はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

ひとひらの絆 2 [ひとひらの絆]

出迎えたのは、父の今の妻京子と、十六歳になる息子の一葉だ。
「二人ともよく来たわねぇ。さあ、中へ入って、疲れたでしょ」
優しく出迎える京子を内心冷やかな気持ちで容は見ていた。
しかしその顔には穏やかな笑みを浮かべ京子の後をついていく。
容と守が、案内されたリビングの豪華なソファに座ると、お手伝いさんがジュースとケーキを持ってきた。
守は目をキラキラさせ、容を見た。
「兄ちゃん、食べてもいい?」
容はそんな守の表情に和やかに微笑みながら、ちらりと京子の方を見た。
京子は穏やかな優しい口調で「どうぞ」と言った。
守はフォークを持つと、一気にばくばくと食べ始めた。
「守、ゆっくり食べるんだよ」容が声を掛けると、守は言われた通り食べる速度を落とした。

それから、軽い自己紹介が行われた。
お互いの名前を言い合い、容は一葉に「よろしく」とにっこりと笑いかけた。
一葉は青白い顔で、小さく「うん」と言った。

「兄ちゃん、おかしいよ。男なのに髪が長ーい」
ケーキをすっかり食べ終えた守が、一葉を指差して言う。
「こら、指は指しちゃだめだっていったろ――ごめんな」
容は守を注意し、一葉に謝った。
一葉はまた小さく「うん」と言った。

確かに一葉の容姿はおかしい。
女じゃあるまいし、髪を肩まで伸ばしている。
その長い髪は、細い髪質でさらさらと流れるようだ。
顔は青白いし、服装も男っぽいとは言えない――胸のあたりにフリルがついたようなブラウスを着ている。目は伏し目がちで、おどおどしたように見える。

容はもっと威張った奴がいると思っていたから、なんだか肩透かしを食らった気分だった。
それに、京子もいやににこにこして――母の死を知っているくせに、無神経だと思った。
いや、もしかすると自分たちに気を使って、わざとこういう態度なのかもしれないと、容は京子に対しての気持ちが少し緩んだりもしたが――それは罪悪感があるからだろう――このくらいの対応当たり前なのだと思い直した。
だけど、見た目や態度は重要ではない。
目的は必ずやり遂げる。

それから、容と守は自分たちの部屋に案内された。
一人部屋だ――今まで、この一人部屋と同じくらいの広さのアパートで家族三人で暮らしてきた。
そのため、守は寂しいから兄ちゃんと一緒がいいと駄々をこねた。
守のくせのある柔らかい髪をくしゃっと撫でながら、さみしかったら兄ちゃんの部屋にいつでも来てもいいと言ってなんとか宥めた。

容は与えられた部屋で、ふうっと一息つき、これから始まる暮らしに思いを巡らせていた。
しかし落ち着く暇もなく、早速守が部屋にやって来た。

つづく


前へ<< >>次へ
 

よろしければこちらをぽちっとお願いします。
  ↓
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村


web拍手 by FC2



nice!(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

トラックバック 0

ひとひらの絆 1ひとひらの絆 3 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。