は秘書の森野に今度訊いてみておくわ」
「それでは、相手の方に伝えておきます。実は――やはりタダで見てもらうのは気が引けたので、おばさまの好意をありがたく受けたいと思います。いつも良くしていただいてありがとうございます」
容はそう言うと、頭を深く下げ、そのまま立ち上がって自分の部屋へ行った。
京子は純粋に自分が頼りにされたと思い喜んでいた。
容は部屋に入るとベッドにごろりと横になった。
とりあえず、準備は整った。
容は別に家庭教師が必要なほどでもない。勉強など適当にやっていても、それなりに上位をキープできる。
相手が大学院生と言うのは本当だが、友人の兄ではない。普通に容の知り合いだ。
そして、この男は熟した女性が好みだ。
あとは、京子がうまく引っかかるのを待つだけだった。
その為には、自分もそれなりにお膳立てをしなければならないのだが――
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2011-05-31 01:13
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