はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

ひとひらの絆 4 [ひとひらの絆]

別に父は後回しでもいい――そう思って、京子と一葉を主に観察した。

一見京子はいい人そうに見える――いつも穏やかな表情で、容達に実の子のように接しようと努力しているのが伺える。
しかし、容は別の面に気付いていた。
京子はまだ四十手前の女盛り、父とはもうそういう行為はなさそうだ。変によそよそしく見えるし、父はどうやら仕事人間のようで京子は放っておかれているのだと思った。もし、若くていい男が傍にいたら、どういう反応を示すのだろうか?

そして、一葉。
一葉については全くと言っていいほど分からない。
あまり喋らないし、いつも俯いて目も合わせない。色々な面で好き嫌いが激しいらしく、食事にはかなり気を使うらしい。もちろん作る方が、だ――
だからこんなに青白い顔で、軟弱そうなのかと思う。

あとはお手伝いの五月さん。
見た感じ普通のおばさんだ。長い事勤めているのかと訊いたら、まだ五年程度だと言われた。それが長いのか短いのかは容には判断できなかった。週に四日程度通い、朝来て夕方には帰る。

そして時々見かけるのが、父の秘書の森野だ。まだ二十代そこそこの青年で、秘書と呼ぶにはいささか頼りなさそうだった。この男を観察していて思ったのは、どうやら森野は京子に気があるようだ、何かといちいち赤面して、喋るのもままならない。
しかし、京子は森野に全く興味がなさそうだし、好意を持たれている事にすら気付いてなさそうだった。

そういえばもう一人いた。
一葉を学校に送迎している運転手――名前は知らないが、見る限りではただのじいさんだ。

一人考えを巡らせていると、部屋の外でノック音と共に守の声がした。
「兄ちゃん、ぼく」

守が一緒に寝るために、容の部屋へやってきた。
容が返事をするまでもなく、守はドアを開け枕を持って入って来る。ベッドにいそいそと入り、容にベッドに来て欲しそうな顔を向けている。
「しょうがないなぁ」
容は甘えん坊の弟の為に、寝るには少し早いがベッドへもぐり込んだ。
いつも守の背を包むようにして、二人くっついて眠る。

「ねえ、兄ちゃん。ぼくの触って」
守はいつも容に股間に手を添えて貰って寝る。
容は言われた通り、たいして膨らみもない股間に手を添え包むようにしてやる。
掴まれていると落ち着くのか何なのかは分からないが、大抵ねだられる行為だ。
でも、容はそんな守をかわいいと思っていた。
歳が離れているせいだろうか――少々のわがままは聞いてやりたいし、すごく守ってやりたいと思う存在だ。

「へへっ、兄ちゃんに触られると安心する」
そう言ってから暫くすると、守は早くも寝息を立て始めた。

つづく


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